荻原浩のレビュー一覧
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ネタバレ千年生き続けているクスノキが、
各時代の人々の生活をただ静かに見守っている話なのかと思っていたが、割とダークなストーリーだった。
辛い時代を生き抜いた人たちがこのクスノキに癒しをもらっているのかと思いきや、人間の人生はなかなかに厳しいぞと言わんばかりのストーリーだらけで、
読んでて落ち込むことが多かった。
千年樹と呼ばれるこのクスノキも、
街の人々の守り神などではなく、
人間の奥底に秘めてるドス黒い感情をさらに掻き立てようと挑発しているかのような気がした。
そして最後はあっけなく伐採される。
季節外れの青虫はクスノキの最後の抵抗だったのではないかと思った。
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Posted by ブクログ
1997年第10回小説すばる新人賞受賞作。
交通の便も悪く、特産品と言ってもコンニャク、カンピョウ、オロロ豆くらいしかない牛穴村。簡単に言うと何のとりえもない村をどう立て直すか。そんな村おこしがテーマの作品。そして村の青年会がタッグを組んだのが倒産寸前のユニバーサル広告社。このタッグに奇跡は起こせるのか。
法律すれすれ(もしかしたらアウトかも)という方法で何とか観光客を呼び込む作戦をとるが、その効果も一時的なもの。一時はマスコミの注目を浴びることになるが、別の事件が起きると世間の注目は簡単に移っていってしまう。どうなるのかなと思っていたらまさかの展開が待っている。最後まで目が離せない作品 -
Posted by ブクログ
ネタバレ野球の話かな?と思い買った一冊。
野球の話ではなかった。
中学時代にいじめてた同級生に復讐される話しだった。
ひどいいじめだったので復讐されても自業自得だと思って読んでいたけど、殺人までいくとやり過ぎだ。
小説の中のセリフで頭に残ったのは
「自分にはたいした事ない事でも、他人には大切な事かもしれない」
いじめをしている方はたいした事やってないと思ってるんだろうけど、いじめられてる方はいろんなものを失ってる。
早く気づいて欲しかった。
意外な結末だった。
主人公がこの事件で人間的に成長したのは良かったんじゃないかと
マスターが隠れたヒーローだった小説でした。
ネタバレになっち -
Posted by ブクログ
闇に目が慣れる間もなく光の中へ引きずり出される。照明が点くより突然に。もし人間が産まれる瞬間を記憶することができたとしたら、その体感はこんなふうかもしれない。
本人は黙して語らない写真の中の顔だけだ。母には自分の人生の綻びを、父親の死で縫い合わせる癖があったから、話に聞くほど悪い人ではなかっただろうと思う
全員の笑顔が2の三乗になる
雨がやんでいることを私は、田舎道を傘を差さずに歩く老婆の姿で知る。
病気のためというより、出番が終わったステージから舞台の袖の向こうへ、すいっと姿を消したような死に方だった。
「信じようと信じまいと、夢も現も、貴方しだい。それが魔術でござい」
影を知 -
Posted by ブクログ
とある島で発生した巨大カマキリと人間との死闘をえがいた530ページの超大作。
いやー面白かった。B級モンスターパニック的なノリが好きな人にはたまらない作品だとおもう。
本作のキーワードは「カマキリ」と「不可思議な投水自殺」。あと「ハリガネムシ」。
ナショナルジオグラフィックかなんかで、カマキリとハリガネムシの特集がやっていたので本作の内容はほとんど予想できてしまっていたけれど、それでも暗い森の中から人間サイズのカマキリが音もなく近づいてくるのを想像すると、怖い。いや、怖いなんてもんじゃない。怖すぎる。
しかもラストがこれまた、いい。B級映画お約束の展開でついにやけてしまう。
ただちょ