あらすじ
ロンドンに住むジキル博士の家に、ある時からハイドという男が出入りしている。彼の評判はすこぶる悪い。心配になった親友のアタスンがジキルの様子を窺いに行くと……。
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今まで題名は知っていたが手が伸びなかった本。外国文学なのにするする読めた。最後の手紙のところで全部辻褄がいく。それで話が終わっているから余韻がすごい。アタスン視点なのでよりジキルとハイドの謎が不可解に思える。所謂オーバードーズとは少し違うけれど、依存して行くような沼に落ちていくような雰囲気があった。もうジキルは消えてしまったのだろうか。
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ジキルとハイド…単語は聞いたことあっても、意味は知らんシリーズとして手に取った本。第一印象、本が薄い!その割に、濃い目なストーリーとメッセージで楽しめた。
前半部は、ミステリーやSF的に楽しめた。(あらすじでネタバレ的な記載もあり…)なんとなくからくりが想像できたものの登場人物たちが真実に迫っていくときのハラハラドキドキな展開に没頭できた。
後半部では、本書のテーマである「人にある善の一面、悪の一面とどう折り合いをつけて付き合っていくか?」という人間として生きる上での問いに向き合う。相反する善悪をそれぞれ切り離し、居場所を与え、悪はエスカレートして、悪に蝕まれて破滅していく様子が描かれる。…じゃあどうすれば救われるんだろうか?!答えは与えられないが、自らの悪を認めてコントロールすることがひとつの方法なのかもしれない…
また本書内での「悪」の表現が良かった。何か特別大きな残虐な事件があるわけではないが、他者視点でのおぞましさ、憎悪、嫌悪感などが悪の具合をうまく表現されていると思った。
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名前とかで大体のオチは想像できてはいた。だが最後の日記の部分を読んだ後、ジキルとハイドが他人事のように思えなくなった。
自分が全くの別人になり、何をしてもお咎めを受けずにいられるとしたら、清廉潔白に過ごせる人は、果たしてどれほど存在するだろうか。例えば飲みの席でのやらかしを「酔っていたから」などと弁明し、周囲も多少の共感を示すということがある。普段の自分と酔っている自分とは関係ないので、酔っている自分が多少悪いことをしても、素面の自分にとってはどうでもいい。そう思いたいという歪んだ願望が、加害者にも、そして(今後加害者になりうる)被害者にも多少あるように思う。
道徳心というのは、当事者意識が欠けているとすぐ折れてしまうものかもしれない。
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ジキルとハイドというと、善良な建前と醜悪な本音の対比
というイメージだったが、そんなに単純ではないようだ。
一方は長年の抑圧から解放された純粋な悪、もう一方は善悪を併せ持つ複合体。きっかけは享楽への欲望だったはずなのに、残忍で凶悪な行動をエスカレートさせていくハイド。しだいにハイドに身体を乗っ取られていくジキル博士。
色々な解釈ができそう。
『享楽への欲望』が何を指すのかは解説を読んでそういうことか、となった。
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この時代のイギリスに興味がありまたタイトルだけ知っているなと思っていたので読んでみた。
解説を読んで男色云々の話を知って驚いた。長い話ではないのでこれを踏まえて再読したい。
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以前も数回読んだことがある。
善と悪のバランス・理想や抑圧・社会的な顔と人間としての顔。
様々な要素が絡んでいる。
結局、ジキルそのものが利己的なように読める。
決して「ジキルが善」として描かれていないところが、ミソな気がする。
人当たりは良いけれど、彼の言動には身勝手なところがある。
何度読んでも面白い。
いつも解説を読まずに、純粋な感想を書いているのだけれど、今回、解説を読んで、「男色」という視点からも楽しめる作品なのか、と一層興味がわいた。
確かに、作中にちょこちょこと性的なものを想像させる言葉が使われているな、とは思っていたけれど、当時の社会的な背景を思いながら読むと、面白さが増すだろうな。
つまり、まだまだ再読の価値あり、ということだ。
2003.9.11
やりたいほうだいのことを一度してしまうと、くせがついて二度とまともな状態にはなれない、ということだろうか。ジキル氏は、自分が今までかくし、おさえてきた感情に身をまかせて、ダメになってしまった。ちょこちょことその欲求をみたしてきていたらよかったのかもしれない。我慢し過ぎはよくない。良い行いをふんだんにして、背も高くなったジキルは、その背と同じだけの欲求をかかえていたのかもしれない(ちょっととんちんかんな文章だ)ようするに、バランスが大切。かたよりすぎるのは、よくない。
1999.2.21
話の大筋は以前から知っていたのだが、展開の形式が興味深かった。ジキルの心と、ハイドの心の差が、伝わってきた。善と悪という人間の2つの姿がくっきりと浮かび上がっていて、面白かった。私が思うに、高尚な理想は、かえって人をダメにしてゆくのではないか。私は、目的性や厳しさを否定しているのではない。ただ、何事も、やはり中庸が大切なのだ、と思う。ジキルが自分の享楽性を認め得たなら、こうはならなかったのではないか。
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洋書を読むことがあまり得意ではない私でも読み切ることができました。
かなり短いですが、二重人格を題材にした怪奇小説ということでとても面白かったです。
この小説が由来で、ドラえもんには服用した人間の性格が逆転する、ジキルハイドという道具があります。
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非常に有名な作品。○○○○ものの代表的な作品ですね。
オチは分かってはいたものの、単純にストーリーが面白く、ページ数も少ないので、一気に読めた。
ミステリとしてもSFとしても読めて、自分の好みに合いました。
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再読本。
理性のジーキル博士と、獣のハイド氏。人間誰しもハイド氏を内に秘めている。それを理性が覆い隠しているのだろう。
作中のジーキル博士は長年自分の中にある獣を隠し続けてきたが、あることがきっかけでできなくなったしまった。さらに悲劇なのは、その獣が勝手に育ち、理性の自分を覆い隠すようになったことだ。
自分の中の獣をなかったことにするのでなく、向き合い、受け入れていれば作中の悲劇は訪れなかったのかもしれない。
私たちはジーキル博士になるのか、それとも他の者になるのか。この作品を読みながら自分の獣に問いかけるのも面白いかもしれない。
Posted by ブクログ
表紙の佳嶋さんのイラストに惹かれたのと、前から読みたいと思っていた作品だったので購入!
ジキルとハイドが二重人格者なのは知っていたけれど、まさか容姿ごと変わるとは…最後のジキル博士の手紙での告白による心の葛藤が読んでいて色々と考えさせられた。誰だって心の中では善と悪が鬩ぎ合っている、それとどう付き合っていくかが重要で、あまりにも悪を否定しすぎると自分自身を縛り付けてどんどん身動きが取れなくなってしまう。何事もバランスが大事。
この小説が書かれた当時のロンドンの背景や人々が抱いていた偏見についてが、あとがきで少し触れられていて、それを知った上で読み返すとまた違った風に受け取れる部分が沢山あると思う。
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「ジギルとハイド」という名前だけ聞いたことがあり、二重人格に興味を持ったことがきっかけで読みみ始めました。温厚で誠実なヘンリー▪️ジギルが薬によって邪悪で冷徹なエドワード▪️ハイドに人格を乗っ取られていくお話です。始めは真逆の存在として両者をみていましたが、欲望を発散したいという気持ちがあるという点では同じでした。多重人格者はそれぞれ異なる目的で動いていると思っていたので意外でした。
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オチは軽く知ってたせいか、どうやってバレるんかが気になりながら読んだ作品。
オチ知らんかったら途中でよう分からんってやめてたかもなので、それはそれで良かったと思う。
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善のままで生きたいという気持ちと、自分を抑えずに自由に生きたいという気持ちはどちらもある。
そして、それぞれの性格に異なる外見を与えて、さも別人のように仕立ててしまったのが面白い。
最後の告白文には共感する。
訳者あとがきで、男色の話だと書いてあったが、自分は全く気づかなかったので、時間がある時にまた読み返してみたい。
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ミュージカルを観てそういえば原作を読んだことないなと気づき読んでみることに。まず本自体の薄さにびっくりし、登場人物も10人に満たないくらいのとても短編。舞台上ではエマやルーシー、殺された理事会のメンバーなどのキャラクターがいるが、この中で原作に登場するのはカルー卿(しかも殺されるだけ)のみ。
今でこそ「ジキルとハイド=二重人格」という意味合いで使われているが、読んでみると薬で身長や顔つきが別人になる様子が描かれている。友人の弁護士アタスンの視点で(ハイドの姿の)ジキルが死んでからは手記と手紙によってその経緯が語られる。
訳者あとがきで「当時の視点からすると同性愛(当時の法律では違法)と取られる描写」という記述があった。確かに最初から一人だと理解している頭で読むのと、突如知らない名前の人物が親友以上の扱いをされる状態のアタスンでは受け取り方が全然違うとは思った。これはこれで新解釈なのでその視点でもう一度読み直してみたいと思う。