荻原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
理不尽な仕事に追われ彼女とも別れてしまい、虚無感に満ちた現実に疲弊し自死を考える主人公。
金魚に変化できる不思議な力を持ち、悲惨な過去を抱えながら古より不老の体で生きる美女リュウ。
数千年の時を超えて、彼の未来と彼女の過去が交わる物語。
ドラマ化はされているようだが、アニメの方で見てみたい。(99%ありえないとは思うが)
内容がファンタジーということから、アニメの方が描写に違和感が生じにくく自由度が高いため
視聴者が受け入れやすいと思われる。
*****以下、ネタバレ要素あり*****
良かった点
中後半から終盤にかけての展開は変化がありテンポが良く、スムーズに読み進められた。
特に以下のシーンは予想外の展開で驚いた。
・元彼女が幽霊となって表れるシーン。
・林社長をミスディレクションに使い、実は主人公がリュウの仇の末裔だとわかるシーン。
→残り少ないページ数で、どうやって林社長との因縁に決着をつけるのだろうと不安に思っていたこともあり面食らった。
個人的に合わなかった点
登場人物の魅力に物足りなさを感じた。
主人公は現代社会に実際にいそうな社会人で、基本的に内向的な考え方で惹きつけられるような
言動や成長があまり感じられず、ありのままでリアル過ぎるのが残念だった。
リュウに関しても登場から終わりまで、ほぼ受け身状態で言動と感情の起伏が最後の方しか感じられず
物足りなかった。
そのため、序盤から中盤にかけては大きな変化がなく中だるみしてしまい、ページをめくる手が
数か月ストップしてしまった。
最後の結末は、別ルートも有りなのではないかと思った。
千幾百年もの間、仇を討つために生きてきたリュウの思いを大きな愛をもって、主人公が死を受け入れる選択肢もあったのではないかと思ってしまった。
その上でリュウが生かすか殺すかどちらを選ぶのかを葛藤する構図もあったのではないか。
しかし、これは若干の消化不良感があるだけで、本編についてこれはこれでOKと不思議と納得できた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ女性に対する視点や世間話の延長線に出てくるジョークがかなり昭和のエロオヤジ臭のする小説。笑
言葉に品が無くて苦笑いした部分もあったけど、20年前の本だからあらゆるハラスメント全部乗せってかんじで、そりゃ今の感覚とは違ってあたりまえか。笑
とはいえ、いち社会人として普段関わらない業界・部署が舞台になっていたこともあり、勉強になった部分も多くある。
「お客様相談室」に左遷された主人公が、謝罪のプロ 兼 離婚危機を抱える賭博大好き中年上司から相手の怒りに応じた謝罪の作法を学ぶ、というストーリー。
さすがにここまで苦情くる食品会社ってやばくないか…と思いつつ、ありえん話ではないかもしれない。
自分が言いたいことをそのまま主張するようなタイプだった主人公が、毎日反省文を書かせるもロクに見ずに捨てる組織のクソ上司や、ロリコンオタクや人を品定めする愛人などひねくれ曲がった人間たちと人間関係の渦に巻き込まれながら、人生終わったと思いながらも、形式的に日々「仕事」をきちんとこなし、低姿勢に叱りや文句を受け止めて何か自分にとってのミッション的なものに気づき走り出す姿はドラマを見ているようだった。
最後はチームプレーによる逆襲をみているかのようで面白かったな! -
Posted by ブクログ
ある種の植物は害虫などからの危機にさらされると天敵となる生物を呼び寄せたり自身に毒を生成したり。また自身の繁殖のために自然発火で山火事を起こしたりという生態で知られている。これはある種の知性なのではないか?そこでAIを使って植物の声を聴くことを試みるが・・・
植物による反乱を描いたパニックサスペンスなお話。なかなかに興味深かったけども、アカシアで人間を操るまでいっちゃうとなんか行き過ぎというか万能すぎて逆にリアリティ薄く感じてしまって萎えちゃったかも。考えてみたら途中の緊迫感ある部分も、植物が原因であるにせよ、手を下してるのは動物であり人間だしなあ。半端にAIが絡んできたのも物語をしては余計な要素にも思えたし。そしてラストもなんだかふんわりと煮え切らない感じ。
植物の雑学的なところは興味深かったし、物言わぬ植物がだんだんと襲い掛かる部分はホラーっぽくてよかったですけどね。 -
Posted by ブクログ
春から体験農園で畑デビューを果たしたものの
畑の知識ゼロで、畑の先生から呆れられる日々…
isaoさんの本棚からこの本を知り、気軽に読めそうと手に。
極小農園日記と題しているものの、畑話は前後半分ほどのエッセイ集。自作のイラストもかわいい。
畑とは無縁のエッセイも半分ほど。
荻原さんの自宅の庭での野菜作りのコツや失敗談がユーモア混じえて楽しめる。
家庭菜園をされている方には、あたりまえの知識でも、未経験者にはなるほどと思うことばかり。
それが、オヤジギャグ満載に描かれていて笑いを誘う。
そして、印象的だったのは、
昨今の野菜は美味しくなり、臭みがなかったり形も整い虫食いもない。歓迎すべきことではあるけれど、落ち着かないという。
「極小農園のおかげで野菜というのはごく自然に(ほったらかしに)育てれば、小さくて形が悪くて虫食いで、農薬を使わないからといって特別うまいわけでもないことには気づかされた。」
私の体験農園も有機無農薬を基本としているので、虫食い放題だし葉物も適度にエグみがある。
品種改良された苗であることには変わりないけれど、本来の野菜の味に近いのかもしれない。
荻原さんはコスパを考えて家庭菜園をしているかのように書かれているけれど、かなり失敗も多いようだ。手間暇や不作のリスクを考えたら恐らく家庭菜園のコスパはあまりよくない。
それでも、自分で作るからこそ得られる満足感や野菜本来の味を求めて極小農園を営んでいるのだろうな。そして、ダメでもやり直せばよいと開き直っている様子が小気味よい。
エッセイは畑以外のネタも多く、コピーライターから小説家へなられた経緯なども書かれている。
「コピーはショースタイルのプロレス」
「コピーライターに求められるのは、何かを伝えたい気持ちではなく、どのように伝えるかという言葉の技術だ。」
そして、「言葉とガチンコ勝負したくなった」のだそうだ。
絵は上手いけれど、「描きたいものがない」我が息子はグラフィックデザイナーを目指している。
油絵専攻して美大へ進んだ息子の幼馴染の友人は、描きたいものが溢れ出ていたように思う。
荻原さんのように、目指すものが変化していくこともきっとあるだろう。
野菜作りのように失敗をたくさん経験することで、得るものは多い。
失敗を繰り返しても、めげずにチャレンジし続ける。自分自身も子ども達も、そうであって欲しいと願う。