田内志文のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最近考えてたオルタナティブファクト、スパイ防止法とか治安維持法とか色んなとこに繋がる、今読めてよかった。自分のためでもどの人のためでもないただ正義のためなんていう人間離れした思想が一番恐ろしかった。こういうのは身近なとこでも起きてるんだけどね、国家くらいデカくなると何も出来なくなるのを物語のなかだけど妙に納得した。
あと感覚すぎるけど色に変化があって楽しい、冒頭茶色、グレー、出会い緑、黄色、結末に向かって黒から白、水色って感じ。いま岩波新書のジョージ・オーウェル読んでるから色々整理できたらいいな。
最後、ウィンストンが自分に勝利したって言ってたのガチで辛かった。 -
Posted by ブクログ
半分くらいまでは注意力散漫に読んでしまい、半分過ぎたあたりからのめり込みました。
(でもゴールドスタインの「例の本」の中身は結構斜め読みしてしまった。)
グレーの上にグレーを何層にも塗り固めたような究極のディストピア。
ドイツのナチス的な全体主義。
個人の自由や権利よりも、全体のために個人を従わせる思想・政治体制のもと、独裁者(実在しないのかも?)がいて、もちろん反対意見の弾圧があり、思想警察がいて、24時間テレスクリーンで見張られている。
テレスクリーンは受信発信を同時に行う装置で、その視界内にある限り、声も行動もすべてキャッチされ、思想警察が盗聴している。
各家に置かれている。
-
Posted by ブクログ
ネタバレやはり何度読んでも政治SFとしての金字塔である、が第一声になるかと思われる。
現代社会においてさも当たり前のように存在している自由、それがない世界線のストーリーである。
言論の自由がないどころか思考/思想の自由すらない社会。令和に入った日本においても「なんとなく生きづらいな」と思うことはある、SNSが普及したことによりさもありなんではあるが。
その気持ちが留まることを知らないまま一部の特権階級がひたすらに利権を貪ろうとするとこのような社会になるのであろうか。
内容としては、1人の壮年男性の視点で描かれる。テレスクリーンと呼ばれる政府が用いる監視カメラ(文字通り液晶ではある)が至る所に、そ -
購入済み
永遠のファンタジー
何十年も前にクリストファーリー主演の映画が公開されて、本も買って何度も読みました。
本は無くなってしまいましたが、スマホで見れるので2度見直しました。
いろいろなドラキュラが出ましたが、ブラムストーカーのものが最高です。
さて、また楽しみますか -
Posted by ブクログ
完全に名著。
1948ってあんの?ねえな。
たぶん、いま、最初のクライマックス。
貰った本(真理が書かれてる本)を読んでる描写
香港、ダーウィン、ブラザヴィル、タンジールを結ぶとひし形になってるんだって。
3つの世界がここの労働力を争ってずっともめてる。
いや、なんか女とセックスするとこも山場だったか。
なんじゃこりゃ
幼いころの幸せな記憶と、罪の意識
青年、仕事。そして情事。
摘発。そして、拷問。愛していた人を、今まで通り愛せなくなる。
老後。わけわからん委員会でどうでもいい仕事をする。どうでもいい人たちと。
そして完全に洗脳されて、それが完成しビッグブラザーを愛したところでとこ -
-
Posted by ブクログ
色んな側面から考え、
空想し、畏怖した。
こりゃ人生の10冊に入る…
人間のもつ勇敢さと醜さ、
生と死、過去と未来、
成長と衰弱、
そういったものの蠢き、
生命の持つエネルギー、
対比のようで一直線上にあることを
体感した一冊だった。と、思う。
なかなかグロテスクな描写もあり、
美しさは美しさだけで出来ている訳ではなく
一筋縄ではいかない。
どちらもあるから美しいとも言えそう。
綺麗事や理想だけじゃないのが余計にリアルで心にくる。
なんか、上手く言葉に出来ないんだよなぁ…
なんだろうこの気持ちは。
ただただ喰らっている。立ち尽くしている。
自分にとってとても大切な部分が、この物語 -
-
Posted by ブクログ
前作から15年の月日が経っていることを感じさせる一作だった。物語は作り手の変容や時代の変容と共にあるのだと同じ著者の本を読んでいくとつくづく感じさせられる。
前作が母を失い、義母と馴染めない少年の成長譚で、今回は一人娘が事故で植物状態となったシングルマザーの心の回復の物語。主人公のセレスは失われたものたちの国で32歳の記憶も精神も保ったまま16の姿になって旅をする。前作がまだ幼く様々な事によって経験をつみ大人となっていくのと異なり、今回セレスはまず今までの経験を踏まえて様々な事に冷静に対処していく。ただ思春期の頃に戻ることでもう一度子供心も取り戻しつつ、大人としての生き方を再度見直していくこと -
Posted by ブクログ
これは――おとぎ話なのか?痛烈な風刺なのか。どうとも捉えられそうな、イギリスと熊の物語8編。
言葉なき熊と取引めいたことをして、人間は心の安寧を得る。しかし、しょせんそれは異なる種族との取引。常識も前提も違う熊との間で、お互いに利がある取引なんてのはまやかしなのだと明らかになる。熊は知らず課された役割を、やはりそうとは知らぬまま放棄して、少しずつ人間社会から遠ざかっていく。そのさまが、人への皮肉や糾弾にみえる。
読み進めているうちに、熊が人にも思えてくるのがこの本の怖いところ。虐げられている人、支配されている人、社会の中で見えない存在とされている人たちを熊に仮託しているのではないか?ときに団結 -
-
Posted by ブクログ
「果てしない物語」や、ナルニアのような物語かな?と思いつつ読み始めました。
色々な童話のかけらが散りばめられた不思議な国で、主人公はさまざまなものと出逢いながら王様の元へ向かいます。
その世界の秘密は? 謎の男の正体は?
最初は様子を見ながらでしたが、途中から、物語の世界に入り込んでいました。私が物語を覗き見たというよりも、その世界を自分も体験したような感じ。
こういう読後感は本当に久しぶりでした!
ねじくれ男的な部分って、私の中にもあるよな、とか。物語を通り抜けて、私自身もディヴィッドと同じく、すこし成長したような感じ。読んだ後は寂しさよりも清々しさがある。
いい物語に出会えたなぁ!
-
Posted by ブクログ
「戦争は平和なり、自由は隷従なり、無知は力なり」というスローガンのもとに、「ビッグ・ブラザー(偉大なる兄弟)」が心身ともに国民を支配するディストピア世界に抵抗する一人の男の話。
半世紀も前に書かれた小説なのに、ここ最近のマスメディア(SNS含む)の騒動に通じるものを感じる。
この本が「予言の書」と呼ばれる所以だろうか。
ロシアによるウクライナ侵略戦争が始まってすぐぐらいの時のロシアでこの本が発禁になり、戦争を反対する人がストリートで売っていたのをテレビで見た(今は禁止されていないそうだが、良くも思われていないらしい)
本を売っていたあのおじいさんはご無事だろうか。
発禁になるのも納得の内容 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレジブリ映画の「君たちはどう生きるか」の理解の助けになるかと、原作(原案?)の一つであるこの小説を読んでみた。
この小説自体の面白さ、テーマ性の力強さに圧倒され、宮崎駿監督はこの要素を取り入れたのかな等と考えつつも物語を楽しむことができた。
しかしこれを読んであの映画を作ったのかと思うと、やはりオリジナリティの天才だと思う。
まずこの本は、物語と人生の密接さを描いている。
数々の童話をモチーフにした物語や展開が描かれ主人公や登場人物の人生に相互に影響し合っているのが分かる。物語は生きており、それを読まれたがっているのだ。
そしてこの本は、ひとりの少年が成長し、大人になるまでを描いているのでは