あらすじ
広告代理店営業部長の佐伯は、齢(よわい)五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう! 山本周五郎賞受賞、映画化もされた感動長編。待望の電子書籍化!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
広告代理店営業部長の佐伯は五十歳にして“若年性アルツハイマー”と診断される。仕事では重要な案件を抱え一人娘の梨恵は結婚を間近に控えていた。
同世代といっても五十代のシッポの方の私と佐伯とでは少し違うかもしれない。ましてや妻の枝実子は四十代だ。
でも やっぱり自分自身とおきかえて読んでしまう。
佐伯になったり枝実子になったり…。
失っていく記憶を補う為にとったメモでスーツのポケットを大きくふくらませ、人の表情に神経を尖らせ、それでも娘の結婚式まではと職場に居続けようとする佐伯。
病に良いといわれる魚や緑黄色野菜や発芽玄米を夕食に並べ 帰りの遅い佐伯をずっと待っている枝実子。
恐かったよね きっと。私だったら恐い。
明日の朝になったら 側にいる人の顔を忘れてしまうかもしれない。忘れられてしまうかもしれない…。
そんなふうに思いながら毎日を過ごさなければならないなんて残酷だ。
それでも病は確実に進行していく─。
その過程で起こった 佐伯が趣味で通う陶芸教室での出来事は とてもショックだった。佐伯が心安らげる唯一の場所だったのに!
でも そんな事も佐伯は忘れてしまうのだ…。
最後は佐伯が二十七年前に度々通った奥多摩の山中。
「心配しないで。だいじょうぶですよ。この道で間違いない。僕がずっと一緒にいきますから」
やっぱり最後は号泣でした。
Posted by ブクログ
若年性アルツハイマーという重い題材
にもかかわらず、
ところどころユーモアな
描写にクスッと笑ってしまう場面あり。
笑って、泣いてあっという間に読み終わりました。
Posted by ブクログ
49才で若年性アルツハイマーになったサラリーマンの話。自分がアルツハイマーだということを認めたくない思いや、だんだん記憶に自信がなくなる不安など、母に重ねて読んだ。人間の生というものを考えさせられた。
Posted by ブクログ
再読
奥さんの苦しいのはあなただけじゃないってところと、ラストの奥さんが迎えにくるところで泣いた。
私自身記憶力が悪くて、若年性で発症するんじゃないかっていつもおびえているんだけど。
じゃななにが怖いのって思ったら、子どもに迷惑かけることなのかもしれない。
忘れたら、忘れてるってことも忘れちゃうんだよね?
そうなると、最後は自分は辛くない気がする。
から、大変なのは家族だよね。
完治可能になってほしいな。この病気は辛すぎる。
Posted by ブクログ
若年性アルツハイマーになった壮年男性のお話
映画を先に視聴済み
以下、公式のあらすじ
---------------------
広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた 。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう! 山本周 五郎賞受賞の感動長編、待望の文庫化。
---------------------
一人称視点で描かれているので、もし自分がアルツハイマーになったらどんな見え方をするのか、リアルさを感じる
他の人から見たら患者は意味不明な言動や何も考えていないように見えるかもしれないけど
実はその意識の中では様々な感情が渦巻いていて、ままならない状況の中での葛藤などで悩んでいるかもしれないという可能性に気付かされる
私自身、ドラマや映画を見ていても、俳優さんの名前が出てこなかったり
一度調べても翌週にはまた調べたりとか
職場でもあまり関わりのない人の名前が出てこないとかある
手書きのメモを取る時に簡単な漢字が出てこないとか
作中の日記の誤字やひらがなの表記を笑えないなぁ……
作中の日記の変遷は「アルジャーノンに花束を」を思い出した
こうやって症状の変遷が目に見える形となると、自分にまったく関係のない病気ではないという実感が湧く
そう言えば、映画では昔の師匠?とのシーンは実際にあったのか、幻覚の両方の可能性があると思ったけど
小説だとれっきとした現実のように感じた
ちなみに、出版から20年ほど経った現代
アルツハイマー病の治療は、作品が発表された当時より治療の手段が蓄積されていて、以前よりも早期発見できるようになっていたり、進行を抑える事ができるようになっていたり
また、効果的な治療薬が開発されてアメリカでは承認されたりと進歩が見えるものの
やはり本質的な治療に関してはまだまだのようだ
そもそも、認知症だれでもなる可能性がある病気なわけで
「長谷川式認知症スケール」を開発した、認知症の権威である精神科医の長谷川和夫氏も認知症になった
長谷川式認知症スケールだと自分の症状の進行度を測れないからと、自分用に別のテストをしてもらったという記事を読んだ事がある
あと、息子さんも父が認知症になった事を悲観しているわけでもなく、認知症になるくらいまで長生きできたと解釈していた気がする
癌もそうだし、認知症も長生きしたからこそなれるという、ある意味で幸せな病気なのかもしれないですね
胸が苦しくなります。
介護の仕事をしていたことがあります。
若年生アルツハイマーの方も居ました。
本人も戦っているんですよね。
記憶がなくなることの恐怖。もっと理解して寄り添えたらよかったなと思いました。
もっと早く出会いたかった素敵な作品です。
夫婦愛、家族愛にも感動しました。
Posted by ブクログ
アルツハイマーの実情と本人の葛藤をしっかりとだけど暗くならないように表していて、わかりやすいのと同じ介護を抱えるものとして共感できる。
こうなるのか…とつまされる部分もあった。
Posted by ブクログ
自分がじわじわ自分じゃなくなっていく感覚って
ほんとに怖いと思う
認知症に限らず
自分がいつ病気になるか分からんけ
大切な人との時間は大切にしようと思った
もし旦那が認知症になったら
私のことに気付いてくれるかな。
Posted by ブクログ
小説のはじめのセリフ
-------------
「誰だっけ。ほら、あの人」
最近、こんなセリフが多くなった。
「俳優だよ。あれに出てた。外国の俳優だ」
-------------
いやいや、こんなん普通にあるんですけど…
あれとか、これとか代名詞連発で、喋ってしまうこと。
そんなん、以心伝心やんか!
心が通じ合ってんねん!(^◇^;)
同じ本買ったり、順番間違ったりは、してないで〜!今のところ…
角川文庫と角川ホラー文庫で、同じのが出てて間違えたことは、ある…
やっぱりあるわ…(−_−;)
しかし、癌の告知もキツいのは確かやけど、若年性アルツハイマーの告知は、その比ではないかもしれん…
今のところ、初期で発見されても、治療方法も確立されてないし、遅らせる薬はあっても…
段々と自分ではなくなっていくと思うだけで…
同時に鬱を併発するのも分かるな…
本人もツラいけど、家族もツラい…
忘れる方だけでなく、忘れられる方も…
逆に、本人は、忘れてしまうので、ツラい事も忘れるのかな…
ラストは、ツラい…ツラ過ぎる〜(T ^ T)
とりあえず、
青魚食べる!(ムリやからDHAで!)
ちゃん寝る!
暴飲暴食ナシ!
健康的な生活や!これぐらいしかないし…
Posted by ブクログ
ユーモアを交えた
軽いタッチの小説かと思えたのは初めだけ
主人公とその妻の苦しみが手に取るように分かり
真剣に読み進めた
病気になるのは仕方ないことだし
完全に避けることはできない
病気と向かい合わなくてはならなくなったとき
自分の人間性が問われることになるのだと思う
Posted by ブクログ
とても臨場感のある作品で映画のほうは観ていないけど、どんなシーンか想像しながら読めました。
忘れたくない、記憶をなくしたくないと思う気持ちが痛いほどに伝わり涙なしでは読めません。
個人的には娘の結婚式あたりからがもうやばかったです。
自分にも子供がいるのでその存在を忘れていくなんて、忘れていた事に気づいた時には絶望で自分自身を許せなくなるんじゃないかと思いました。
Posted by ブクログ
ひやひやしながら読みました。主人公よりも一回り年長ですが、これから人生でこのような病気なるかも知れません。この小説を読むことで、少し予習になった気がします。
Posted by ブクログ
できていたはずのことが少しずつできなくなっていく…読んでいてとても辛かった。
でも読んでよかった。
だいぶ昔に読んだけどまた読みたいと思える本。いつか再読しよう。
Posted by ブクログ
自分を失っていくこと、できることが減っていくことがどれだけ恐ろしいのか考えずにはいられない。
もし、自分がアルツハイマーになってしまったら
読み進めて行くのが苦しい。
確実に病気が脳を痛めつけ、人格すらも変えていってしまう描写は残酷とも言える。
ラストは悲しく思った。
人によっては感じ方は違うのかな。
でも、救いがないわけでもなかった。記憶はなくなっても愛情は残っていたんじゃないかな。そうであって欲しい。
自分が生きているうちにできること、したいこと、残せることはなんだろうそんなふうに考える契機になった。
それでもやはり怖い病気だなー、人ごとじゃない誰でもなりうる。そのことを忘れずにいよう。
Posted by ブクログ
残酷な病気だと改めて感じる。自分を形成している記憶や思い出が、砂がこぼれ落ちるようになくなっていく焦燥感、抜け殻になる自分を想像する恐怖、人間の死は身体でも脳でもなく記憶の死ではと自問する日々…とてもリアルで、涙が止まらなかった。
キューブラロスの死の受容過程もしっかりたどっていて、諦めなのか病気の進行なのかわからないけど、自分を受け入れる流れがとても自然。
ハッピーでもバッドエンドでもないラストもよかった。これからも続く、決して良くはならない病気との生活の、新たな幕開け。
妻を忘れ、妻に再度恋するなか、少しでも優しい気持ちで過ごしてほしい。
Posted by ブクログ
読み進めて行くうちに、悲しいとか、気の毒とかとは違う、何とも言えない気持ちになりました。
一気にすべての記憶をすべて失ってしまえば、こんな気持ちにはならないと思いますが、そういう訳には行かず、実際には徐々に自分が自分ではなくなって行くことを感じながら生きていく、これは本当に辛いと思います。
若くして、というのは確率としては低いかもしれないけれど、これからは人生100年時代で認知症も増えて行くのだと思います。自分の親が、その先には自分自身が、周りに迷惑をかけたくないけれど、そんな単純なものではないんだよな。
Posted by ブクログ
◾️サマリー
・若年性アルツハイマーで様々な記憶が消えていく
・主人公は齢50歳のサラリーマン
・仕事や私生活に影響が出るが、妻が献身的
◾️所感
歳を重ねると昔の記憶が鮮明になり、ここ数日前の記憶が、だんだんと思い出せなくなるらしい。
主人公の佐伯さんは50歳にして若年性アルツハイマーになる。仕事に支障が出るようになり、最後は会社を去ることになる。痴呆、鬱などの見た目は健康体な病は、なかなか、社会において理解を得ることが難しい事が窺い知れる。
しかし、家族の理解が主人公の助けになっている。
いかに身近な人の理解が重要なのかを本書を読んで感じた。
プライベートでは、献身的に妻が支えてくれ、一人娘が結婚して初孫が産まれる。とても幸せな状況。
でも、やがて娘のことも、妻の顔と名前まで忘れてしまうことが悲しいなぁと感じずにはいられない。
◾️心に残った箇所
取引先の課長が主人公に電話越しに言うセリフ。
-------
ポジティブ・シンキングさ。
だめと思えば、人生だめになる。
いけると思えば、いけるんだよ。
病気だってそうさ。
Posted by ブクログ
病気の中でも記憶がなくなっていく恐怖はまた独特ですね。。
病気が進行していく様子がリアルで考えさせられました。
それでもラストが悲愴的な最後じゃなくてよかったです。
Posted by ブクログ
2005年第18回山本周五郎賞
2006年映画化
第一線で働く広告代理店営業部長
五十歳を前にして 若年性アルツハイマーと診断される
自分の記憶を守ろうと日記をつけ
できるだけメモに残して
仕事と生活を守ろうとする
何かを忘れているのではという不安の中
娘の結婚式まではと 記憶を残そうとする
それでも病気は少しづつ記憶を奪う
日々増えていくメモの束に苦しくなります
見慣れた場所が突然見知らぬ場所に
記憶を徐々に失う怖さと
一時前が思い出せない恐さ
ポケットに詰め込んだメモが舞い上がる様が
あまりに哀しい
発症年齢によりますが
仕事も家庭もまだ主軸であろう人生半ば
荻原さんは、いつも優しい作品が多く
こちらも 病気に寄り添う妻と理解ある娘夫婦
と家庭の支えが描かれて救われる
Posted by ブクログ
広告代理店営業部長の佐伯は、50歳にして記憶に不安を持ち、
病院で検査をした結果、若年性アルツハイマーと診断された。
仕事で、重要な案件を抱えて、日々、遅くまで仕事をし、
寝不足が重なり、病気に対して悪循環な生活をしていた。
娘の結婚を控え、仕事を続けていけるのか、不安を抱えつつ、葛藤の
日々を送る。
主人公である佐伯の家庭、会社、趣味で通っている教室
での葛藤や思いを読み進めていく中で、決してつらい物語だけではない、
家族愛や思い出などが描かれていて、爽やかに読み終えられた。
佐伯の大学時代の経験や思い出が、趣味や家族への思いに関係するし、
趣味で通っている教室での、数度目のシーンで感情を揺さぶられてしまいました。
ラストシーンを爽やかと捉えましたが、読み手によっては惨いと
思う人もいると思います、読んでみてどう思うかは人それぞれかもしれません。
Posted by ブクログ
広告代理店の営業部長、佐伯。
50歳にして、若年性アルツハイマーと診断された。
仕事では、プロバイダー『ギガフォース』向CMという大きな案件を抱え,家庭ではひとり娘・梨恵がまもなく結婚を迎えようとしていた…
若年性アルツハイマー。
佐伯よりも少し上だが、自分がそうなったら、と…
そういえば、最近、人の名前が出てきにくくなったが、大丈夫かと…
突然、襲ってくるのだから、どうしようもない…
個人差があるとはいえ、佐伯の場合は少し早過ぎるような…
もう少し、孫との関わりを楽しませてあげたかった…
すべてを忘れていく佐伯の姿も見たくないが…
ここで終わるのはちょうどよかったのか…
ここから始まる佐伯と枝実子との生活のことを考えると…
枝実子は佐伯をしっかりと支えていくんだろうけれども。
Posted by ブクログ
2025.10.26 J:com 渡辺謙、樋口加南子
広告代理店営業部長の佐伯は、齢(よわい)五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう! 山本周五郎賞受賞、映画化もされた感動長編。待望の電子書籍化!
Posted by ブクログ
山本周五郎賞受賞作
働き盛りの営業部長の佐伯は、若年性アルツハイマーと診断された。
本人、家族は戸惑い、なかなか受け入れず、
仕事をしながらも症状は緩やかに進行していく。
徐々に記憶が失われる男性の視点で物語が展開していくのは、読むのが辛くなる。
介護に携わっている身として、
若年性アルツハイマーの方と関わっているが
その人らしささえあれば、良いと思えた
Posted by ブクログ
広告代理店営業部長、50歳の佐伯は若年性アルツハイマーになる。作品の中では徐々に症状が進んでいく様子がリアル、日記にひらがなや漢字の間違いが出てくるなと描写が細かい。
佐伯が「もしも私の体から記憶を奪おうとしているのだとしたら、それを防衛しなくてはならない。自分を守るのだ。自分自身から。」というフレーズはなんとか病に抗おうとする焦りが伝わる。
人ごとではない気がして読み終えた。
Posted by ブクログ
若年アルツハイマーを宣告された会社員と寄り添う妻の物語。
得意先との約束を忘れて、道に迷い、自尊心が破壊されていく。
それでもメモを取りため、抗う姿が見ていて悲しい苦しい。
結末は分かっていても切なくて、
胸が押し潰されそうでした。
映画化されていれば、
観たいと思って調べると、
主演が渡辺謙さん。絶対観よう。
Posted by ブクログ
実体験のように描かれており、とても良く調べたんだと感じた。
メモ書きにひらがなが多くなったりするところも、この病気の怖さを表現していると思う。
妻の献身的な振る舞いと、最後の結末は泣ける。
Posted by ブクログ
若年性アルツハイマーと診断を受けた男性の物語。
穏やかに、けれど確実に進行する病が丁寧に描かれています。
ラストは、もう少しインパクトが欲しかったです。
Posted by ブクログ
これ読んだ後、急に自分の記憶力に自信がなくなった笑
いや笑い事ではないんだけど。
明日は我が身と思って読みすすめた。
それにしても陶芸の先生のとこ、気持ちがささくれだったなぁ。