あらすじ
主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが…「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は…「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族の小説集。第155回直木賞受賞作。
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Posted by ブクログ
海の見える理髪店
理髪店の店主
客
原田。イラストレーター。
いつか来た道
私
杏子。四十二歳。
充
弟。三十八歳。電機メーカーの係長。海外赴任が決定している。
佳織
充の妻。
七十三歳。
逸子。母。中学の美術教師だったが美術展に入選し、教師を辞め、画家として独立した。
父
母親が通った時代の後輩。十三年前に亡くなった。
マユ
飼っていた白猫。蓉子が亡くなった一ヶ月後に同じ道でバイクに轢かれて死んだ。
姉
蓉子。中学へ通う通学路で、居眠り運転の車にはねられて亡くなった。
遠くから来た手紙
江藤祥子
遥香を連れて実家に帰った。
遥香
祥子の娘。
祥子の母
嘉代子。
孝之
祥子の夫。
義母
辰馬
祥子の弟。籍だけ入れた彼女と実家にころがりこんできた。
父
麗亜
二十三歳。辰馬の妻。
クリスケ
柴犬。
椎名正男
椎名静子
空は今日もスカイ
佐藤茜
小学三年生。
澄香
茜のいとこ。
泰子
忠志
森島陽太
ビッグマン
時のない時計
私
父
時計屋
久美
従姉。
成人式
鈴音
高校に入学する前の三月に亡くなった。
父
美絵子
母。
郁美
鈴音の中学時代の友人。
Posted by ブクログ
「海の見える理髪店」・・・ある理髪店に訪れた客と店主の何気ない日常風景。真摯な理髪店店主の対応に感心していると、、、、予想外な展開に、その場の「店主」と「客」の心情に新鮮なほっこりさが味わえた。
「成人式」・・・娘を亡くした両親が悲しみと絶望に陥る中、生きていれば20歳になる娘の代わりに「成人式」に出る、という前半シリアス後半痛快喜劇、という読んでて楽しいながらも両親のカナシミから抜け出そうという葛藤に考えさせられる物語。特に、成人式に出ることに当然ながら恥じる妻に対してかけた夫の「他人を自分を映す鏡と思わなければいいんだ!」というセリフは自分の行動に自信を与える斬新な考え方だった。