あらすじ
祝・直木賞受賞! これぞ荻原浩の真骨頂! 受賞第一作となる最新長編小説。
富士山麓の苺農家を舞台に、新たな人生を模索する家族の物語。
突然、父親が倒れ帰省した望月恵介が手渡されたのは『農業相続人の手引き』と『いちご白書』(苺栽培の教本)。音信不通の間に、野菜農家である父親は多額の設備投資をし、苺栽培を始めていたのだ!
後を継ぐことを迫る母親。しかし、恵介は東京の生活、グラフィックデザイナーとしての夢を捨てられない。何より農業なんてかっこ悪い。
37歳。人生の岐路に立たされた恵介は、試しに父親のハウスに生った苺を囓る。 「あ。何これ。うまい。」
採れたての苺はいままで食べた苺のなかで一番甘くて、おいしかった。
父親の苺に心を動かされ、恵介はしばらく実家を手伝うことを決意する。
ところが、今度は東京にいる妻・美月との間にスキマができ始め......
甘い苺づくりに夢をかける望月農園の“甘くな~い”お仕事小説。
感情タグBEST3
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静岡出身だったり、実家が農家だったり…他にもいろいろ…共感できることが多くて、方言がストレートに心に響いた。
もちろん、現実はこんな簡単じゃないけれど、圭介の気持ちも美月の気持ちもビシビシ伝わってきて最後はわかっていたのに泣けた。
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父親の病気からイチゴ農家を手伝うことになった東京に住むフリーのグラフィックデザイナー。
段々と農業にのめり込んでゆく。妻と息子は別別に暮らしながら、ただイチゴ狩りのお客様の「おいしい」のことば、たのしい笑顔を見るために・・・
そして開園日に訪れた、妻の言葉「大切なのはどこに住むかじゃなくて」、「誰と一緒にいるかだ」
どんな一等地に暮らそうが、どんな大邸宅に住もうが、幸せでなければ、そこは不幸な場所だ」
「やっぱり一緒に住もう。家族だから一緒にいよう。」
荻原浩氏の展開はいつも、こちら側をほっこりさせてくれる。
あとがきの「おいしいイチゴの見分け方」も参考になる。
Posted by ブクログ
会社を辞め、独立した人間は誰しも、一度ならず思う。
電話は怖い。
グラフィックデザイナーの恵介は、独立した今思う。
もっと怖い物がある。
それは、鳴らない電話だ。
腕には自信があった。
だが、仕事がない。
起業には向いていなかったのだろうか?
フリーランスは自由ではなかった。
そんなある日、静岡の実家の母から電話が入る。
「おおおおお、お父さんが倒れただよ」
4人姉弟の末っ子ながら長男の恵介は、2年前に父と喧嘩して以来、実家に帰っていない。
苺農家の跡取りだけはいやだった。
格好いい仕事がしたくて、美大に入学するために、故郷を後にした。
だが、困る。
嫌で嫌でしょうがなかった苺農園がなくなるのも。親父に死なれることも。
東京と静岡を往復するつもりが、いつのまにか別居状態で、恵介は素人ながらイチゴにかかりきりになっていく。
仕事にいかに取り組むのか。
家族にいかに向き合うのか。
争えない血と、伝えられないもどかしさと、目の前の現実の中で、恵介は道を切り開いていく。
環境ではない。自分なのだ。
苺を通して、人生に大切なことがたくさん伝わる好著。
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病に倒れた父の苺農園を嫌々継いだ長男と取り巻く人々の人間模様。ベタな設定ではありますが登場人物たちの個性や苺畑の景色が伝わってくる筆力は流石です。ほんわかしたストーリーはさわやかな読後感でした。主人公が旧態依然の畑作経営からの脱却を図りますが、それがいちご狩りであったことに斬新さ欠くように思いました。
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いいですねー、この作品。思わず野菜が食べたくなります。人生の乾いた疲れに、イチゴのみずみずしさがしみわたりました。そして、例のごとく農業っていいなって思ってしまいましたが、現実は大変なのでしょうね。今夜も美味しく野菜をいただきます!
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広告代理店から独立した惠介が激減した仕事に焦っていた矢先、父が倒れたと実家から連絡が入り家族をつれて帰省した。そこで目にしたのは大きなビニールハウス。トマト栽培からイチゴ栽培に転身したことを知らされ苦労する母を見かねて単身、実家のイチゴ栽培を手伝うことになった。妻子とは離れて暮らすことになったがお互いを思いやっていることは伝わってくる家族物語。姉家族とも新しいことに挑戦するさわやかな物語でした。
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ストレートでとても読みやすかったです。
恵介の不器用だけど、闇雲に前に進んでいく性格も好感が持てました。
農家の仕事は全くの無知でしたが、こんなに手間暇かけ愛情を持って育てた作物が、立派に実り、人に美味しいと言って貰えるなんて、何よりもやりがいのある仕事だと改めて感じました。
1人ではやれる事が限られてしまう。昔ながらのやり方にこだわって視野も狭くなるけれど、これからは皆んなで自分の得意分野で協力していく時代なんだね。
これからの農業に少し明るい未来が見えた気がします。
Posted by ブクログ
コロナ禍で、家の庭で、プランターでお花や野菜栽培を、初めてやってみました。きゅうり、レタス、ミニトマト、苺もやりました!本当、野菜も育てるのは、大変だなぁと思います!買った方が、楽だし、安いです、が、やっぱり、自分がそだてた、採れたてが、一番美味しいです。この小説の主人公の葛藤と大変さと、家の事情で悩んだ気持ちが、とても良くわかるような気がしました。面白かったです。
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東京でデザイナーとして働く恵介が、父親が倒れたことをきっかけに実家に帰り、イチゴ農家をすることに、兄弟の思惑に巻き込まれつつ、自分のやりたい事を成し遂げていく。
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仕事なんてどれも大変だ。
ましてや独立したデザイナーの仕事も酷しいと思う。
それに加え農業の厳しさの描写が、かなりリアルだった。だからこそ、一挙に読めた
この人の母親に田舎でずっと兼業農家をしている人たちを重ねると、本当に頭が下がる。
休めばいいやんって思うが、身体は動いてないと休んでいる以上に疲れるらしい(うちの親がそうだ)
そんなお母さん。
だからこそ、恵介もその気持ちがわかるのだろう。この物語は、
すてきなストロベリーライフが最終的に完成したが、これから先がまた大変だろう。
のちのこの家族みてみたい。
と、母が採ってくれた野菜を毎日いただきながら、本ばかり読んでる私は感謝の念を忘れてはいけない。
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独立はしたが、めっきり仕事の無くなったグラフィックデザイナー・恵介。ある日、故郷・静岡で農業を営む父が脳卒中で倒れ、収穫期真っ只中のイチゴの世話を”とりあえず”することにーーとくれば、ははぁ、いずれイチゴ狩り観光農園とか始めるのかね?と思ったら……まんま思った通りに展開しましたよ(笑)でもそこはやはり荻原作品、登場人物のキャラがみな立ってるのでその掛け合いが面白いし、夢のある読後感でほっこり和めるというか、優しい世界だな~と。家族小説であり、お仕事小説でもあって、軽いタッチで描かれるお話ですがなかなかに深いです。農業を”本業”にせず、みんなで”兼業”して継続していくーーなるほど、今の日本に、日本の農業に必要なことだなぁと思いました。
Posted by ブクログ
親父が倒れた。あまり興味がない実家の農業。
不平不満だらけの姉3人にかこまれた末っ子の恵介は、親父が退院するまで、実家の農業をなんとかしなければならない。
うまくいってない本業のフリーのグラフィックデザイナーの仕事。田舎暮らしを嫌がる妻との関係。
最後は、さすがの萩原浩ワールドで、暖かでホッコリとしたエンディング、さすがです。
Posted by ブクログ
グラフィックデザイナーとして独立して東京で働く恵介。
いちご栽培を営んでいた父親が倒れる。
見て見ぬ振りができず、イチゴ栽培を手伝うが次第に本気になっていく。
妻も恵介の気持ちが伝わっていく、と言うか折れるしかないよね。
この間スーパーで大粒のイチゴ398円で売ってた。安!
甘くて美味しかった!
Posted by ブクログ
ストロベリーライフ (毎日文庫 お 1-1)
作者:荻原 浩
出版社/メーカー: 毎日新聞出版
発売日: 2019/11/18
メディア: 文庫
デザイナーとして独立したが、家族の関係で農業(苺づくり)に足を突っ込む事となった主人公。
苺づくりに取り組んでいくことによって、家族との関係や、家族の問題が、解決されていく、、、と言うファミリーストーリー。
ほのぼのした雰囲気のストーリーで結末も心温まる良い作品でした。
農業というのは、尊い仕事ではあるが、生産性を向上させないと先行きは苦しいでしょうね。しっかり考えるべき課題があると、今回のストロベリーライフを読んで気づかされました。
Posted by ブクログ
農業なんてかっこ悪い。
と思っていたはずだった。
イチゴ農家を継げと迫る母親。
猛反対の妻。
志半ばのデザイナーの仕事はどうする!?
夢を諦めるか。
実家を捨てるか。
恵介36歳、いま、人生の岐路に立つ!
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カメラマンから
急に 静岡の実家で いちご農家の仕事を手伝い始めた主人公 恵介
実際に仕事してみると 大変さにヘトヘトでボロボロになる。
僕も 会社員としての定年を真近に控え 実家のみかん農家を手伝っている現状と重ねて あるある認識を共有しつつ
楽しく なるほどと思いながら読み終えました。
恵介はハッピーエンドっぽくこの物語を終えたが
僕のみかん農家人生はどうなるんだろうか?
そんな思いを巡らせている今日この頃です。
Posted by ブクログ
青臭いと野菜を嫌がる子どもに「本当の味を知らないから野菜が嫌いなんだ」と語るシーンが『美味しんぼ』にあった。農業従事者の減少については、あちこちで取り沙汰されている。じゃあどうするという問いに、一つの答えを示した作品。
綿密に勉強をして執筆されたことが伝わるリアルな農業の実態と、育てた生き物への愛情がストレートに伝わる主人公の語り口がよかった。
Posted by ブクログ
独立したグラフィックデザイナーが、父親の病気を機に、実家のいちご栽培を手伝う羽目になり、いつの間にかのめり込んでいく・・・。いちご栽培のノウハウ、農家の実情、作物に向き合う時の心情などがリアルで面白くて・・・・あれ?どこかで聞いたような話と思ったら、萩原さんの初エッセイ「極小農園日記」だった。(←こちらもぜひ!)
望月恵介がこんなにもいちごにのめり込んでしまうのは、萩原さん自身の愛がそうさせるのか・・・などと、裏も表もわかったような気になって、面白く読みました。
Posted by ブクログ
この作者、初めて読んだけどすごく好きです。
さじ加減とか、登場人物のメンタリティの選択が自分の好みにあってるのかな。
静岡のいちご産地にある高校に通っていたので、周りにいちごハウスがたくさんあり、友達にはもちろんいちご農家の人もおり、家族用といちご狩り用は分けて作ってるなどのいちご農家あるあるの記憶も蘇って個人的にとても楽しめた。父の方言も、すごく感じ出てる‼︎因みにうちの父の一人称も「おら」。
何より、作物を作ることの醍醐味を知ってそれに捉えられていく、今までの自分と調和してそれを実現していくのがすごくいい‼︎二者択一ではなく、何かを犠牲にするのではなく、農業を楽しんで向き合っていくのがすごくいい‼︎頑張れ望月農園‼︎
Posted by ブクログ
農業など第一次産業が生活の基盤であることも、
それに従事している人が減っていることも知っている。
でも、自らはなかなかそこには飛び込めないんだよな。
フリーのグラフィックデザイナーの恵介が、父が倒れたことをきっかけに、やむにやまれず専業農家である実家の苺栽培を手伝うことに。
農家を継ぐ決意があるわけではないが日々生長する苺を放っておけない、という場面、私ならもう枯れてしまっても仕方ないとあきらめると思う。
自分の許容範囲を超えているから。
無理して一人で働く母が心配なのもあるのだろうけど、農家として働く両親を幼少期に見てきて植物に対する愛が心の奥にあったのだろうなと思う。
「たいていの人間は、自然が好きだと言うが、自然は人間なんて嫌いだろう」
この1文が心に残った。
Posted by ブクログ
なかなか読み進められなくて、二週間ギリギリで読み終えました。いつも読んでる本とは違うたんたんと進むストーリーがなかなか乗れなかったけど、読んでいくと主人公に魅力を感じたり、奥さんの気持ちもわかったり。。最後まで読んで私の知らない農業の世界を少し知れて、またほっこりして良かったなと思いました。
Posted by ブクログ
はじめは『ツヨシしっかりしなさい』かと思った。東京でデザインの仕事をしていた恵介は、父が倒れたのを機に静岡の実家の苺ハウスを手伝うことになる。妻は都会育ちで手タレをしているので、夫は静岡、妻子は東京の別居暮らしをしながら、恵介は農業に次第にのめり込む。農業の描写もかなり詳しく書いてあるのだけれど、正直別居生活で夫婦はうまくいくのだろうかとそっちが気になってしょうがなかった。物語としてはいつもの安定のほのぼのとした荻原さんの作品という感じ。私はこの作者だと、ちょっとブラックさを感じる作品の方が好みだ。
Posted by ブクログ
20190914
田舎の父が倒れたと聞き、あわてて故郷へと帰った恵介。いつの間にか父母が始めていた苺の栽培を継ぐのか、やめてしまうのか。妻子と離れ母の手伝いをするうちに、恵介は苺のことばかりを考えるようになっていく。
後から入ってきた訳ではなく、元々が農家の息子であるからこそのリアリティー。そんなにうまく行くことばかりではないだろうけれども、成果が目の前に見える喜び。スーパーで山積みされている野菜だって、誰かが一生懸命育ててくれたものなんだよなぁと思うと、あんなに安くて大丈夫なのかと不安になってくる。本論とは関係ないが、食品ロスはなくさないといけないなぁと改めて反省した。
Posted by ブクログ
嫌いだった…農業も田舎暮らしも。でも、そこに本当の自分はいた。父親の入院をきっかけに、主人公は人生や家族を見つめ直す。
頑張っている主人公を応援したくなります。
イチゴ農家の目線では、ツッコミ所満載ですが…,。
Posted by ブクログ
最初は話のテンポが遅く、主人公がグダグダだったので読むのをやめようかと思ったら、後半から面白くなってきた。
仕事や家族との向き合い方にハッとさせられた。
読み終わるとイチゴが無性に食べたくなる話。