荻原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
若年性アルツハイマー病患者のお話
終始抜けがなく、私にとって完璧な小説はこれのことだなと思った。
どう頑張ってもハッピーエンドにならない内容で、毎日寝る前に100ページほど読むという読み方だったが、読後は必ず自分はアルツハイマーでは無いかの記憶の確認をしたものだ。もちろん夢にまでうなされることもあった。
構成的にはとても読みやすく、家族との生活、会社での生活、佐伯の趣味である陶芸の生活、といった3種類の生活に順番に繰り返し焦点が当てられるといった流れ。また、時折佐伯が書く日記の内容も書かれている。
その日記の中で、中核症状である「失書」と「保続」は段々悪化していく様子は、子供が大人になるにつれて文字が書けるようになっていく様子をそのまま逆さまにしたような味わったことの無い辛さを感じた。
アルツハイマーの進行に関して、
「年齢が逆行していく、長い長いホームビデオのテープを巻き戻すように。」
この1文だけでアルツハイマー病の辛さを思い知ることができるだろう。