荻原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2005年第18回山本周五郎賞
2006年映画化
第一線で働く広告代理店営業部長
五十歳を前にして 若年性アルツハイマーと診断される
自分の記憶を守ろうと日記をつけ
できるだけメモに残して
仕事と生活を守ろうとする
何かを忘れているのではという不安の中
娘の結婚式まではと 記憶を残そうとする
それでも病気は少しづつ記憶を奪う
日々増えていくメモの束に苦しくなります
見慣れた場所が突然見知らぬ場所に
記憶を徐々に失う怖さと
一時前が思い出せない恐さ
ポケットに詰め込んだメモが舞い上がる様が
あまりに哀しい
発症年齢によりますが
仕事も家庭もまだ主軸であろう人生半ば
荻原さんは、いつも優しい -
Posted by ブクログ
ネタバレ家族がテーマの7編の短編集です。面白くて笑える物からちょっと寂しく切ない物まで楽しめました。
『肉村さん一家176kg』は家族3人でダイエットに励むお話ですが、お気楽すぎて絶対痩せる日は来ないな~。でも幸せそうだからそのままで良い感じ。
『磯野波平を探して』はそうそう、波平さん54歳という年齢に衝撃です。70過ぎだと勝手に思い込んでいましたからね。
『プラスチック・ファミリー』は一人暮らしの男性がゴミ捨て場から昔好きだった女性に似たマネキンを持ち帰り、更には子供のマネキンまで購入してニセ家族を楽しむお話。ラストの決断は意外だけどちょっと安心もしたかな。
『住宅見学会』は迎える家族も見学 -
Posted by ブクログ
就職を諦め、大学院進学を志す映画研究会の高橋真矢。アルバイトとして民俗学の准教授のカメラマン兼助手として同行する「座敷わらしの右手」「河童沼の水底から」「天狗の来た道」の3篇。
座敷わらしと河童のお話が実は大昔の子供の間引きが関係しているかもしれないという説にはびっくりです。現地調査でそれらしき物が現れるのは真矢の目の前だけで布目准教授の前には現れない。真矢には得体の知れない物を引き付ける何かがあるのかしら?
天狗の北欧精霊説も面白いですね。天狗の渡したコインはどうなったのかな?
最初はこのコンビどうなるのかと思っていたけど、ちょっと恋愛感情が芽生えた様子。二人の今後も見届けたいし、続編 -
Posted by ブクログ
広告代理店営業部長の佐伯は、50歳にして記憶に不安を持ち、
病院で検査をした結果、若年性アルツハイマーと診断された。
仕事で、重要な案件を抱えて、日々、遅くまで仕事をし、
寝不足が重なり、病気に対して悪循環な生活をしていた。
娘の結婚を控え、仕事を続けていけるのか、不安を抱えつつ、葛藤の
日々を送る。
主人公である佐伯の家庭、会社、趣味で通っている教室
での葛藤や思いを読み進めていく中で、決してつらい物語だけではない、
家族愛や思い出などが描かれていて、爽やかに読み終えられた。
佐伯の大学時代の経験や思い出が、趣味や家族への思いに関係するし、
趣味で通っている教室での、数度目のシーンで感情を -
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主人公の伸郎は妻帯者で2児の父であります。元はなぎさ銀行の行員を勤めていましたが,ある出来事を機に行員を退職することに。そこで転職活動中に「45万円の収入可」という文言を目にし,タクシー会社に勤めることに。とは言っても45万円の収入を得るには歩合制のタクシードライバーにとってはどれだけ上玉の客を拾えるか,が重要になってきます。この作品は伸郎が自身の人生に悔悟の念を抱いている状態でスタートします。「あの時ああしていればな」と人生を振り返るとそう思ってしまう瞬間が多々あります。人生の「タラレバ」の瞬間はそこかしこに転がっています。人生という旅路を曲がり角で一々表現しているところが自分的には印象的で