荻原浩のレビュー一覧
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地方支店への転勤で父親が見つけてきた物件は、市街地から離れた山の近くの古民家だった。
嫌がる妻だが、子ども二人とその祖母が乗り気になり、数で押し切られて、その古民家に住むことになった。
買い物にも通勤にも不便で、自転車通勤するといっていた父親は早くも音を上げた。
ここから去る日も近いと思うほかの家族だった。
ある日、息子がは裏庭で遊ぶ小さな女の子がいるのに気がつく。
いまどき紺の着物に、おかっぱの女の子は自分が見るたびに影に隠れるが、目を離すとついて来る。
ただし、どうやら自分以外の人には女の子の姿が見えていないようだ。
座敷わらしが居つく家には繁栄が、座敷わらしが去った -
Posted by ブクログ
「砂の王国」 荻原浩 ★★★★☆
上巻(477P)+下巻(486P)の超長編です。
面白いです。
ホームレスに転落した証券マンが、仲間たちとともに宗教法人を作っていく過程が真実味があります。
コールドリーディングなど、騙される人は騙されるよねーって手段を巧みに使い、一方で法を守ることを極度に意識して拡大していく。
私は宗教は悪いものだとは思っておりません。それがカルトだとしてもそれで救われるのならいいじゃないか。
ただ、他の人に迷惑をかけるようなカルトは論外です!
宗教にはカリスマが必要。そしてカリスマは人々の中で一人歩きをしてさらに神になるのだ。
砂上の楼閣だとしても人々は、信じたいものを -
Posted by ブクログ
有料老人ホーム「ひまわり苑」と「ひまわり幼稚園」は壁を隔てて隣り合っている。
ふたつの施設の経営者は同じで、建設会社の社長で、議員でもある。
選挙戦を有利に闘おうと打ち出された、老人たちと園児たちの交流。
壁は取り払われて自由に行き来ができるようになる。
子どもが大嫌いな老人と、老人をゾンビ並みに怖がる園児たち。
徐々に距離を縮めていく老人たちと園児だが、近づきすぎて起こるエピソードが面白い。
老人ホームで行われる「不在者投票」。
認知症の症状が出た入居者への一方的な退去勧告。
老人たちは立ち上がる。
「大人の事情」なんてわからない園児たちも、老人たちといっしょに闘うことを選ぶ。
老人たちと園 -
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様々な家族の姿を描いた短編集
祝直木賞! ということで久々の荻原浩さんの小説を読みましたが、ユーモラスな話も、シリアスな話も、どちらも登場人物の心理描写が相変わらず丁寧でそしてリアルです。
この荻原さんの心理描写のリアルさの根底にあるのは、様々な登場人物の、それぞれの情けなさをしっかりと描いているからこそだと思います。
シリアスでいえば、男手一つで育てた一人娘の結婚に複雑な心情を抱く父を描く「結婚しようよ」
古くからの写真館を営む父に反発し家を飛び出し、独自で写真の仕事を続ける息子。しかし父が倒れたという連絡を受け、その息子や娘たちが写真館に集うことになる表題作の「家族写真」