荻原浩のレビュー一覧
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「フジミクニ、ウルクに悪いことした。でも、人は悪くない」
「悪いのはワウ(王)か」
振り返ってカフィの顔を覗き込む。首を縦に振りかけてから、もとに戻していた。
「人は悪くない」
「じゃあ、誰のせいだ」
「悪霊のせい」誰かに問いかけるような調子でカヒィが言う。「悪霊、誰の心にも取り憑くから」(275p)
下巻に至り、縄文のムラ、ピナイを離れた少年ウルクは、森の主のような人喰い熊(ヒグマ)を倒したあと、おそらく静岡平野に展開している弥生人たちが統べるムラにたどり着く。そこは縄文人が夢想していた夢の植物「コーミー」のお陰で遊んで暮らせる所ではなく、「ワウ」の一族の下、縄文人よりもはるかに生産力が高 -
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星半分が無いから極端な評価になっちゃうけど3.5くらいってところ。中の上。
昭和のテレ東、日曜、午後2時の定番だった巨大化した生き物に襲われるパニックホラーをベースに色々と盛り込んでいて読み応え充分。
寄生虫のくだりでもっと押してく展開も良さそうだなとは思ったけど、最終的にはボスキャラ戦を持ってきて描写を気持ち悪がりながらも本をめくる手が止まらないハラハラ感。
長い本なのでダレるとこありそうかなという心配も杞憂に終わり一気に読み終えた。
子供の頃、カマキリは身近な昆虫だっただけに細かい動きとかリアルに想像できて余計に怖かったな。
けだし良作。氏の他の作品も読んでみようかな。 -
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中学2年生の頃、クラス中からイジメられていた廣吉が、4年後当時イジメに荷担していたクラスメイトへ復讐するストーリー。復讐の内容はもちろんだが、当時のイジメの内容もなかなか酷く、「やらなければ自分がやられる」という言い訳では通用しないほど。亮太ら加害者側が若気の至りで片付けようとするには無理があり過ぎる上、クラスメイトたち全員に反省の色が感じられない。廣吉があまりに可哀想。
光也もイジメの流れをストップさせる発言ができるようになっていたことから、反省・後悔の気持ちは出てきているものの、「勝手に頼るな」はちょっと違うのでは?と思ってしまった。まぁ、まだ人にせいにしたがる10代の少年なのだから、 -
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インチキ宗教がドンドンと大きくなっていき……つくりだした自分すら手に負えなくなっていく。
某宗教団体も、インチキがバレる恐怖や集団心理から宗教にそぐわない人を『ポア』したくなったのだろうか。そんなことを考えてしまうくらい、やっかいな信者への苛立ちに同調したり、宗教団体の法治国家と異なる異様な雰囲気に飲まれてしまう。
最初は破滅するほどの金はとらないつもりだったし、他者排斥はしない、法律は守る、という考えだったし、最後までその傾向だった宗教をつくった人の手を離れ、宗教団体が危ない方向に向かっていくリアルさが、どんどんとせまってきて、読む手が止まらなかった。
最後のオチが、え?終わり?どうなったの -
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ネタバレ*「あたためますか?」「アイスあっためてどうすんの!」。俺はコンビニバイトの傍らネタを作り続ける。漫才でいつか天下を取るんだ!…相方はまだいないが―芸人を夢見るフリーターを描く表題作ほか、何者かになろうと挑み続ける、不器用で諦めの悪い八人の短篇集。愛すべき彼らが動き出す、著者書き下ろし「あと描き」を特別収録*
いいなあ、安定の荻原節。
どの主人公も、頑張っているのに、ちょっと何かが足りなくて、ちょっとツキがなくて、ちょっと残念。なんだけど、諦めずに、試行錯誤しながら、それぞれのやり方で生きていく様がとても軽やかに描かれています。
ほんと、いいなあ、この明るい足掻きっぷりと開き直りっぷり。なん -
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因果応報といえば、それまでやけど…
イジメた方は忘れても、イジメられた方はずっと憶えてる。
それで、自分の人生を台無しにされたら、恨むのは分かるけど実践したら、あかんな。それも殺しまで…と模範回答はしたけど、ならお前はどうするねん!と聞かれれば、「…」やな(−_−;)
私の学校は、比較的恵まれてたのか、こんな酷いイジメはなかったな。自分が見ていた部分に限るけど。
イジメの復讐をめぐる学園ミステリーになるんかな?
イジメから、4年後にはじまる復讐劇!
復讐から、身を守る為に、自衛団みたいなの作るけど、やっぱり、警察やろ!頼りにならんかもしれんけど…
ストーリーとしては、「はじめちょろちょろ中 -
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ネタバレ文字が小さく少し分厚い本だったので、
読書初心者のわたしには少し早過ぎたかと思ったけど、
読めば読むほど続きが気になり、あっという間に読み終えた。
金魚の『リュウ』の謎を巡って話は進むが、
現代の話の途中で、過去の話を織り込ませ、
リュウとなにか関係があるであろうと思わせる展開がドキドキわくわくさせられた。
リュウを飼い始めたことにより起きた主人公の異変も、
少し胸が締め付けられるような話でジーンときた。
最後はまさかの、しかし、そうだったのか、、となんとも言えない気持ちに…
読んでいて、段々とお茶目なリュウに読者の私も心を惹かれていたので、とても悲しく切なった。
またリュウに会いた -