田内志文のレビュー一覧

  • 新訳 ジキル博士とハイド氏

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    再読本。
    理性のジーキル博士と、獣のハイド氏。人間誰しもハイド氏を内に秘めている。それを理性が覆い隠しているのだろう。
    作中のジーキル博士は長年自分の中にある獣を隠し続けてきたが、あることがきっかけでできなくなったしまった。さらに悲劇なのは、その獣が勝手に育ち、理性の自分を覆い隠すようになったことだ。
    自分の中の獣をなかったことにするのでなく、向き合い、受け入れていれば作中の悲劇は訪れなかったのかもしれない。
    私たちはジーキル博士になるのか、それとも他の者になるのか。この作品を読みながら自分の獣に問いかけるのも面白いかもしれない。

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    2018年03月03日
  • 新訳 道は開ける

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    新訳にて『道は開ける』再読。不安が病気の元になる。不安を解消する4つの手順として、一、不安の原因を明確にする 二、最悪の結果を書き出す 三、解決方法を書き出す 四、解決に向けて行動する この4つのプロセスを実際に行動に移すことで奇跡が起こる。そんな実例を挙げながら、読者に勇気を与えてくれるのが本書である。

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    2017年12月08日
  • 新訳 ジキル博士とハイド氏

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    表紙の佳嶋さんのイラストに惹かれたのと、前から読みたいと思っていた作品だったので購入!

    ジキルとハイドが二重人格者なのは知っていたけれど、まさか容姿ごと変わるとは…最後のジキル博士の手紙での告白による心の葛藤が読んでいて色々と考えさせられた。誰だって心の中では善と悪が鬩ぎ合っている、それとどう付き合っていくかが重要で、あまりにも悪を否定しすぎると自分自身を縛り付けてどんどん身動きが取れなくなってしまう。何事もバランスが大事。

    この小説が書かれた当時のロンドンの背景や人々が抱いていた偏見についてが、あとがきで少し触れられていて、それを知った上で読み返すとまた違った風に受け取れる部分が沢山ある

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    2017年05月10日
  • 新訳 道は開ける

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    「落ちてるとき」か「ノッてるとき」で言えば、
    「落ちてるとき」に非常にオススメの本です。

    もう、仕事も人間関係も人生も何もかもうまくいかないし、もういやだ死にたい><! と思うことがあったら、

    行動に出る前に、まずこの本を読んでみてと言いたい。

    そこまではいかなくても、
    最近なんだか怒ってばかりだなーとか、なんだか元気が出ないなー
    という人にも、おすすめの本です。

    ***

    何度も読む機会はあったのですが、

    「有名な本だし、ちょっと読んで勉強しよう」くらいのモチベーションで読み始めたときは、
    まったく興味が持てず、内容が入ってこず、ちっとも読み進まず、数ページで読むのをやめてしまいま

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    2017年05月02日
  • 新訳 フランケンシュタイン

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    学生のころに別の人の訳で読んだ気がする。改めて時系列を意識して読んだら、フランケンシュタインが思いのほか若くて驚いた。そして怪物がとても切ない。最後フランケンシュタインが怪物を追うとき、怪物は自分を殺すためとはいえ、全てから忌避される自分を求めて追ってくる存在がいるというのにうれしい気持ちもあっただろう。怪物に最後まで名前がないのも個人的に気になるところ。

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    2015年12月27日
  • 新訳 道は開ける

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    ”人はどうやって不安を解決してきたか”という不朽のテーマを存分に書いた名著である。我々はいつも不安である。それをどう向き合い、取り除いていくかはとても大切なことだ。心の平穏とは最悪の事態を受け入れるところから生まれる、何が不安なのかを明確に書き出す、自分に何ができるのかを書き出す、どうすべきかを決める、小さなことにこだわるな、自分を変えてゆくことができる、変えられない運命と調和する、脅威とはマイナスをプラスに変える力、自分がどうしたら人を喜ばせることが出来るか、人に行う善は自分への最善である、自分の犯した過ちに自分自身を批判せよ、満たされないものは世界を手に入れても満たされない、等人生をうまく

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    2015年08月23日
  • 新訳 道は開ける

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    冒頭の「九つのヒント」だけでもいいのだが。

    自己啓発の本は、日本ではカッパのように薄く、活字スカスカの本が喜ばれるが、アメリカでは、カーネギーのようにじっくり読ませるケースが満載の分厚い本が喜ばれるようだ。読者層の知的レベルが違うのかもしれないが、それ以外にも、宗教やプリンシプルに対する態度が、彼我で異なるところが反映しているのだろう。アチラでは、宗教的に「自己を高める」ような生活態度を自分の中に根を下ろさせる、それにむかって日々努力するということが尊ばれるので、聖書のように日々読み返す、文字通り「座右の書」として使われることになる。翻って日本では、敬虔な祈りということはそれほど重視されない

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    2018年10月19日
  • 10の奇妙な話

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    邦題は「奇妙」原題は「哀れ」となる。
    奇妙なストーリーの中に奇妙なキャラクター達が登場する。
    奇妙なキャラクター達が哀れなのでは無く、奇妙なキャラクター達によって哀れな被害を受ける人達が存在している。
    「ピアース姉妹」だと明確に指摘されてる哀れな男だし
    「地下をゆく舟」なら、その街に暮らす人々だろう
    「もはや形跡もなく」なら、スーツケースに詰め込まれた靴下達だと思う。
    しかし「地下をゆく舟」や「蝶の修理屋」では、神秘的な情景が目に浮かぶ時もあり
    何とも奇妙なミック・ジャクソンワールドが体験できる素敵な短編集でした。

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    2025年11月06日
  • 失われたものたちの本

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    小さい頃に読んだおとぎ話の世界は久しぶりだったので、わくわくした!
    残虐なシーンが結構あると聞いていたけれど、かなり非現実的なのでそこまで気にならなかったな~

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    2025年10月20日
  • 1984

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    ネタバレ

    完全監視社会+それに従う大衆という絶望的な社会を描いたディストピアの金字塔。
    このような社会では、豊かな文化の発展は望めず、あるのは服従・搾取・無知のみである。

    本編については星5。
    裏表紙の説明欄では「圧倒的リーダビリティ」などと謳っているが、ところどころ読みにくいと感じたし、それは疑わしいと思ったので星−1。
    翻訳者のあとがきにおける一部の言い分については、個人的に思うところがあり、読後の余韻が薄れたので更に星−1。結果星3となる。

    このレビューは長文となるが、前半では作品の感想と考察、後半では翻訳者のあとがきに対する私の反論を述べる。

    《汝、かくなり》
    本作において、この世界観を象

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    2025年09月07日
  • 失われたものたちの本

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    事前情報なく読む。

    これは宮崎駿さんの「君たちはどう生きるか」のモチーフになった本?。映画は説教臭いタイトルで、面白くなさそう(失礼すぎ)だったので見てないのですが、この本を読んだ今は俄然気になってます。

    序盤は大好きな母を失った後の新しい家族の形に馴染めない男の子のモヤモヤ。この坊やがある事をきっかけに異世界へ。そこからは一気にファンタジーの世界へ。異世界に入ってからは、誰もが知ってるグリム童話が私たちが知ってる内容とはかなり解離したどす黒い形で表現され、いい意味での大きな違和感あり。ハイブリッド生物がでてくるのは最近の物語だなぁと思ったり(でも基本は馬、剣、城などのファンタジー)。グロ

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    2025年08月13日
  • 新訳 ジキル博士とハイド氏

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    「ジギルとハイド」という名前だけ聞いたことがあり、二重人格に興味を持ったことがきっかけで読みみ始めました。温厚で誠実なヘンリー▪️ジギルが薬によって邪悪で冷徹なエドワード▪️ハイドに人格を乗っ取られていくお話です。始めは真逆の存在として両者をみていましたが、欲望を発散したいという気持ちがあるという点では同じでした。多重人格者はそれぞれ異なる目的で動いていると思っていたので意外でした。

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    2025年07月13日
  • 1984

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    む、難しかったです(汗)
    まず、世界観を理解するのに四苦八苦。そして中盤以降の太字のゾーンは理解する為に足りない頭を頑張って働かせるせいか、5ページもしないうちに眠気に襲われました。
    読むのにめちゃくちゃ時間がかかった作品
    陰謀論はこの本が元に?という部分が多かった
    そして、もはやどのような世界が人間にとって幸せなのかは考えたくなくなりました
    疲れた、、、

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    2025年07月10日
  • 失われたものたちの本

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    ネタバレ

    ダークファンタジーというくくりの物語を初めて読んだ。
    中々グロかったけど、子供の恐怖心による想像で形作られた世界線、という設定は良かった。
    登場するおとぎ話も皮肉な結末で、好きだった。
    人から大事にされているのに、新しい存在が入ってきた時に疎外感を感じて、愛されたい、愛されているという実感が欲しい、という願望は誰にでもあって、子供たちのその願望をエネルギーに変換して自らの生に活かしているねじくれ男はきゅぅべえ的立ち位置で良かった。

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    2025年05月29日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

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     英国人作家の寓話集で、イギリスで絶滅した熊に捧げる8篇からなります。個人的に英国文学は不案内ですが、いかにもな?皮肉とユーモアが満載の大人向けの短編集と感じました。

     興味をもち手にする方への助言です。訳者の田内さんのあとがきに、本書に限って本編より先に読んでいただきたい、とありました。えー、読んじゃいましたよー! 仕方ありません…トホホ。イギリスの熊史を把握すると理解が進むんですね。

     凶暴な熊と人間の長きに亘る格闘の結果…と勝手なイメージは、見事に裏切られました。8篇全て、熊たちの悲哀に満ちた声が聞こえてくるようです。
     この時代の熊が、いかに人間に振り回されていたかが解ります。勝手

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    2025年05月17日
  • 失われたものたちの国

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    面白いのか面白くないのか聞かれたら、面白い方に入るかもしれないけれど、うーん。
    難解なのかテーマが定まってないだけなのか、印象的なシーン、好きなシーンがこれと言って無い。
    あと、海外ものにありがちな「絶対悪」みたいな考え方が馴染まない。
    ミヤマガラスとカーリオは何をしたかったの…?

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    2025年05月12日
  • 失われたものたちの国

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    前作がとても素晴らしかっただけにこちらも期待をしていたが…訳者のあとがきにも書いてあるように、少し読みづらく感じた。物語にのめり込むことができなかった。数年後に再度読み返せばまた評価は変わるだろうか…

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    2025年04月19日
  • アメリカへようこそ

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    海外短編を紹介するポットキャスト<翻訳文学試食会>で取り上げられた本。

    最初の2,3短編を読んで、この短編集の題名『アメリカへようこそ』が、この短編集のテーマなのかなあと思っていたら、短編の中の一つの題名でしたね。
    しかし短編集の全てが、今この現実の社会の出来事であるように書きながら、さり気なく、しかし確実に読者に目に付くように現実社会にはない用語が出てきます。それにより、現実の社会の問題点を目立たせて「さあ、読者の皆さん、考えましょう」って感じです。そのためこの短編集全体的が「アメリカってこんな社会ですよ。ようこそ、真実のアメリカへ。」って印象を受けました。
    しかし…正直言ってそこまで惹き

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    2025年04月10日
  • 魔法の扉がしまるとき

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    ネタバレ

    ずっと最終巻だけ読みそびれていた、ようやく。広げすぎではあったけど、よくまとめたなっていうのと、長男がはまって読み通してたので、メモ。

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    2025年03月06日
  • 1984

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    怖い話だった
    自分の考えを書くことも禁止された世界、政府に思想や生活全てを支配されてる話
    何が正しい情報で誰が味方で誰が敵かも分からない怖さ
    ここまでひどい世界ではないけれど、ありそうな話でゾッとした
    読む年齢、時代によって感じることが違うだろうなと思う

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    2025年02月21日