あらすじ
主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが…「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は…「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族の小説集。第155回直木賞受賞作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
荻原浩さんの「海の見える理髪店」を読んで
過去を懐かしみながらも
自分の犯した罪と向き合いつづけ
ただ終わりを待つだけの日々も
今は小さすぎるその声が
力が無力に見えるような時でさえも
深い悲しみに
生きる力が尽きてしまいそうな
長すぎる歳月の中でさえも
心を閉じすべてを諦めるのではなく
ほんの少しの一歩踏み出せば
その先には確かに今とは違う明日が続いている
暗くて出口の見えないトンネルから
温かな光が射す青空のもとへ
抜け出すことができる
私も これからの人生を
諦めず
ほんの少しでもいいから
昨日よりも前に一歩
今日よりさらにもう少し一歩と進み続け
光を探し求めながら
日々を生きていきたいと感じました。
Posted by ブクログ
僕みたいに不義理でへそ曲がりな人間だとなおさらのこと、 こういうのを読んだとき不覚にも涙が出てしまったりする。いかんよけしからんよ。こんなオッサンを泣かせないでおくれよ。6編ともハズレ無し珠玉の短編集だけれど 強いて挙げるならそうねえ「成人式」がいちばん残ったかな。6編 読み終わったら なんか実家に帰ってみたくなった。
Posted by ブクログ
表題作を含む6作の短編集
・海の見える理髪店
海の見える辺鄙な所にある理髪店
その理髪店を訪れた客である「僕」に、店主は髪を切りながら自らの過去を語り始める
昔やっていた店には大物俳優や政財界の名士が訪れてきたというが、今は何故こんなところで営業しているのか?
「僕」がわざわざ訪れた理由とは?
やはり表題作だけあって面白いし、人情味に溢れている
特に、店主が最後に髪を整えるところがいい
果たして、その行為は職人の気持ちだけではなかっただろうと容易に想像できるような余韻
・いつか来た道
中学の美術教師で画家だった母
そんな母のいる実家に、弟の充の説得もあり十六年ぶりに帰った娘の杏子
かつては英才教育で厳しく育てられたが、それは母が娘に自分の夢を託したかったから
しかし、実家にいたのは認知症になった母
帰ってこなければよかったと後悔するが、自分の知らなかった母の心情を知ることになる
認知症になった身内に対する話は他の作家さんでも読んだ事あるけど
昔はあんなに厳しかったのにというギャップが、自分の中の蟠りと相まって複雑な感情を覚えるのは想像しやすい
でも、認知症になったからこそ、昔は内に抑えていた感情が零れ出ることで真意を知るというのはどうなんですかね
だったら昔にそうしてくれよとも思ってしまうかも
・過去から来た手紙
仕事優先な夫と何かと煩わしい義母に反発し、娘を連れて実家に帰ってきた祥子
農家の実家には弟夫婦が同居していて、居心地が良いわけではない
夫はすぐに迎えに来るでもなく、やはり仕事優先
そんな不満を募らせる祥子に見知らぬアドレスからメールが届く
そのメールは夫からと思っていたが、実は……
ファンタジーですねぇ
でも、子供や家族とは会えない状況で自分の責務を果たさなければいけないというのは中々に辛いだろうなぁ
・空は今日もスカイ
親の離婚で見知らぬ街に引っ越してきた小学三年生の佐藤茜
街の住人に受け入れられず、友達もいない茜は家出し、とりあえず海を目指す
その途中で虐待されていると思われる少年 森島陽太と出会う
二人で海を目指すが……
やはり虐待されている子が出てくる物語は読んでいて辛い……
そんな二人の前に現れた人物も、社会からは切り離された存在なわけで
まぁ、何ともなかったからよかったけど
この後、二人ともう一人はどうなったのでしょうね?
・時のない時計
二か月前に亡くなった父の形見として母から機械式時計を受け取り、時計屋に修理のために持ち込んだ事から思い出す父の姿
謹厳実直で真面目な父という認識だったが、実は見栄っ張りなところや派手さもあったというギャップ
そして、時計が実は……
子供の頃の父の思い出と、時計を大人になってから受け取って知る事実
昭和の親父像としては、普段は無口で頑固という印象を抱きがち
作中の父は経理担当で地味な印象を持っていたけど、意外とそうでもない面もあったとか
しかもそれがさらに違ってたというコロコロ変わる展開がよかった
・成人式
15歳で事故で亡くなった娘宛てに届いた成人式の着物の広告
そんな娘に代わり、両親が成人式に替え玉として出ようとする話
親世代が振袖とか、どれだけ若作りしても普通にバレバレでしょうに
それでも夫婦ともども娘のカタキをとるように奮闘する姿は滑稽でありながら愛を感じる
全ての話の共通点としては「家族」でしょうか
そして、以前は見えなかった側面が見えてくるところ
話の内容もさることながら、文章が落ち着いていて読みやすかったという印象
直木賞の受賞作という事だけど
こんな傾向の作品でも受賞するのですね
まぁ、一番最初にノミネートされてから何度も逃した末の受賞のようだけど
人によっては面白さが伝わらないかもね
----------------
直木賞受賞作 待望の文庫化!
人生に訪れる喪失と、ささやかな希望の光── 心に染みる儚く愛おしい家族の小説集。
店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが……「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は……「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族小説集。直木賞受賞作。
----------------
Posted by ブクログ
溢れ出る「こういうのでいいんだよ」感。
表題作の海の見える理髪店の展開にガツンとやられ、どの短編でも情景や儚げさを見事に表現されている。解説にもあるけど各物語のアイデアが素晴らしい。
荻原浩は月イチぐらいで摂取したくなる。
Posted by ブクログ
それぞれの舞台や情景を、色味も含めて想像できる短編集。穏やかな物語の中に、ハッとさせられたり大転換が時折忍ばせてあり、読み進めるのが楽しい。
海の見える理髪店、いつか来た道、成人式がとくにお気に入り。
Posted by ブクログ
短編なので小気味よく読み進められた。哀しいストーリーもあったがほろっとなれる話もあり、読後感はいい作品だった。荻原浩さんの他の作品も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
6つの話が入った短編集。
最後の「成人式」がめちゃくちゃ泣けた。
他の話は自分にはあんまりハマらないと思っていたけど、これだけでそれまでの評価をひっくり返すくらい良かった。
Posted by ブクログ
表題作がダントツでよかった。
理髪師の語る自身の半生と、社会の変化とともに移り変わる髪型の流行の変遷。
読んでいるだけでうっとりしてしまうような、調髪、シャンプー、ひげそり、マッサージという一連の流れの魅力ある描写。
最後にさりげなく語られる若い客との関係。
そして最後の理髪師のセリフにしびれた。
結末を知って再読すると、2人の会話は様々な含みがあったことに気づく。
数年前に録画していたドラマも視聴したが、2人の表情の演技が素晴らしかった。若い客が店に来た理由や、店の片腕を殴った理由、なぜ店を海の側で開いたか、など、ドラマだけに、よりドラマチックにアレンジされていた。
Posted by ブクログ
家族にまつわる6編の短編集です。切ないけれど心温まり、未来を思い描く出発点となるような物語でした。短編ゆえの物足りなさが、その物語の未来を想像する余白になっていてよかったです。最後の『成人式』が一番グッときました。
Posted by ブクログ
色々な人や家族のエピソード風の物語を集めた短編集でした。
それぞれの物語とも、どこか哀愁を漂わせつつ、最後は心温まるストーリーでした。
よまにゃん特別カバーに惹かれて買いましたが、直木賞受賞作だったのですね、とても良い物語の集まった1冊でした。
Posted by ブクログ
どの話も面白かった。
海の見える理髪店が特にストーリーに引き込まれた。
他の話も、「切ない」の一言では表せられないような読後の余韻があって素敵な短編集だった。
Posted by ブクログ
・海の見える理髪店
・いつか来た道
・遠くから来た手紙
・空は今日もスカイ
・時のない時計
・成人式
「家族」をテーマにした短編集。
どれもこれも切なくて、ちょっと苦しい。けれども、止まってしまった時が動き出すような、細い光が見える作品が多い。
父と息子、母と娘、夫婦…など。関係が難しい時期があったり、何かきっかけがあったりだけど、近いからこそ空いた距離を縮めるのは難しいこともあって、自分を思い出してむず痒くなったり、胸の奥が少し痛くなったりする。
読後感は良かった。いい短編集だったな、と思う。
Posted by ブクログ
家族がテーマになった短編集。
喪失と、再生と、絶望と、発見と…。
なんだかんだ言いながら、家族ってどこかでしっかりつながっている。
「海の見える理髪店」「成人式」「いつか来た道」「時のない時計」が好き。
「空はいつもスカイ」は題名はパッと明るい雰囲気だけど、登場する子供がこの先どうなるんだろう?と不安が残るのでちょっとマイナス。
Posted by ブクログ
2016年直木賞作品
6つの短編小説が載せられている
・海の見える理髪店(訳あり床屋)
・いつか来た道(母娘)
・遠くから来た手紙(実家に帰らせて貰います)
・空は今日もスカイ(いちいち英単少女)
・時のない時計(時計店にて)
・成人式(我が事にはならないで欲しい)
それぞれ会話量が多いなぁ〜という印象
台詞がすーっと入って染み込んでいく感じ
オジサンが効いてる
一番は空は今日もスカイかな…
Posted by ブクログ
荻原さんの作品は文章が心にスッと入って来て、情景がくっきりと想像出来るような気がします。この小説は家族を描き出した短編集ですが、それぞれの登場人物の過去を消化し、未来に進み出す想いに共感します。表題作は伝説の理髪店の店主とその客である僕の関係を描いたものですが、2人のやり取りから描き出される父としての想い、子としての想いに心が震えました。事故で娘を亡くした夫婦が、娘の成人式に出ようとする「成人式」も印象的でした。
Posted by ブクログ
喪失と、その先のささやかな希望を描いた家族もの短編集。
6編それぞれが、母と娘、父と息子、夫と妻といった近くて遠い関係を扱っている。
表題作「海の見える理髪店」は
人里離れた海辺の理髪店に、
ある想いを胸に「僕」が訪れる。
店主が語り続ける身の上話を聞くうちに、二人の関係が静かに明かされていく構成が見事。
どの短編も、派手な事件は起きず沁みてくるお話。
Posted by ブクログ
表題作の「海の見える理髪店」では、理髪店の店主が淡々と自分の半生を語る形で物語が進んでいく。一見何気ない店主とお客さんの会話のように思えるが、最後直接の描写はないにせよ、2人が親子であり結婚の報告をしにきたという結末にはハッとさせられた。どの物語も色々な家族の形を題材にしていて、最後の展開に驚かされ心温まるような一冊だった。
Posted by ブクログ
家族、近い存在だから危うい。自分以外は全員他人だけど、やっぱり半分くらい自分に入り込んでいる。
コントロールできない自分みたいな感覚で、心の行先を左右してしまう。
近しいゆえに言葉足らずで、心のうちを想像してしまう。口に出せば済むことも多いはずなのに。
家族の存在について、考え直す本だと思う。そして、自分もまた家族の半分であることを忘れないように。
Posted by ブクログ
流石、直木賞作品。どの短編もほっこりさせる内容です。萩原氏の作品はこれまでも何冊か読んできましたが、その時代背景や語り口は浅田次郎さんとダブってしまう。優しい気持ちに浸りたい方にお薦めです!
Posted by ブクログ
表題作の「海の見える理髪店」
客が息子だと店主はいつ気づいたのか。つむじを見つめた瞬間だろうか。頭のかたちや生え癖は親子で似る。床屋という職業だからこそ、そこに「あ」と来たのではないか。
過去をたくさん語ったのは、残したかったからではなく、ただ話したかったからだと思う。その「ただ話したかった」に、会えなかった年月の重さがある。
読みながら、もう話せない父のことを思った。今、目の前にいる家族と、タイミングを待たずに話そうと思う。
Posted by ブクログ
やーっと読み終わった。
短編が苦手なんだけど、知らずに買ってしまった。
理髪店の話、最初は「何を聞かされてるんだろう」という思いで、読み進めるのが苦痛だった。ここで何度か挫折したけどついに読み切った。
話の後半はとても良かった。一冊全部読み終わった後に、また理髪店だけ読み直した。