荻原浩のレビュー一覧
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バースディと真と由紀とで、バースディの能力を育てていく前半は、バースディが真と由紀の子どもみたいでほほえましかった。
そこに、安達先生の死とか、ちょっとずつ不穏な空気が混ざりこんできて、急にがらりと世界が変わる。
世界とはこういうものだろうも思い込んでいたことが、覆される。
その中で唯一変わらなかったのがバースディで、その上彼が由紀の死の真相を知っているかもしれない…。
謎は解き明かされていくわけだけど、真相は切なすぎた。というか、バースディがかわいそう過ぎると思った。
結局、人間の自己満足みたいに終わったように思えて、そこまでは面白かっただけに、残念だった。 -
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父親の転勤で、田舎の古民家に引っ越すことになった一家の物語。
田舎暮らしへの理想、あるいは不安と戸惑いが、日々の暮らしの中で「日常」になっていく様子が家族それぞれの視点で描かれていて、興味深く読みました。
転勤を機に、仕事との付き合い方を見直して、田舎暮らしを満喫するぞと意気込む父親。
新しい土地での生活、習慣の違いに不安を感じる母親。
家族の中での居場所にもやもやしているおばあちゃん。
友人関係で憂鬱になっている中学生の長女。
まっすぐな気持ちでぐいぐい行動していく小学生の長男。
そして、家の敷地にいる何者か。
何が起こっていくのか、ページを繰る手が止まらなくなる上巻でした。 -
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自己啓発書を読み漁って空回る若きサラリーマン、
お見合いパーティに参加しても動物の行動を観察するように冷静になってしまう三十代女性、
リストラされたことを家族に言い出せない二代目ベンチマン・・・
この時代を滑稽に、しかし懸命に生きる人々を短篇の名手が描いた、ユーモラス&ビターな七つの物語。
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短篇集やから、とても読みやすく、どの物語も登場人物・環境が全く違うくて、でも、誰もがみんな悩みを抱えてる。
それをどう対処していくか。
最後には、感動・ほのぼの・想像もつかへん結末など、いろいろと楽しめる物語やった。 -
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自殺しようとしていた伊達秀吉は、そこで偶然金持ちの子ども伝助を見つけ身代金目的の誘拐を思いつく。しかし、伝助にはある秘密があり……
ユーモア小説を書かせるとやっぱり荻原さんは上手いなあ、と思います。冒頭の本気で自殺する気が全くうかがえない伊達の心理描写や一人語り、誘拐した子どもの正体を知ってからの伊達の煩悶、伊達と伝助の軽妙なやり取り、徐々に絆を深めていく二人、この手の描写は荻原さんでしか書けないものだと思います!
ユーモアだけでなく、この誘拐劇が少年の成長、そして伊達の再生への物語にもなっているのもいいなあ、と思いました。そしてところどころで垣間見える、登場人物たちの優しさもまた心 -
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この小説の裏表紙に
「たっぷり笑えてしみじみ泣ける、最高にキュートな誘拐物語」
と書いてあるんですが
まさにその通りだと思いました。
冴えない人生の極みを生きる伊達秀吉は
死に場所を求めて見知らぬ街をほっつき歩いているはずなのに
死のう死のうとするわりに
死ねる条件が揃ってしまうと言い訳をつけて回避するロクデナシ。
そんな彼の元に
お金持ちの家の6歳の男の子が「家出したい」と飛び込んできて
起死回生の大チャンスとばかりに誘拐を企てるんですが
警察からヤクザからチャイニーズマフィアから
最悪というよりも極悪な相手から追われまくる羽目になり・・・。
主人公の伊達さんと
家出少年の伝助とのやりと -
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類人猿の言語習得を勉強していると話したら、友人が薦めてくれた本です。
とある霊長類センターで、ボノボ(ピグミー・チンパンジー)のバースディが言語習得を披露する公開検証の場面から始まります。
もう一人の主人公・真は、恩師の後を継ぐ形で実質的なリーダーとしてバースディの言語習得を日々研究しています。
着実に、そして平和に進められていると思っていた研究でしたが、ある事件がきっかけで、真は真相を知って行くことになります。
真とバースディ、彼らの周りの人間。それぞれの性格や、行動が随所で偏りなく書かれているので、のめり込むことができる作品だと思います。
特に、バースディの表情が映像のように頭