荻原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレやっぱり荻原浩は面白い.解説の「取り戻せない喪失を抱えた人々が未来へ向かう物語」というのがまさにぴったりの,ノスタルジックな香りのする珠玉の短編集.
「トンネル鏡」 五十路になる前に会社をやめて故郷に帰る男が,車窓を眺めながら母親にまつわる思い出を軸に今までの来し方を回想する話.
「上海租界の魔術師」 家に転がり込んできた上海でマジシャンをしていた祖父との思い出.魔術師の弟子となった孫娘は,祖父の通夜でとっておきの魔術を披露する.
「レシピ」 夫の定年退職の日に,夕食の料理をしながら夫の帰宅を待つ妻.古いレシピノートを見ながらそこに書かれているレシピにまつわる出来事を回想する.最後に荻原さ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ中学生向け問題集のどこかで読んだことがきっかけで惹かれた。
美術の授業中のシーンを抜粋してあった。
とても瑞々しくて痛くて好きになった。
全体的に若者の口語体であるためテンポよく読めた。
難しいところは特にない。
彼の苦悩は私と同じではないが、なんとなくわかる。
特別だと思い込まなければ今死んでしまう気がする感じ。
こちらも概ね思い込みであった、都度起こす彼の犯罪にはあまり共感できなかったが、それこそ彼と同じ境遇だったらわからない。
アイスマンを持ち出したら何か変わる気がしてしまうのもよくわかる。
でもきっと、私には実行するだけの度胸はない。
そこだけが少し気になった。
私はやっぱり、 -
購入済み
冒険
座敷わらしに河童に天狗。
小説は,より現実離れしている方が好みだ。
すぐに自分の世界に入ってしまう布目先生と,映画監督を目指す真矢。
二人のキャラクターも微笑ましい。
冒険の続きが気になる。
妖怪や精霊なんてきっといないんだけど,心のどこかで信じていたい。
その方が楽しいから。 -
Posted by ブクログ
面白いのです。。。。
出版社の紹介では「二度目の原発事故でどん底に落ちた社会――。三年前に懲役を終えたばかりの及川頼也は、若頭に「アル中を治せ」と命じられ、とある大学病院の精神科を訪れる。検査によると、及川の脳には「良心がない」のだという。医者らを拒絶する及川だが、ウィリアムズ症候群の少女が懐くようになり……。人間の脳は変われるのか。ハードボイルドの筆致で描く、脳科学サスペンス!」と書かれています。
どうしようもないサイコパス(反社会的人格)のヤクザの悪行を書き連ね、最後は森の中の怪しげな精神病院内でマッドドクター(サイエンティスト)との戦い。手に汗握ると言いましょうか、さすが荻原さん、読ませ