荻原浩のレビュー一覧
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家族がテーマの短編集。ありきたりな内容になりそうなところを手法をそれぞれ変えて書かれているので、持て余すことなく読み進められる。
そして「どこかの家族の話」のつもりでお気楽に読んでいたのに最後の一編にやられてしまう。私たちのように「1月なんてなければいいのに」と呟く家族がいたから。
自分たちが自身で決めたことを実行しようとする時のエネルギーは、すなわち自分たちを生かすエネルギーにもなるということ。「時ぐすり」なんて人は簡単に言うけど、ただただ下を向いて嵐が過ぎるのを待っていても心は立ち直らない。
深い深い共感とぼろぼろとこぼれる涙。この夫婦を抱きしめたくてたまらない。 -
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ネタバレ「海の見える理髪店」・・・ある理髪店に訪れた客と店主の何気ない日常風景。真摯な理髪店店主の対応に感心していると、、、、予想外な展開に、その場の「店主」と「客」の心情に新鮮なほっこりさが味わえた。
「成人式」・・・娘を亡くした両親が悲しみと絶望に陥る中、生きていれば20歳になる娘の代わりに「成人式」に出る、という前半シリアス後半痛快喜劇、という読んでて楽しいながらも両親のカナシミから抜け出そうという葛藤に考えさせられる物語。特に、成人式に出ることに当然ながら恥じる妻に対してかけた夫の「他人を自分を映す鏡と思わなければいいんだ!」というセリフは自分の行動に自信を与える斬新な考え方だった。 -
Posted by ブクログ
◾️サマリー
・若年性アルツハイマーで様々な記憶が消えていく
・主人公は齢50歳のサラリーマン
・仕事や私生活に影響が出るが、妻が献身的
◾️所感
歳を重ねると昔の記憶が鮮明になり、ここ数日前の記憶が、だんだんと思い出せなくなるらしい。
主人公の佐伯さんは50歳にして若年性アルツハイマーになる。仕事に支障が出るようになり、最後は会社を去ることになる。痴呆、鬱などの見た目は健康体な病は、なかなか、社会において理解を得ることが難しい事が窺い知れる。
しかし、家族の理解が主人公の助けになっている。
いかに身近な人の理解が重要なのかを本書を読んで感じた。
プライベートでは、献身的に妻が支えてくれ、一 -
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ネタバレ猫好きだし、好きな作者が含まれいたので。
好きな作者、若竹七海の「神様のウインク」は
文字通り沈みつつある公団に住む中学生の話。
幼い頃の火傷の痕が顔にある少年は、
母親はいるが顔を合わせてもらえず、
母親に代わって祖母の面倒をみるヤングケアラー。
その相方は、
そんな火傷の痕なんて大したことないと言って、
父親によるたばこの痕で水玉模様になった尻を見せた同級生。
相変わらずひりりとした話で、かつミステリー仕立てで面白かった。
他の作者は全くチェックしておらず期待もしていなかったが、
「オロロ畑でつかまえて」の作者はYouTubeでバズった猫の秘密、
「ある日、あひるバス」の作者は四代に渡