荻原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今週のテレビ番組「ダーウィンが来た」は、カマキリが鳥を捕食する話だった。以前読んだ荻原浩さんの『楽園の真下』を想起する。やはり、あのストーリーは綿密な取材のもとに書かれたのだ。
本棚を整理して手前に置くことにします。
天国に近い島といわれる「志手島」は本土からは船で19時間、イルカやクジラの泳ぐコーラルブルーの海に囲まれ、亜熱帯の緑深い森に包まれている。そんな楽園で、ギネス級かもしれない17センチの巨大カマキリが発見された。『びっくりな動物図鑑』を執筆中だったフリーライターの藤間は取材のため現地を訪れるが、 志手島には楽園とは別の姿があった。2年間で12人が自殺と思しき水死体で発見されていてネットでは「死出島」とも呼ばれていた。かつて妻を自殺で失った藤間はなぜ人間は自ら命を絶とうとするのかを考え続けており、志手島にはその取材も兼ねて赴いた。やがて島で取材を続ける藤間の身の回りでも不審死が…。野生生物研究センターの准教授・秋村と共に、カマキリを探しにサンクチュアリー(生態系保護地域)に分け入って目にしたのは、信じがたい光景だった。
幼い頃、道端にお尻から黒い針金みたいな物をにょろにょろ出してもだえ苦しんでいるカマキリを見たことがないだろうか。気味悪いと感じながらもあれは何だろうと今でも覚えている。本作を読んで長年の謎が解けた。あれはカマキリに寄生していたハリガネムシだったのだ! 本作は、このカマキリとハリガネムシが鍵となって生態系を考える特上のサイエンスサスペンスだろうと思う。
フリーライターの藤間と島の野生生物研究センター長・秋村先生との大人な関係性がgood。作者独特のユーモアにちょっぴり棘を含ませたテンポのある会話に思わず笑わずにいられない。荒唐無稽に見える展開も、背景となる科学的な根拠が裏打ちされていて納得できた。秋村先生の生物に関する講義はちっとも退屈さを感じずに真剣に読んでいたら、背筋がぞくりとさせられた。
「生存戦略ストラテジー【strategy】は生物の活動の根源で人間だって同じ。生き物の駆除も保護だってどっちも身勝手な人間が気分よく生存するための戦略なんだから」の文章には身につまされた。保護って聴こえはいいが結局は動物界の頂点に君臨している人間様が勝手に決めてやってることなのかぁ。
本年の初読みが荻原浩さんで大正解。ダークサイド的にラストを持ってきたのは続編を考えてのことかもしれない。映画化したらさぞ面白いだろう!
(2020.01.12記) -
Posted by ブクログ
ネタバレ*人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった!ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦『牛穴村 新発売キャンペーン』が、今始まる―。第十回小説すばる新人賞受賞、ユーモア小説の傑作*
ずーっと読みたいと思っていた本なので期待値も高めでしたが、田舎あるあるがリアル過ぎ&荻原節も大炸裂で、のっけから笑いが止まらず。いいなあ、この空気感。
終始ドタバタ劇が繰り広げられますが、最後のオチが題名とリンクするところもスカッと爽快。とにかく面白可笑しく読める一冊。 -
Posted by ブクログ
ちょっと前の作品なんで、今の役所が、こんな気楽な仕事してるかは分からん。
民間企業にはないわな。「今日、何して暇潰そう?」とか。
「今日中に出来るかな?」とかは、あるあるやけど。
民間企業(それも過労死続出)から、地方都市の市役所へ。
よくある箱モノだけ作って、後は赤字垂れ流し…
その一つテーマパークへ出向、そこには、元役所勤務OBが、何もせんといっぱいおる。
頑張れ主人公!
役所に勤めた事ないから、知らんけど、言葉が通じん。みんなが納める税金で飯食って何してんねん!って感じ。
頑張って建て直すが…
何か、国会議員とかに振り回される官僚を思い浮かべる。上が変わるとガラリと何もかも変わる。
何かやるせない…
振り回されれんように、適度に上をコントロールせんとあかんのか…
この作品では、上は、市長、役所の上司、古狸 etc…
しんど〜〜〜(ーー;) -
Posted by ブクログ
正直、読み始めは、堕落した中年男性のだらしない日常の話か…となかなか読み進められず失敗したか、と思った。
しかし1/3を読み終えたくらいからどんどん面白くなり読み止められなくなった。主人公の牧村の妄想はぶっ飛んでいるけど続きが気になった。
妄想や現実逃避ばかりをする主人公はとてもリアルで人間らしく、共感できる部分も多かった。
この物語を読んで、今までの人生のたらればは誰にでも沢山あると思うが、変えようのない「今」が一番大切で、その「今」はこれまで積み上げてきたたらればばかりの過去があるからこそのものだということを実感した。
「今」をどう生きるか、どう楽しむかが重要だ。