荻原浩のレビュー一覧
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ネタバレ“自分はどこで 何を 間違えたのか…。”
三人で立ち上げた宗教団体「大地の会」は設計図どおりに発展し 会員数は四桁にのぼり しかも勢いは止まらない。
最初は 教祖である仲村も龍斎も会員たちもコントロールできていると思っていた。しかし段々と綻びが出始める。
肥大した宗教団体は木島(山崎)一人で制御できるものではなかった─。
上下巻通してとても面白かった。
「大地の会」が木島(山崎)の手からこぼれ、龍斎や仲村の思惑をのせて会員たちとともにどんどん形を変えていく様子が生々しい。
結局 山崎という人は幼少期の辛い経験もあわせて宗教というものにずいぶん翻弄されてしまった。
最後 山崎は「大地の会 -
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audiobookの無料体験中で、耳で読んだ。
この作家さんは2冊目。
実は先日、この作家さんの講演を聞く機会があり、また、読んだことがあった一冊も本当に素晴らしかったので、これを選んで聞いてみた。
まずは講演での作家さんの印象から。
講演前に会場に入り始まるまで黙って待っている姿の印象は気難しそうな人だった。年上の男性だし、作家先生は気難しいという先入観かもしれない。でも、講演を聞いて印象はガラリと変わった。共感性が高く、五感の感受性も高く、ユーモアに溢れる方。
一人でパソコンに向き合う仕事ではあるけど、自分目線だけではなく、他者目線でも見れないと成り立たない職業なのだと実感した。
こ -
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大手証券会社に勤務していた山崎は妻の美奈子が自分の判を押した離婚届をおいて家を出ていったことがきっかけで酒浸りになり会社を解雇された。四十歳だった。
自分のキャリアなら再就職はそう難しくはないはずだと高を括っていたが
そんなプライドは散々に打ち砕かれた。
消費者金融の取立てから逃げ回ることに疲れ マンションを出た山崎は寝泊りしていたネットカフェで親しくなった若者に全財産の現金四十万と携帯電話を持ち逃げされる。
そして彼は路上生活者になった─。
上巻の前半 結構なページを割いて山崎の一カ月にわたる路上生活が書かれている。
路上生活の惨めさや安易さが山崎を通してこちらにも伝わってくる。最初はあっ -
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ネタバレこの本が刊行されたのと同じ2000年代生まれとして、この作品に登場する「渋谷のイケイケな平成女子高生」たちには、どこか懐かしさを覚えた。
幼い頃、分厚くて画質の荒いテレビに映っていたあの頃の渋谷を眺めているような気分で読めたし、まるでタイムスリップしたみたいに楽しめた。
一方で、(ここで使われている最新の若者言葉、今となってはもう完全に死語だよな〜)なんて現代的な視点でも楽しめる。
その時代の最先端の若者を描いた小説が、こんなにも社会学的に面白いとは思わなかった。
図らずもY2Kブームが再燃している今このタイミングで読めたのは、この作品をより一層楽しめた理由のひとつだと思う。
犯人は途中でな -
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ネタバレ面白かったぁ。星は付けられるなら4.5を付けたい。
ゴリゴリのミステリーってよりかは人間社会とかに焦点を当てたサスペンスって感じだったかな。犯人当てが好みの方はちょっと物足りないかも。僕はそれよりもそうだったの!?って展開があれば満足できるからこの本はかなり好みの部類だった。
この本のそうだったの!?ってなったのはサキが死んでたところだった。犯人視点でサキの事は書かれてて、犯人は狂っちゃって生きてるように書かれてるから気づきようがないんだけど、それでもビックリしたし楽しめた。死んでる人を生きてるように書く叙述トリックは、何個か読んだことあって、どれもちゃんと読めば気づけるようになってるけど -
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神森という小樹海と呼ばれる森。
その森で行方不明になった5歳児の真人。
真人には自閉スペクトラム症(通称ASD)の発達障害があり、
一向に行方がわからないこともあって、その生存は絶望視されていた。
だが行方不明から一週間が経過して真人は発見、無事に保護された。
救出された真人は特に衰弱している様子もなく、
この一週間の間、水分と食料はちゃんと取っていたとみられている。
当の真人は「クマさんが助けてくれた」と語るのみで全容は把握できない。
母の岬、そして義弟の冬也は真人が行方不明の一週間を解明しようと動き出す。
そして真人が行方不明の一週間の間、
森に迷い込んだ4人の男女の存在が発覚していく。
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「恋愛」をテーマにした
5名の作家さんによるアンソロジー
収録は以下の5作品
「あなたが大好き」 奥田英朗
「銀紙色のアンタレス」 窪美澄
「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか」 荻原浩
「ドライビング・ミス・アンジー」 原田マハ
「シャンプー」 中江有里
窪美澄さんの作品は『夜に星を放つ』で既読だったが、好きな作品なので再読した。
他作品は、私は初めてのものばかりだった。
どの作品もそれぞれに趣が違っていて、個性豊かで、色々な恋愛模様がたのしめる。
こんなに大当たりばかりのアンソロジーは、なかなかないと思う。しいて選ぶなら、私は荻原浩さんの作品が特にグッときた。
読んでいて気恥ずかし