田内志文のレビュー一覧
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ネタバレドナルド・トランプ大統領の誕生と時を前後する頃から世界を席巻し始めたように思われる、息苦しさを覚える不気味な閉塞感に満ちた現在の世相と驚くほど似通った窮屈さを1949年発表のこの作品は包含し、警告を発している。
SNSの普及に伴う醜いモラルハザード、フェイクニュースや陰謀論の蔓延、利己のみに囚われた極端な排外主義、恐怖を後ろ盾にした同調圧力…現代に生きる我々が直面している人間の愚かな側面の数々が、形こそ異なれどことごとくこの小説の中で著されていると言って過言ではなかろう。
歴史は繰り返す、という言葉が自ずと思い浮かぶ。
中盤、ゴールドスタインの著書という触れ込みでウィンストンの手に渡ることになる書物の中で語られる長広舌こそ、ジョージ・オーウェルが配置した核であり、そこには彼の主張がたっぷりと詰め込まれている。
21世紀における戦争の意味合い、意義というものを既にこの時点で正確に説いていることに瞠目した。
半世紀、いやことによれば100年先を行っている。
そしてその後にくる、恐ろし過ぎるオブライエンとのやりとり…結局は人間という種が原罪として持つ下劣さを描ききって終わるところが凄烈である。
「現代の戦争とは、純粋な内政問題なのである。」
「権力とは手段ではなく、目的なのだ。」 -
Posted by ブクログ
本編はもちろん傑作であるが、
「出版の自由」というオーウェルによる序文案が今日の日本社会への警鐘として特に重要と考える。この序文案のオリジナル原稿は1972年に発見されたもので、「タイムズ文芸付録」(Times Literary Supplement)として、1972年9月15日に初掲載された。オーウェルがこの序文案を書いたのは1945年頃ではないかと思う。
本編の「動物農場」は一応ソ連の共産党体制を批判したものと言われている、しかしソ連が崩壊した後もロシアは変わっていない。そして問題はロシアではなく、英国そして日本においても共産主義独裁体制への「忖度」であるということである。「動物農園」はなかなか刊行されなかった。民主主義国家であるはずの英国の体制は戦争中から「共産党独裁制への批判すること」は「不適切」であるとして押しつぶし続けてきたし、冷戦が終わった今でもやはり続いている。日本においてもやはり、ロシア・中国の軍拡を批判することは「不適切」であるというのが、マスコミの変わらぬ態度である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ権利と腐敗を風刺した寓話小説。
このお話の中の豚(ナポレオン)は現実でいうヒトラーやスターリン、毛沢東といった独裁者にあたる。
豚や犬以外の動物は国民にあたり、権力者によって一種の洗脳のようにして独裁国家が作り上げられていく。
日々の暮らしの中で適材適所で、それぞれの人がその人に合った仕事をして国をつくることが求められるが我々国民が政治について無知というのはどれだけ怖いことなのかを理解するべきだと思う。
税金の上がる下がるばかりに目が向けられ、どこにどれだけ使われるかなどかに目を向けない。SNSの誤情報、人の言葉に左右されうわべだけで判断を下す。このような愚行をせず、批判的な姿勢でものごとをみる重要性が与えられる。