荻原浩のレビュー一覧
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西暦も2000年を超え、地球規模の様々な問題が顕著になってきています。しかし、過去に遡って目を向けると、アフリカを起源とする人類の発祥や、日本人は何処からやってきたのかというような考古学的な興味は、想像の世界だけに気持ちを掻き立てられるものがあります。一対の若い男女の人骨の発掘を発端とするこの物語は、それだけに一気に2700年の時を跨いで縄文、弥生時代に飛びます。
日本列島と思われるある所に狩猟によって命を繋いでいる一集団、その中の思春期を迎えた16歳になる男子、ウルクが主人公です。彼は図らずもヒグマと思われる巨大な熊を倒すことと、ある目的を遂げるために家族を含むその集団から離れなければなりま -
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1000年と遠い昔、父と母と一緒に山中に逃げ、最後は餓えと寒さの中で息絶えた小さな幼子。その幼子が口からこぼれた種が芽吹いて、クスの大樹となる。
そのクスの大樹のある風景の中で、現代と過去をオーバーラップさせながらたくさんの人間のドラマが語られる。
どの話も物悲しく切ない。この大樹は暖かく包み込むようなこともなく、祟り神のように悪さをするでもなく、ただただ静かに人間の営みに耳をすませている感じ。時々出てくる1000年前に亡くなったであろう幼子の化身も、人を助けるでもなく困らせるでもなく、ただ大樹の周りに吹く風のように無邪気だ。
それでも人々がこの大樹に大小様々な想いを持って、何となく頼っている -
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めちゃくちゃリアル。
特にホームレス生活がリアルすぎて、作者の体験談なのでは?と思うほど。新興宗教を発足させる過程もリアルかつ納得できる仕組みで、これを参考に本当にできてしまうのではと思える。
しかし話が進めば進むほど、成功していく新興宗教とは反対に主人公のメンタルが追いやられていって、不安ばかりがつのっていく。下巻も途中まで読みましたがしんどくなってやめてしまいました。
それでも前述した点での緻密さや登場人物の心理描写の細かさ、無理のなさなどが素晴らしい作品。人間の愚かさをよく描けている。
そういった類の小説が読みたいひとにはおすすめです。 -
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なんかしんみりしました。
トンネル鏡
住んでいる街が嫌で東京の大学に進み地元を出て行く。就職し結婚し子供が生まれ家を建てる。母も呼び同居するが嫁とうまくいかず母は故郷へ帰ってしまう。嫁との溝が深くなりやがて離婚。自分も故郷へ戻る事を考える最中母が倒れ他界。歳をとった自分が故郷へ帰る電車の中、トンネルに入ると窓に映る自分の姿を見て人生を振り返る。
上海租界の魔術師
家に祖父が帰ってきた。祖父は昔、上海で魔術師をしていた。孫のかなめはマジックに興味津々。祖父はかなめ相手に色々とマジックを見せる。やがてかなめは不登校になる。祖父はマジックでかなめを変えようとするが当然そんな事では変わらない。祖父 -
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ネタバレ文明とはかけ離れた秘境、牛穴村の未来を背負った青年会が村おこしの為に立ち上がる!倒産寸前の弱小広告会社、ユニバーサル広告社とのタッグが波乱を巻き起こす。
・田舎の故郷を卑下して、都会をたてる
←これ田舎者の特徴。自分も気をつけたい
・田舎者を蔑む大学時代の友人
← 一方が友人だと思っていても、もう一方がそのように思っているとは限らない。内面ではなく外面だけ見て、友達を選ぶような、友達をファッション程度にしか考えていない人によくありがち。付き合いたくない人種。
・地域資源を生かして伝説を捏造し、メディアの注目を集める事で村興しに繋げていく
→ありそうでありそうじゃない丁度良いラインの荒技で