恋人にふられ、やりがいのない仕事に追われていた潤は、夏祭りで気まぐれにすくった琉金にリュウと名をつけた。その夜、部屋に赤い衣をまとった謎の美女が現れ、潤に問いかける。「どこだ」。どうやら金魚の化身らしい彼女は誰かを捜しているようだが、肝心な記憶を失い途方に暮れていた。突然始まった奇妙な同居生活に、潤はだんだん幸せを感じるように。しかし彼女にはある秘密があった。
温かくて切ない、ひと夏の運命の物語。
※本書は2015年7月に小社より刊行された単行本を文庫化したものです。
Posted by ブクログ 2019年08月18日
切なくて切くて。悲しいくらい真っ直ぐで必死だった。
ブラック企業で働いている潤はアルコールと眠剤でスイッチを切るようにしないと眠れない。毎日が地獄の様で、自分では確実に鬱だと思っている。そんなある日、ひょんなことから、夏祭りで釣った金魚(琉金)を飼うことになり、どこからか赤い中国の着物を着た美女(金...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年03月14日
まるで透明な水の中を手探りで進んでいるような、不思議な世界観の物語。
過去と今が交錯して、真実が明かされていく。
少女のようなリュウとの生活に、現実的ではないのに現実に引き戻され生きる力を取り戻す潤。
リュウは…真実に気がついてしまったが、それを許して二人で幸せになる道は本当に無かったのかな。
で...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年10月25日
同棲していた恋人にふられ、ブラック企業勤めにも疲れ果てていた潤という青年が、夏祭りで気まぐれにすくった金魚にリュウ(琉金だから)と名前をつけたところから物語は始まる。
リュウを飼い始めた夜に、赤い衣をまとった美女が潤の部屋に現れる。どうやら金魚の化身らしい彼女は、誰かを探しているようだが、肝心な記憶...続きを読む