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老人ホーム「ひまわり苑」と「ひまわり幼稚園」はお隣同士。妻を亡くし「苑」に入居した益子誠次は、幼稚園児と一緒にひまわりの種を植えた。経営が同じ「苑」と「園」には実はさまざまな不正の疑いがあるが、老人と子供たちは非力ゆえになかなか糾(ただ)すことができない。しかしある日、訳ありの「苑」の入居者・片岡さんがとうとう決起、誠次と子供たちと一緒にバリケード封鎖を敢行する。老人と子供が手を組んだとき、奇跡は起こるのか? すべての世代に送る「熱血幼老小説」。
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Posted by ブクログ
理事長を同じくする2つの施設。老人ホーム“ひまわり苑”と“ひまわり幼稚園”は隣り合って建っている。ひまわり苑の所長は理事長の義弟、ひまわり幼稚園の園長は理事長の娘。県会議員選挙に出馬予定の理事長は、自らのイメージアップに必死。老人と幼児の交流を図ろうと、苑と園の間の壁を取り払うのだが……。 幼稚園...続きを読む時代をここで過ごし、園の中でも特に問題児と言われた4人―晴也、伊梨亜、秀平、和樹―が、当時に交わした約束を果たすため、13年後に更地となったこの地を訪れるシーンで物語は始まります。以降の章は当時の様子が描かれ、約束の中身が明かされるのは最終章。 小分けにされた章は、妻に先立たれて苑に独りで入居する誠次、母子家庭に育つ、緊張しぃで口べたながら悪ガキの晴也、晴也の所属する“こぐま組”の担任、和歌子先生が、交代で語る形。 園児たちにとって、自分たちの何十倍も生きている年寄りは一種の妖怪。苑と園の間の壁は魔界との結界だったのに、それが破られたわけです。園児と顔を合わせるようになると、 白塗りの化粧に気合いが入ったり、無理に笑顔を作ったりする年寄りの姿が、もう怖くて仕方がありません。年寄りに声をかけられるたびにビビる子どもたちは、いちいち「ひょえ~、じょわ~」。←パンツの中でチビったところ。 子どもが苦手な誠次は、こんな状態を鬱陶しく思っています。しかし、苑に飛び込んできたボールを拾ったことから晴也らと話すように。誠次がひまわりの種を植える様子を見かけた彼らが、「ジジがミックスナッツを土に埋めている」と考えてビビるところは爆笑。 理事長や園長の都合に振り回される和歌子先生の姿もまた傑作。「パコパコパコ」。何の音かと思ったら、パソコンのキーボードを叩く音。和歌子先生が落ち着いてキーボードを叩いている間はいいですが、だんだん腹が立ってくる段では、スゴイ音になります。「パコパコパコガコベコギコガコ」。可笑しすぎ。 経営者側の思惑のみで構成される、くだらない合同プログラムから脱出して、誠次が悪ガキ4人を苑の自室に連れて行ってみれば、園の机の下でゲームばかりしている無口な和樹が麻雀の達人で「ロ~ンッ!」。誠次と同じく入居者の寿司辰や片岡、おトキ婆が惨敗し、もう園に帰らなくちゃという和樹に向かって、「勝ち逃げする気か、坊主!」と叫んで大人げないことこの上なし。誰から麻雀を習ったんだと聞くと、和樹は「ニンテンドーディーエスです」。年寄り連中は「何者だそれは。外人か」。 苑の経営改善を求めて片岡がバリケード封鎖をおこなうことについては、園児を巻き込んでこんなことやらかしちゃ駄目でしょと思いますが、子どもたちだって言いたいことがあるんだと声を上げるシーンには涙。園長の勝手な判断で演劇発表会の配役や台詞が変更されると、たとえば「主役なんだよ」と家族に話したことが嘘になってしまいます。「僕は嘘はついていないのに嘘つきになってしまった」って。最初はお姫様役に固執していた伊梨亜の言葉には笑い泣き。「おサルは大切な役だって言ったくせに。 おサルでもいいからがんばろうって思ってたのに」。 むずかしい言葉がまだありすぎる子どもたち。それを説明する誠次の言葉のひとつひとつが可笑しくも優しい。非現実的なストーリーではありましたが、こんなふうに世代のちがう人同士が関われたら。 「想像というのは、自分とは違う誰かのことを考えることだ。いまとはちがう明日を考えることだ」。人間は、誰もが一冊の教科書。
それをいつ聞いたのか、誰に言われたのかは覚えていなくても、小さい頃の体験がその人物を構成していくのだなぁと最後の一行で気持ちよく感じる。
隣接する老人ホームと幼稚園。そこの老人と園児のほっこり交流する話。では終わらなかった。 なんつっても「ひまわり事件」だもんな。笑える場面もあれば、切ない場面もあり最後まで楽しく読めました。
序盤は視点の変更や流れの単調さに詰まらなさを感じるが、中盤以降勢いに乗ってくると面白い。子供、老人それぞれの感情表現がはっきりしていて移入しやすい。 エピローグもさっぱりとした形で夏の終わりを彷彿とさせる。
群像劇? おなじ舞台だけど 登場人物の視点を変えて とても わかりやすく ストレスなく楽しめる 作者のユーモアのある語り方も 長文のなかで たくさん変化していく 結末が楽しみだったが 優しい着地点も 安心できた。 男が書いた本
隣接するひまわり幼稚園とひまわり苑の交流が始まったことで出会った園児たちと老人たちの物語です。一緒にひまわりの種をまいたり麻雀をしたり(笑) それまでお互いに接点も興味もなかった園児と老人たちの距離がだんだん近づいていくのがほほえましいです。すぐに下ネタをいうエロじじい寿司辰がいい味出してます。
隣り合う幼稚園と老人ホームの交流の話し。 ほのぼの系かと思いきや、子どもも大人もみんな自分本位、好き勝手するものだから次々に問題が起きる。それでも、それぞれの立場でその人なりに考えて、関係や環境が少しずつ変わっていくのが良い。 ドタバタコメディなのだけど、少しだけ切なくて勇気をもらえる物語。 子ど...続きを読むもたちのひまわりでの闘いはうまくいったかな。
夏の終わりに、なにかこの夏に残るものが読みたくてタイトルだけで選んで読んだ一冊。 ほのぼのとした話が続くと思いきや、終盤からの急展開に驚き。 様々なユーモアが散りばめられた物語ではあるが、時折ほろっとさせられるようなフレーズを残していくのが荻原さんらしくて、とてもいい雰囲気の作品。
かなり読み応えがある一冊。派手な事件は終盤だけで、老人と幼児たちの不思議な出会いと友情が描かれる話。比喩表現がとにかく面白かった。自分では思いつかないような表現なのに、それがものすごく的を射ているから凄い。 登場人物のキャラが立っていて、どのひともすごくピュア。守りたい人、守りたい気持ちにだけ突き動...続きを読むかされていて、どの登場人物のことも嫌にならずすっきりとした読後感がある。悲しくないのに、その人物にとってのハッピーエンドなのに泣けてしまった稀有な話。凄く好きな話です。何年かしたらまた読み返したい。
愉快痛快。後半のクライマックスシーンはスカッと! とにかく個人的には単純に気持ちよくて大好きな系統の作品です。 大きな力に対し個人の力は小さいかもしれない。でも、やってやるという気持ちがあれば、変化をもたらすことは出来る!そんなメッセージを感じました。
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ひまわり事件
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荻原浩
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