荻原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
おそらく本邦初の、本格・縄文・恋愛小説。
縄文人の男の子と弥生人の女の子の出会いの物語です。
山の中で狩猟と採取の生活を行う縄文人の部落に育った少年・ウルクは、山中で不思議な女の子・カヒィに出会う。ちょっとしたことから掟に背き一人村を追い出されることになったウルクは、帰村の許しを得る為、噂のコーミー(米)を求めて旅をする。そして、たどり着いたのはカヒィが住み、農耕を行う弥生人の部落だった。
簡単に紹介するとそういうあらすじの中で、狩猟民族である縄文人の生活や、強い身分制度を生み出す農耕民族の弥生人の生活が丹念に描かれます。特に当時は本州にも居たヒグマとウルクの戦いは緊迫感が有ります。そこに時折 -
Posted by ブクログ
毎年、8月15日が近付くと戦争関連の映画やドラマが放送されるが、2年前ほども、この本が原作となって森山未来の主演で放送された。
それはかなり感動したが、原作本を改めて読むと・・・ん~。
それほど、森山未来の演技がよかったのだろう。
内容はタイムスリップもの。
現代の若者と60年前の戦争末期の特攻飛行兵が入れ替わってしまうという内容。
今も昔も、風俗や習慣は変わってはいるが心根は同じだという筋書き。
まあ、よくある話ではあるな。
アメリカ映画なんかでは、最後には元に戻ってハッピーエンドとなるんだろうが、これは違う。
最後の1行に、それらしき記述があるが、元に戻れたかどうかは読者の判断に任せて -
購入済み
わくわくしますが、・・・
古代と現在を行き来することで、国家論、国家と個人の関係を述べたいのであろうと思いますが、この点はうまく書けていません。古代の話だけで充分にわくわくさせてくれますので、それに特化していればと思い、星を一つ下げました。
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Posted by ブクログ
うーむ、上巻のもどかしさが一転、流石受賞作!
古代を描くのにおちゃらけてるのか何なのか分からないところも、著者の懐の広さと感心した。
学校で縄文時代は狩猟生活、弥生時代は農耕生活などと歴史の授業で習ったが、考えてみればそんなの後付けで、現代の様に、昨日迄平成で今日から令和です〜なんて無い訳だ。
縄文人と言われる狩猟をメインに生きている人々のところにジワジワ大陸から別の文化を持ってくる人々がいてそれを弥生人、そして稲作がいつの間にか広まって弥生時代、みたいな分類しているにすぎないのだと、改めて思い至った。
縄文、弥生が入り混じった時期でも、当事者達は考え方や生活様式が違うという事で争ったり、許 -
Posted by ブクログ
大手の証券マンから一転、職を失い、妻には出ていかれ、あげくネットカフェで寝泊まりする仲間に裏切られ、全財産は3円。
そんなどん底からの再起を図るため、山崎は宗教組織を立ちあげることにする。
見目麗しい謎のホームレス仲間の仲村、口のうまい占い師の龍斎を仲間に引き入れ"大地の会"を創設、順調に会員を増やすことにも成功したが……
わたしやあなたが明日ホームレスにならないと言いきれるだろうか。誰しもがありうるかもしれない明日、のその先の展開がすごい。
主に上巻はどん底から這い上がるサクセスストーリー、下巻は膨れ上がったものの末路。
どちらも描写が細かく、まるで自分がそこにいるか