【感想・ネタバレ】アメリカへようこそのレビュー

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Posted by ブクログ

現代とアメリカ

「アメリカにようこそ」という書籍のタイトルは、この短編集に収められた一つの作品の邦題だけど、この短編集全体もよく表していると思う。
私自身はアメリカに何年か住んだことがあるけど、そこで感じた、表面上は温かみがあるように見えるけど実は人工的で書き割りのような社会の雰囲気をこの本を読んで改めて追体験したような気がする。
 一部を除いてどの短編も、今より少し未来のアメリカを舞台にしていると考えるのが自然だろう。そして生と死が全体を通しての大きなテーマになっている。でもそれは単純な生と死ではなく、デジタル空間での生、皆に祝福される死、生と死の境目、死から生への逆再生のような様々なひねりが加わる。そこに物質主義的なエッセンスが加わることで現代のアメリカとの地続き感が強まる。全ての短編が生と死を扱う訳ではないけど、それ以外のテーマも移民やアメリカ的価値観そのものだったりする。
 全ての短編に共通するのは違和感と抑制された解決。少し読み進めて「あれ、これってどういうこと?」とページを戻すことも多々あった。全てがわからないところも多い(と思う)。それが快感になっていくところも魅力。
 翻訳者の後書にあるように文章は翻訳された日本語でも敢えて長くとめどなく流れていくところがあり、最初はとっつきにくさを感じる。描写した名詞をどんどん繋げていく手法はこの作家の得意とするところなんだろう。読み進むにつれて文体に慣れていくところもあって、中盤以降の作品の方が印象深くなっていくところもあるかも。
 特に印象に残ったのは、以下の短編でした。
儀式
変転
終身刑
幸せな大家族
魂の争奪戦
ツアー
アメリカへようこそ

 

0
2023年05月06日

Posted by ブクログ

SF短編集です。
どの話も派手に終わったり、綺麗に終わるようなお話ではなくずっと不気味な感じだったり違和感がずーっと続くような話が多く楽しめました。
一部刺さらないような話もありましたが、
「出現」「アメリカへようこそ」辺りは移民問題や、現代のアメリカのリベラルを皮肉ってる内容でとても好きでした。
「売り言葉」「魂の争奪戦」は個人的に好き。
「儀式」「変転」「終身刑」辺りは今後近未来に起こりそうなテーマで面白い。

好き嫌いは分かれそうな小説でした。

0
2024年05月13日

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