あらすじ
恋人にふられ、やりがいのない仕事に追われていた潤は、夏祭りで気まぐれにすくった琉金にリュウと名をつけた。その夜、部屋に赤い衣をまとった謎の美女が現れ、潤に問いかける。「どこだ」。どうやら金魚の化身らしい彼女は誰かを捜しているようだが、肝心な記憶を失い途方に暮れていた。突然始まった奇妙な同居生活に、潤はだんだん幸せを感じるように。しかし彼女にはある秘密があった。
温かくて切ない、ひと夏の運命の物語。
※本書は2015年7月に小社より刊行された単行本を文庫化したものです。
感情タグBEST3
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金魚のリュウが人間になった時の行動の一つ一つが可愛くて、クスッと笑える。
リュウに振り回される男性・潤に少々同情するところもあるが、二人のやり取りが私は好き。
『金魚』を学べる。
不思議な体験をした気分になる。
悲しい部分もあってつらいけれど、
私はこの作品が好き。
Posted by ブクログ
キャラがとにかくかわいい。リュウが現れるときの効果音や少し高飛車な物言いが、読んでて目に浮かぶようだったよ。
そして人間の観賞用のために作られた金魚たちの姿たるや。頭のコブや目の周りの風船。スマホで検索した画像を見て、痛々しさに胸がつぶれそうだったよ。文中で、犬の繁殖にも少しだけど触れてたよ。
人間の恐ろしさを目の当たりにしたよ。考えさせられたー
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金魚の化身と暮らす不思議なお話の中に、荻原さんの絶妙な表現の面白さがあって、話に引き込まれていきます。
そして、何度読んでも、ラストの一言には大きな衝撃を感じます。
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感情をくすぐるポイントが多く、飽きずに読む事が出来て、尚且つ続きが気になるので読書の時間が非常に楽しく感じました。僕にとってもひと夏の思い出となりました。
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自殺願望を持った男と人間に変化できる金魚(金魚に変化できる人間?)の出会いから別れまでを描いた長編
リュウ(金魚姫)のキャラクターが面白くも可愛くもあって癒される
"押し入れのちよ"のちよちゃんよりも少し大人な設定であったが、話し方や仕草、性格など通ずるものがあり愛らしい
守るべき対象が存在することで、絶望の淵からいつの間にか抜け出し生きる力を取り戻していく江沢の姿も良かった
ただ、リュウが金魚であること、そして復讐のために生まれ変わりを繰り返していることが念頭におかれるため
この微笑ましいやり取りも、いつかは終わりがくるということを読んでいる間中忘れられない
楽しさの裏に切なさと不安が常にあった
「すべては繋がっている」
リュウが生まれ変わりを続けていたのが、復讐のためであるというのは明らかだけど
江沢は必死にリュウの世話をしていたのだけど
結果的に江沢はリュウに救われて生き長らえているように思える
リュウは江沢にとっては救世主だったのではないか
「笑止。」
残酷と可憐と、疲弊と生甲斐と
一方では、恋愛も生活もままならず、
死とすれすれで生きている男。
もう一方では、
期待がこの上もなく膨らんだところで
残酷極まりない現実に直面する女。
やる気ゼロに近い者と
何度死んでも何度も復讐を繰り返す者。
かと思うと、なんともあどけなく、
可憐で綺麗な魚?女?だとか、
いろいろと女の魅力も感じられる。
死者を目の当たりにする不思議な感覚も味わえる。
死に触れたり、弱いものに頼られることが
人を本当の人にしていくのを見る驚きもある。
珍しい植物の蘊蓄も興味深い。
釣り込まれてどんどん読み進めてしまった。
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切なくて淡い恋の物語。最後までじわじわと気が抜けなくて、他人の恋路をどうかハッピーエンドであれと切に願ってしまう。自分の信念と情がぶつかった時、情を選べる美しさが、わたし自身にもあればなぁと思いました。
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荻原さんの作品にはハズレがないんだけど、これは一番好きな作品になりそうです。ユーモア溢れるファンタジーではありますが本当に最後しみじみとさせられます。
何度でも読み返したくなります
以前図書館で借りて、荻原作品に目覚めるきっかけとなった本です。金魚の化身のリュウは、凄絶な美しさから庇護欲をそそる愛らしさまで備えたとても魅力的な存在です。憎い男の血を絶やすためだけにずっと生きてきたのに、好きになってしまった主人公には手を下せず、金魚として人生を終える固い決心に涙せずにはいられません。
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読み始めた時は『ブラック企業で働く俺 お祭りで掬った金魚がビショビショの美少女になったので同棲することになった件』というようなラノベタイトルが頭に浮かび、大丈夫か?と心配になったが、ファンタジーと現実のバランスが絶妙でスラスラ読めた。
何よりリュウが可愛い。昔の中国から脈々と続く復讐の旅路での途切れ途切れの記憶だけ持っている、無垢な女の子。潤の関わり方も愛にあふれていて、うるっときた。特にオキチモズクが枯れてしまって右往左往するシーンが好きだった。
そして結末が…ミスリードに騙されてたので「そっちかー!」と…
でもそうすると何故最初に出会った時に復讐しなかったのか?そもそもなぜ記憶が消えてしまっていたのか?霊が見えるようになったのはなんで?
そこにも深い理由と縁があるのかな?もう少し考察したい感じ。
復讐の旅を終えて愛する人と?穏やかに最期の時を過ごせてよかったね…
あ、あと子どもにヨウガって名付けたかったのは分かるけど、奥さんが急に出てきたのだけがちょっと残念だったかも。
Posted by ブクログ
予想はできていたけど、次のページを捲ったときの衝撃!多くの方と共有したいですね。暗〜く、厳しい社会人生活がリアルで面白いし、その後の金魚姫とのめぐり逢い、その水でいいの?の不安、読み応え十分なお話しでした。
Posted by ブクログ
祭りの屋台で掬った特別な金魚(琉金)の「りゅう」と、ブラック企業に勤め上司のパワハラと交際相手との破局で精神的に追い詰められた「僕」との物語。
記憶を無くしたりゅうの過去に繋がる手掛かりを探し、過去と現在を往復しながら話が進む。
先が分かりそうで分からない、けど何となく予想できてやっぱり〜という部分もありつつ、二人の関係の終着は意外なようで、けれど切ない夢の終わりを感じるようで。
愛によって一つの結末にたど辿り着く話。
ただ、元恋人のあの流れは効果的だけどちょっと唐突だなと感じてしまった。
Posted by ブクログ
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あの一言をきちんと考えて配置してあるのが良かった。
もし社長だとすると展開がみえないから、
もしかしたらなーと思いながらではあったけれど。
Posted by ブクログ
どっぷり物語に浸りました!おもしろかったし、最後そんな…とちょっと泣いちゃいました。
物語は仕事に未来を見出せず、酒浸り&薬浸りの潤のお話。ふとしたことからお祭りで金魚すくいをやって金魚を持ち帰る。それとは別に千年以上前の中国でのお話も絡んで来る。とある美女が婚約者の仲を裂かれ、ジジイと無理矢理結婚させられそうになる。
これ、どうやって話まとめるの⁇いややっぱり最後はハッピーエンドだよね⁇とぐいぐい読ませる。ところどころ過激な描写はあるけど。
最後の場面はうそ⁈って思わず叫んでしまった。
元カノが出てくるシーンとか、だんだん立ち直っていく主人公の描写がとにかく秀逸!
ジブリあたりでアニメ化しないかな…切なくてちょっとリアルで泣けて可愛らしい物語です。
Posted by ブクログ
文字が小さく少し分厚い本だったので、
読書初心者のわたしには少し早過ぎたかと思ったけど、
読めば読むほど続きが気になり、あっという間に読み終えた。
金魚の『リュウ』の謎を巡って話は進むが、
現代の話の途中で、過去の話を織り込ませ、
リュウとなにか関係があるであろうと思わせる展開がドキドキわくわくさせられた。
リュウを飼い始めたことにより起きた主人公の異変も、
少し胸が締め付けられるような話でジーンときた。
最後はまさかの、しかし、そうだったのか、、となんとも言えない気持ちに…
読んでいて、段々とお茶目なリュウに読者の私も心を惹かれていたので、とても悲しく切なった。
またリュウに会いたくなったら読み返そうと思う。
Posted by ブクログ
まるで透明な水の中を手探りで進んでいるような、不思議な世界観の物語。
過去と今が交錯して、真実が明かされていく。
少女のようなリュウとの生活に、現実的ではないのに現実に引き戻され生きる力を取り戻す潤。
リュウは…真実に気がついてしまったが、それを許して二人で幸せになる道は本当に無かったのかな。
できないよね。千幾百年そうして死なずに生き繋いできたのだから。
物語は美しく、ラストは好きな終わり方だった。
Posted by ブクログ
陳腐な感想から言うと
映画化をイメージさせる
内容だった
それだけ
ドラマチックで
引き込まれていき
本を開く楽しみを
感じさせてくれる
死の恐怖も
改めて感じさせられる
そんな
キュンとなる
本
Posted by ブクログ
同棲していた恋人にふられ、ブラック企業勤めにも疲れ果てていた潤という青年が、夏祭りで気まぐれにすくった金魚にリュウ(琉金だから)と名前をつけたところから物語は始まる。
リュウを飼い始めた夜に、赤い衣をまとった美女が潤の部屋に現れる。どうやら金魚の化身らしい彼女は、誰かを探しているようだが、肝心な記憶を失い途方に暮れていた。
突然始まった奇妙な同居生活に、潤はだんだんと幸せを感じるようになっていったが、しかし彼女にはある秘密があった。
数ヶ月前に読んだ本なので多少忘れている部分もあるのだけど、因縁とはこういうことか…とストーリーのつくりにとても感心した。
突如として潤の目の前に現れたリュウは、遠い昔の中国生まれ(金魚、琉金がそうなので)。長崎生まれの潤のところに現れたのには、彼らが想像するはずもない因縁があった。
リュウのキャラクターは、当たり前だけど世間知らずの自由奔放キャラで、とてもキュートだけど一緒に過ごすのは正直大変そう。笑
潤は元々振り回されキャラなのか、それとも状況から疲れ切っていて身を任せている感じなのか、リュウに振り回されながらも彼女に惹かれてゆき、彼女がいない生活など考えられないようになってゆく。
仏壇仏具の営業をする会社に勤めている潤が、リュウと出逢ったあと、ぐんぐんと営業成績をあげていく様もとても不思議で心地よい。
成績をあげようという野心ではなく、大切な人を亡くした誰かに寄り添うということが、自然に出来ていく様が。
この小説は今年の春先にドラマ化されたらしいけれど、映像化し甲斐がありそうだなと感じた。リュウを演じた女優さんが、嫌いではないけれどイメージとはちょっと違うかな、とは思ったが。笑
よく出来た、エンタメ性が高めの物語だと思う。すらすら読める系です。
Posted by ブクログ
予想外…
漠然とだが「ひだまりの彼女」的な話だと思っていた
が、話は古代中国の金魚のルーツにまで及び
おなじみの、主人公への恩返し
または、恋心から人型になる
というのとはまったく違うものだった
「巡る輪はいくたびも同じ場所へもどる」
なるほど…これがキーワードだね
ストーリーも楽しめたし、出目金などの金魚は
観賞用に作られたというのも勉強になった
Posted by ブクログ
潤とリュウの漫才のようなやりとりに笑わされ、元恋人の✕✕に泣かされ、終盤「●●だ」に驚かされ、余韻残すラスト…荻原浩らしさ全開のファンタジー。
Posted by ブクログ
理不尽な仕事に追われ彼女とも別れてしまい、虚無感に満ちた現実に疲弊し自死を考える主人公。
金魚に変化できる不思議な力を持ち、悲惨な過去を抱えながら古より不老の体で生きる美女リュウ。
数千年の時を超えて、彼の未来と彼女の過去が交わる物語。
ドラマ化はされているようだが、アニメの方で見てみたい。(99%ありえないとは思うが)
内容がファンタジーということから、アニメの方が描写に違和感が生じにくく自由度が高いため
視聴者が受け入れやすいと思われる。
*****以下、ネタバレ要素あり*****
良かった点
中後半から終盤にかけての展開は変化がありテンポが良く、スムーズに読み進められた。
特に以下のシーンは予想外の展開で驚いた。
・元彼女が幽霊となって表れるシーン。
・林社長をミスディレクションに使い、実は主人公がリュウの仇の末裔だとわかるシーン。
→残り少ないページ数で、どうやって林社長との因縁に決着をつけるのだろうと不安に思っていたこともあり面食らった。
個人的に合わなかった点
登場人物の魅力に物足りなさを感じた。
主人公は現代社会に実際にいそうな社会人で、基本的に内向的な考え方で惹きつけられるような
言動や成長があまり感じられず、ありのままでリアル過ぎるのが残念だった。
リュウに関しても登場から終わりまで、ほぼ受け身状態で言動と感情の起伏が最後の方しか感じられず
物足りなかった。
そのため、序盤から中盤にかけては大きな変化がなく中だるみしてしまい、ページをめくる手が
数か月ストップしてしまった。
最後の結末は、別ルートも有りなのではないかと思った。
千幾百年もの間、仇を討つために生きてきたリュウの思いを大きな愛をもって、主人公が死を受け入れる選択肢もあったのではないかと思ってしまった。
その上でリュウが生かすか殺すかどちらを選ぶのかを葛藤する構図もあったのではないか。
しかし、これは若干の消化不良感があるだけで、本編についてこれはこれでOKと不思議と納得できた。
Posted by ブクログ
リュウのように可愛いく、魅力的な人物を他の小説でも見たことがない。冒頭からこの不思議な関係は長く続かないこともわかっていた。
だからこそ、この終わり方は余計に淋しい。
面白かったけど、やっぱりリュウと潤のふたりのハッピーエンドがよかったなぁ…た思う。
Posted by ブクログ
テンポよく読み進めることが出来た。
内容的にはちょっとラノベっぽい感じなのかも。
夏の暑さや夏祭り、ブラック企業の描写など情景が分かりやすく頭の中でイメージが浮かびやすかった。
Posted by ブクログ
読む手を止めたくない、そんな本でした。
序盤の暗い話から、どんな展開になっていくのだろうかと思いながら読み進めていましたが、主人公を取り巻く環境が痛く、主人公の優しさが沁みました。
最後の結末は予想外でした。
Posted by ブクログ
本やさんで見かけ、表紙のきれいなとことタイトルに惹かれて購入。
ストーリーは面白く、描写もきれいに浮かぶ。
リュウと主人公の絶妙なズレ具合の会話も、すごいなあと感嘆しながら拝読。
ただ、全ては繋がっている。という流れでのラスト、というか、主人公へ繋げたことが、私的には納得いかないというか……。
せっかく面白かったのに、、、という残念な気持ち。
Posted by ブクログ
ええええ!!!
そ、そうなの?!!!って思ってたら読み終わってた。。
絶対に社長だと思ったし、、劉と潤、、どうしてもしっくりこない。。
かなりモヤモヤとした読後感。。