荻原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
類人猿の言語習得を勉強していると話したら、友人が薦めてくれた本です。
とある霊長類センターで、ボノボ(ピグミー・チンパンジー)のバースディが言語習得を披露する公開検証の場面から始まります。
もう一人の主人公・真は、恩師の後を継ぐ形で実質的なリーダーとしてバースディの言語習得を日々研究しています。
着実に、そして平和に進められていると思っていた研究でしたが、ある事件がきっかけで、真は真相を知って行くことになります。
真とバースディ、彼らの周りの人間。それぞれの性格や、行動が随所で偏りなく書かれているので、のめり込むことができる作品だと思います。
特に、バースディの表情が映像のように頭の中で再現されるような描写は、後半からラストに続く真とバースディのやりとり、そしてそこに人間のエゴや、バースディの"心"が浮き立ってくるような読者の感情を引き出すことに繋がるのではないでしょうか。
一冊の本ですが、多くの展開があり、決して読者を飽きさせることはないです。上記に述べた、事件の犯人を探そうと登場人物をいろいろ疑うのですが、待ち受ける真相に胸が苦しくなります。
ラストは、泣いてしまいました。
愛情やコミュニケーションについて考える作品でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説家デビューしたものの売れず、三冊目をなかなか書けないでいる広告制作会社の社長「私」が、危篤の父が書き残した自伝の原稿を読む……というお話。お父さんの人生は、熊に襲われたり、早稲田文学にかぶれてみたり、戦時中は敵の戦闘機を撃墜したり……という激動の人生だったことをはじめて知る。まさに人に歴史あり、という感じ。
すごく良い作品だったとは思うのだけど、なにせ渋い。わたしには渋すぎた。。。主人公からして50代だしな。。。
もうちょっと、笑って泣けてドンデン返しありのポップな話かと思っていた。もうちょっと齢を取ってから読むとまた違ったかな、と思う。
いい感じにちょいヘタな文章を書いて素人の自伝を再現するプロ作家荻原浩の手腕にびっくりです。
あと北海道の熊をなめちゃいけないってことがよくわかりました。 -
Posted by ブクログ
長い年月を生きてきた樹と、樹とともに生きてきた人々の物語のモチーフを思い描いていたところ、この本に出会いました。
千年の時を生きてきた樹はその樹皮に人々の想いをまといます。 根は時に人々の悲しみや、涙を吸い取って来たかもしれません。木々の葉は周りで喜び遊び回る子供の声や、明るい陽の暖かさを感じていたかもしれません。恐ろしく長い時を、同じ場所で、繰り返す人々の人生を見てきたのでしょう。
手を広げても余りある、大きな樹を抱きかかえてみませんか。一目では見上げることのできない程の大きな樹形に囲まれると、樹と空気と土と木漏れ日、そして自分自身が一体となる感覚が湧いてきます。