あらすじ
三人で立ち上げた新興宗教「大地の会」は私が描いた設計図どおりに発展。それどころか会員たちの熱狂は、思惑を越えて見る見る膨れ上がっていく。奇跡のような生還と劇的な成功。だが、そこで私を待っていたのは空虚な孤独と不協和音だった。人間の底知れぬ業と脆さを描ききった傑作長編、慟哭の結末!(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
下巻
・総じて面白かった。
・ホームレスにまで落ちることになった人生、自分を侮蔑したら人たち、過去への逆襲物語
・最大手証券会社で華やかで、一般的には勝ち組と言われていた栄光からの転落から、大きくやり直したい、過去を捨てて反撃したい主人公から、人間は一度失ったものは形が変わってもいいから何がなんでも取り戻したくなるのかなと思った。(物語序盤でもラスト共通)
・カルトを作った側の目線からストーリーが進むので、信者たちが信じてるものがハリボテで、そんなもを崇拝してて悲しいというか哀れな感情が湧いた。
・この作中では重点的ではなかったけど、信者の家族は家のお金を嘘っぱちでなんの効果もご利益もないものに使って、多分 主人公の家と同じく家庭崩壊に繋がったところもあるよなと想像した
(パチンカスが作ったペラペラな教義,教祖は見た目と声とオーラはあるけど、誰かを救おうとか信念のない男、事務局長は行き当たりばったりでどこまでいっても満たされない、自己満な男)
・物語が進むにつれて、教団の裏側がバレたら信者が全部敵に回るんじゃ?と思ってて、理由は違ったけど信者全員が敵に回る展開は実現されてしまったこのについては、映画の恐怖シーンをみてるような気分になった。
①車のブレーキに細工
②家に侵入
③味方だと思ってたひとがやっぱり敵
④逃走手段のバスにすでに信者がいてゴルフバックを持ってる(ここは本当に怖かったけど少し笑った)
・仲村は結局主人公が好きだったのか?それに対して拒絶されたから処分しようとしたのかちょっとわからなかった
Posted by ブクログ
下巻は没入感2倍。
予想の斜め上を行く展開でした。集団心理は怖い。
ラストは『追跡中』の逃亡者に似たソワソワ感が続き、この後どうなるんだ⁈で終わり。
これだけ長い作品なのに最後2ページ足りない。みたいな。
どうなったんだろう、、(明日には気にしてないけど)
長々で進みがゆっくりな本作は、改めて考えると描写や人物のやりとりがかなり丁寧に書かれているからかも。
だから読みやすいし、ページを戻って見返す事なく最後まで読めました。
Posted by ブクログ
序盤のこれからのし上がっていくんだという高揚感から打って変わって、どんどん転落していく展開にページを捲るのをやめたくなりました。
読み終えた後はしばらく頭がぼうっとします。
Posted by ブクログ
新興宗教を立ち上げ信者も増加。
自分がプロデュースした浮浪者も徐々にやる気になっていた矢先にトラブル。
3人で立ち上げたのだから協力していけばそこまでにはならなかったし、自分の信念だけを貫いて他2人を信用、、失敗を許せなかった…。
から舵をとれなくなったのかな??
肥大していく大地の会を壊すのか、それともまた浮浪者に戻るのか…。続編はなさそうだけど、でも山崎の活躍がまた読みたい。
下巻は続きが早く知りたくて飛ばしながら読んだのでまた再読してじっくり読みたい。
Posted by ブクログ
一気に読んでしまった下巻。
カルト系がもう恐ろしさというのが最後の最後で一気に出てきた。
自分がコントロールしていたと思っていた者が自分の意に反して動き始め、彼の考えていることが分からなくなる。全てを完璧に進めようとするあまりに自分一人で抱え込んでしまい、余裕がなくなってしまい、それが結果的なボロとなって出てくる。
読みながら、他者を程よく信頼していく必要性も感じたし、自分一人で抱え込むことの愚かさもよく分かった。
結局社会への復習を彼が果たせたかどうかは分からないが、物語がこれから先も続きそう。
Posted by ブクログ
再読なのに終わりをすっかり忘れていた。そうだった。恐怖の始まりとともに、この作品の面白さはピークを迎えるのだった。
どこで間違えてしまったんだろう。そのリフレインは今のわたしに深く響く。やはり最高傑作だ。
Posted by ブクログ
“自分はどこで 何を 間違えたのか…。”
三人で立ち上げた宗教団体「大地の会」は設計図どおりに発展し 会員数は四桁にのぼり しかも勢いは止まらない。
最初は 教祖である仲村も龍斎も会員たちもコントロールできていると思っていた。しかし段々と綻びが出始める。
肥大した宗教団体は木島(山崎)一人で制御できるものではなかった─。
上下巻通してとても面白かった。
「大地の会」が木島(山崎)の手からこぼれ、龍斎や仲村の思惑をのせて会員たちとともにどんどん形を変えていく様子が生々しい。
結局 山崎という人は幼少期の辛い経験もあわせて宗教というものにずいぶん翻弄されてしまった。
最後 山崎は「大地の会」を追われ東京から逃亡する。四十三歳でホームレスに逆戻りだ。しかし事務局長の木島だった時よりずいぶんと健康的で前向きだ。ホームレス経験済の彼はもう以前のようにやわではなかった。余裕すら感じられる彼に少しだけホッとした。
Posted by ブクログ
なんだか切ないラストだった。
最後は自分の功績に潰されるのが無念だった。
宗教を信仰することで、心の拠り所を得て幸せになる人もいれば、宗教に人生狂わされる人もいて。
宗教って怖いな、集団心理って怖いなと思った。
結局ホームレスから一躍大金持ちになったとしても逆戻りして、地道にお金を稼ぐほうが堅実なんだなと思った。
Posted by ブクログ
美形のホームレス、怪しい辻占いの三人で
新興宗教を立ち上げる。
明日の食事にも困っていた木島が、
「大地の会」を大きくして行く様には、
こうやって宗教はお金になっていくのか、
とただただ感心しました。
箱庭療法の箱庭が暗示的に何度も登場し、
この物語はどこまで行くんだろう、
大地の会はどこまで広がっていくんだろうと、
そう良い未来が
待っているわけではないと思いながら、
それはいつ来るんだと、
落ち着かない気持ちで読んでました。苦笑
仲間でもないし友達でもない。
人間として繋がっていたわけではない。
みんな病んでて救いを求めてる。
でも目が覚めたら…世界は違う見え方をしているかもしれない。
木島の最後を見届けたくて、
後半も読み進める手が止まらずでした。
Posted by ブクログ
面白かった、怖かった〜
全くの嘘、中身などないはずの「大地の会」がいつの間にか3人が居なくても回っている状況が怖かった。
自分の小さいコマの一つあったはずのモノが知らないところで大きくなりすぎて自分を脅かすの、恐ろしすぎる
主人公が「どこから間違えた?」となんども自問していたが、そもそも人の祈りや心の拠り所を気軽に扱うべきじゃなかったんだな
龍斎くらい振り切れていれば楽なんだろうな〜
結末は再出発を感じられて、よかった
Posted by ブクログ
いくら立派に作り上げても脆く崩れる「砂」がタイトルにあるように、上巻で徐々に作り上げた新興宗教団体、そして団体と山崎が脆くも崩壊していく下巻。
序盤のホームレスからは想像できない人間関係の発展と縺れ方が面白かった。そしてなにかに縋る人間が度を越した時の恐怖や、思わない人からの裏切り行為から、人間としての生々しさを感じられた。
しかし、なにがあっても最後にあきらめない姿を最後に見せた山崎から、挫折しても失敗しても終わりではなく、次への始まりだと教えられた気がする。
Posted by ブクログ
ホームレスまで転落した男達が新興宗教を立ち上げて1発逆転というありそうでなかった設定。前置きもあまり長くないので序盤のダラダラもなく飽きずに読み進めることができた。
主に上巻では路上底辺生活から新興宗教ビジネスを始めじわじわと這い上がっていく様を、下巻では男達の過去、急速に築き上げた新興宗教や人間関係が目まぐるしく変化しつづけクライマックスへ。
砂場で作ったお城の様に、積み上げるのが簡単であるが崩れる時もまた一瞬。何か欠けている事に気づいてそれを無視して積み上げようにも、元の状態に戻す事もできず、何かの拍子に一気に崩れ無くなってしまうような儚さ、忙しなさ。
しかし何度でもやり直すことができると思う。振り出しに戻るだけなのだと彼が教えてくれる。
Posted by ブクログ
世間に蔑まれた木島が、今度は世間に復讐していく。思いが強い分緻密な計画性や大衆心理を利用するのは圧巻。最後は彼らしさが出る人間味が出ているところが私的には少しホッとした。
Posted by ブクログ
最後もうちょい続きを読みたかった
面白かった。ホームレスの暮らし、宗教を立てる過程がリアルで新鮮だった。
仲村が自分の真実を話した時ゾッとした
人間世界は怖いと思った
新興宗教を作るなんて自分も信じていない道に全力を注いでも幸せにはなれないんだな
Posted by ブクログ
教祖仲村は山崎に告白した時の反応が違っていたら、彼を追い詰める選択はしなかったんだろうか。結局山崎がホームレスであろうと成功していようと他者を信じられない性格だったからこその結果であるとも言える。読書中からずっと救いのない話だった。
同じ千円でもホームレスと金持ちでは金額の重みが違うように、お金の価値は払う人間が決めている。値段があってないような芸術作品と新興宗教の教祖が作った焼き物とでは、その価値にどれほどの違いがあるのだろうか。買い手が欲しいのは物体そのものではなく、満足感と承認欲求であれば他人が糾弾するものではない。まぁ、本書では山崎(木島)が作っていたから問題になったので別の話ではあるが。
Posted by ブクログ
宗教団体を立ち上げ、順調に会員を増やす木津。
下巻では拡大する団体、軋む人間関係、教祖ナカムラの招待などが明らかになる。
最後はちょっと意外な終わり方かな。
面白い小説であることは間違いなかった。
Posted by ブクログ
インチキ宗教がドンドンと大きくなっていき……つくりだした自分すら手に負えなくなっていく。
某宗教団体も、インチキがバレる恐怖や集団心理から宗教にそぐわない人を『ポア』したくなったのだろうか。そんなことを考えてしまうくらい、やっかいな信者への苛立ちに同調したり、宗教団体の法治国家と異なる異様な雰囲気に飲まれてしまう。
最初は破滅するほどの金はとらないつもりだったし、他者排斥はしない、法律は守る、という考えだったし、最後までその傾向だった宗教をつくった人の手を離れ、宗教団体が危ない方向に向かっていくリアルさが、どんどんとせまってきて、読む手が止まらなかった。
最後のオチが、え?終わり?どうなったの?結局主人公の妻は?とか、色々と考えてしまう読後感。
感動も驚きもすっきりもないが、これからどうなるんだろうとドキドキとするサスペンス系の面白さがある。
主人公視点で進むが、主人公とともに宗教をたちあげた2人の思いや動き局主人公が把握できていないから、実際のところ、彼らは何を思いどう行動していたのかは不明だし、そもそも主人公自身が、精神に異常をきたしている可能性が示唆され、主人公視点の主人公自身の言動も疑う余地があり、読者に想像と解釈の余地がある物語。それもそれで個人的には好き。
Posted by ブクログ
木島、山崎の心の黒い箱が作った大地の会
目の届かないところで巨大化し、手に終えなくなっていく描写は心が押し潰されそうだった。
誰も信じず、信じられず自分のなかでもがき苦しむ彼にとっての救いが再び訪れるであろう場所が路上生活というのが皮肉がきいていてよい
何事も実現させる前の構想段階がいちばん幸せなのかなと
続きもよみたい
Posted by ブクログ
大手の証券マンから一転、職を失い、妻には出ていかれ、あげくネットカフェで寝泊まりする仲間に裏切られ、全財産は3円。
そんなどん底からの再起を図るため、山崎は宗教組織を立ちあげることにする。
見目麗しい謎のホームレス仲間の仲村、口のうまい占い師の龍斎を仲間に引き入れ"大地の会"を創設、順調に会員を増やすことにも成功したが……
わたしやあなたが明日ホームレスにならないと言いきれるだろうか。誰しもがありうるかもしれない明日、のその先の展開がすごい。
主に上巻はどん底から這い上がるサクセスストーリー、下巻は膨れ上がったものの末路。
どちらも描写が細かく、まるで自分がそこにいるかのような感覚だった。
わたしは無宗教な人間だけど、宗教ってものは面白いなあと思う。人は救われたくて、誰かに赦されたくて宗教に縋るんだろうか。
それが例えまやかしであっても、本人が幸せなら正解だろうか。それとも、まやかしで人を幸せにするのは罪だろうか。
Posted by ブクログ
大凡こんな展開になるのは想像ついてましたが、なんか中途半端に話終わってません?
奥さんとの話やら大地の会を潰しにいく話は?
前振りだけしといてあそこで終わるのは、
如何なものかと。
私は主人公の魂?過去?からの解放は、大地の会をぶっ潰すことでしか成し得ないと思ったから、そこまで話続けて欲しかったな。
砂の塔から追い出されたけど、まだ塔は聳え立ってますよ。
面白かっただけに残念。
Posted by ブクログ
この本のここが好き
「ある程度まで育てば、宗教団体が大きな組織になることは、何らかの幸運でも、特別な努力の結果でもない。おそらく必然なのだ。熱心な信者が、どんなセールスレディ、セールスマンより、情熱的で精力的な勧誘者になるからだ」
Posted by ブクログ
とりあえず、コレを書かなくては。「衝撃と慟哭の結末」ではなくて、再度の再生を予感される作品だった。ホームレスから立ち上がって行く物語は、もちろん、絶対、読ませる。前半の様々な描写、もうワクワクしっぱなしだった。でもさ、「たぶんこんな終わり方だろうな」。予想どおり。残念。
Posted by ブクログ
ホームレス、どん底の生活や宗教にはまっていく人々をリアルに詳細に描いた物語。引き込まれる展開ながら、ラストがスッキリしない、読後感がダークな作品。
Posted by ブクログ
細かなホームレス描写や宗教団体の中身は読み応えがありました。その辺が長くて心理描写がまとまって来るので飽きるとこもありました。
不思議と思うのは主人公が勢いよく何かをしている時はノンストップで読めました。
いろいろ考えたり上手く行ってない時はページが進まず、モヤモヤしました。
中身は違えど、似たような人生って感じだなと思いました。
Posted by ブクログ
人は誰かに救いを求めたい。
誰かに自分を肯定してもらいたい。
優しく包んでもらいたい。
救いを求めたかったのは、誰なのか。
新興宗教を立ち上げた男なのか──
それとも教祖だったのか──
救いの声は、誰から発せられるのだろうか。
Posted by ブクログ
作者独特のコミカルな表現がいちいちツボにハマった。
神様から一言以来各作品を読み続けているが、どれも最後まで楽しく読めます。ただ、主人公に思い出したくない過去があって、彼女や奥さんと音信不通で…というストーリーは結構被り箇所かも?
本作は、作り上げた大地の会から追いやられ、まさにタイトル通り砂の王国でしたね。奥さんとのくだりや、教祖とのくだりはもう少し膨らませて欲しかった部分。また、回想シーンが多く、なぜ団体から追いやられたかの部分が少し薄かった印象。
まぁ、それでもだいぶ楽しく、ライトに読めました。
Posted by ブクログ
生まれながらに教祖となる人物評として、その器の中身が空っぽであることが重要らしい、『砂の王国』の仲村はまさに空っぽという言葉が当てはまる。いっぽう同じ教祖でも『仮装儀礼』では教祖が元ゲームのシナリオライターという前歴であった。教団を拡大していくためには狂信的な初期メンバーを獲得しなければいけない。いつの時代にも宗教を必要とする人たちはいる、彼らは何かに熱狂したいのである。その異様な熱狂が近隣社会との軋轢を生み、そして集団は孤立化しカルトの烙印をおされるに至る。
教祖に追われた山崎が教団から命からがら逃げ延び、ホームレスに逆戻りしていく様は感無量である。一方『仮装儀礼』では教団崩壊後つづきがありそうな終わりかた(だったような)人のこころを弄ぶ者の末路には破滅が待ち受けている。
読み終えて
とてもサクサク読める本なのです。
しかし、期待がおおきかったのかラストが納得いきません。
ネタバレになるかもしれませんが、
何かの結末がほしかったです。
大地の会、最終的にはどうなったのか←フィクションですがね。