荻原浩のレビュー一覧

  • 笑う森

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    男の子が森で行方不明になった話を中心に、色々な人の人生を覗き見できた気分。
    最後は言葉に表せないけど、温かい気持ちになった。くまの描写最高だろ…

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    2026年10月20日
  • 二千七百の夏と冬 : 下

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    縄文人の立場で書かれた小説を読みたくて調べてこの本を探し当てた。
    縄文人と弥生人の恋という形で、エンターテインメントとして楽しめる作品でしたった。縄文の平等社会、それに対し農耕文化の統治者のいる階級社会が見事に描き分けられ、縄文語が現代の日本語て似ていただろうという視点も面白く、堪能できた。
     遺跡発見を巡って、アカデミアとマスコミと政治が動く様子もなかなか見事で感心するところが多かった。ただ三内丸山遺跡を見ても船で交流していたと考えるのが自然で徒歩で10日ほどの村と断絶していたというのはどうかと思った。また、弥生文化と縄文文化の混合は長い時間をかけて行われたとも思えるので、この作品の様な劇的には進まなかったとも考えられる。
     しかし、米作の導入がエポックメイキングな出来事であることは間違いないと思われるので、主人公ウルクの目で弥生文化を驚いてみることができるのがこの小説の醍醐味であることは確かなことである。

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    2026年10月18日
  • 砂の王国(上)

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    ネタバレ

    普通のサラリーマンから突然ホームレスになったお話。
    最初から中盤にかけての「今日を生き残れるか」のサバイバル感にワクワク・ドキドキし、苦労してお金をゲットした場面では、自分が初めてバイトでお金を貰った時のように、何を買おうかと当事者のように考えてしまった。
    中盤から終盤に掛けて、新興宗教立上げについて描かれている。実際に人間とはこんなにも誘導されるものとは。と、自分はこういうのに引っかからないと高を括っていたのだが、本書のように心理的、そしてそれぞれのパーソナル部分を攻められると誘導されるのは無理もない。

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    2026年10月18日
  • 二千七百の夏と冬 : 上

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    三内丸山遺跡に行ってから縄文時代に対する興味が湧いてきた。それで縄文時代を背景とする小説を探していて、本作品を見つけた。やや舞台は東北あたりかと思われる。猪はイー、鹿はカァーなど普通名詞の呼び替えの言葉遊びも楽しい。著者なりに縄文人の精神生活に迫ろうとした努力が伺われる。アフリカの狩猟民族などの人類学の調査を見ると、狩猟民族は足跡を見ただけで、その獲物の状態がわかってしまったり、糞を見ただけで獲物の健康状態までわかるということなので、この小説で描かれる様に糞を触ったり嗅いだりしなくてももっとわかるはずだろう。また、服や足袋なども本人たちは快適だと思って着ていたと思われる。
     また渡来人と縄文人の恋愛が描かれそうで大地の子エイラを思い出す。下巻も楽しみだ。

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    2026年10月12日
  • 笑う森

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    5歳のASD児 真人が森で行方不明になった。1週間後に無事保護されたが、栄養状態もよく、母親の岬と叔父の冬也は森で真人と出会った人たちを探し、同時進行で岬に誹謗中傷する人たちを特定していく。
    森のなかで真人と出会った、ソロキャンYouTuberの拓馬、恋人を殺してしまった美那、難病の娘にお金を届けたい元ヤクザの谷島、狂言自殺を企てる中学教師の理実。それぞれ個性が際立ち、うまく絡み合う話の展開と伏線回収がおもしろい。
    ラストの真人が語り出すシーンは、発達障害児を支えるおとなたちの1面が垣間見えたようでグッときた。

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    2026年10月10日
  • 噂

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    小暮刑事と名島警部補の捜査が大変面白い!コツコツと地道に証拠を集めて犯人を探す様子がとても熱くなった!
    小暮刑事が良いおっちゃん(取り調べをすると何故か犯人が自白してくる)なのもとても良かった!
    じわじわと判明していく真実も読み応えがあったし、最後の文章はゾワっとして面白かった!

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    2026年10月08日
  • 僕たちの戦争 <新装版>

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    ネタバレ

    父のオススメ図書。2001年を生きる19歳のニート健太と、終戦1年前の飛行訓練生の吾一が体ごと入れ替わってしまうお話。タイムリープもの好きなので面白かった。
    ラスト、子どもを身籠ったミナミの元に戻る健太は、果たして「健太」なのか「吾一」なのか。はじめ、覚悟を決めて元に戻ることに挑んだ吾一のためにも、戦時下を経験して逞しくなった健太のためにも、戻ったのは「健太」だといいと思ったけど、なんとも言えないなあ。あとミナミのおばあちゃま可愛い!ともあれ健太への秘めた恋のせいで歴史が変わらなくて良かった笑

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    2026年09月27日
  • 海の見える理髪店

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    入院中にお見舞いでもらった本。家族や過去との再生をテーマにした短篇集。
    一つ一つの物語が自分に起きたことのようにスーッと入ってきて、涙が止まらなかった。
    人の気持ちをわかった気になれるけどわかることの難しさ。自分の思い込みを改めて見直すきっかけになった。

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    2026年09月27日
  • 噂

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    本当に面白かった!!!事件発生から解決までの流れももちろん好きなんだけど最後のトンデモ事実発覚がびっくりすぎて気持ちよかった。全部通して本当に面白かったし大好きな作品になった。この作品に出会えてよかった。

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    2026年09月22日
  • 噂

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    ネタバレ

    初めて私怨や復讐以外のシンプル変態犯罪者の犯人が出てくる小説を読んだ。ページ数は多かったが、会話のテンポがよく読んでてストレスは
    無かったかな。星5の理由はそうはならないだろ
    ってツッコみたくなるところが無かった所と主人公のオッサン刑事の元に渋谷のギャルが集まって話をする所。ああいうギャルとかが名島さんのアシストでみんな協力して場がまとまっていく感じが
    熱くて好き。なんかみんなカッコよく見えてくる。
    話自体は全部腑に落ちるし、
    全部理解できる。のに最後まで犯人が
    分かんないって所が面白かった。
    最後の一行が衝撃って書いてあったけど、
    これは本当に衝撃。鳥肌たった。
    「キモサブ」ってお前かよ…。

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    2026年09月19日
  • ストロベリーライフ

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    すごく面白かった!
    広告賞を取った恵介がプライドだらけだったのに、一転いちごの農業をはじめ奮闘する話。
    心情もよく描かれていて、人生の考え方が変わっていく様が読んでいて勇気をもらった。
    最後夫婦の考えが一致するところも。
    ハッピーエンドで良かった。

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    2026年08月29日
  • 笑う森

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    小樹海と呼ばれる神森で5歳の子供が行方不明になる。自閉症スペクトラム障害と診断された男の子だという。だが1週間後に無事に保護された。その間子供はどうしていたのか。
    悩みを抱えた人たちが迷い込む自殺の名所か、今どき流行りのソロキャンプに最適な場所か、表には出せないいわく付きの金を巡る争いの末に逃げ込むところか。次々起こる事件を追っていると森というのは本当に人の姿だけでなく、心も包み込んでしまうような場所なのだなぁと思わされた。そしてそこで何が起こったのかを解きほぐしていくストーリーは、樹海の中を彷徨うようなところから、少しずつ道が見えてくる感じ。それは物理的な道だけでなく、心の中の迷いを解き明かしていくような道だったりしたのかもと感じた。
    何で無事に戻ることができたのか、それは森の中に入って来た者たちが、森の力によってなすべき事を知らされたからなのだろう。それは人間だけでなく全ての生き物において。
    久しぶりに読む荻原浩氏のサービス精神溢れる物語展開は、これまで以上に優しさに溢れている感じがあり、450ページの長編を読み終えた時に本当に満たされた気持ちになった。

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    2026年08月15日
  • 今夜も、ぼっち飯

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    ネタバレ

     「ぼっち飯」と聞いてイメージするのは、寂しい、侘しい、簡素、質素、チープ……と、負のオーラ全開だった。でも、そうじゃなかった。ぼっち飯には、もっと多くの形がある。
     『ふたご食堂のフォーチュンクッキー』『ぼうべらのおべんげ』からは、食を提供する人と食べる人、そしてそれを見る人との間に、食を通して生まれる連帯感が感じられた。ぼっち飯=孤食ではないのだ。そういう意味では、『最高の孤食の作り方』にも同じことを感じた。食にこだわるようになり、ご飯を炊く土鍋や味噌などを探し求めるうちに、そこで出会う人たちとの間に深い絆が生まれてゆく。
     そして、ぼっち飯のシチュエーションとして盲点だったのが、ひとり旅だ。『忘れじの辛口』『ふらっと三陸鉄道の旅』での食事は紛れもなくひとりだが、普段口にしない味に発見があったり、喜びがあったりする。また、食べるものが違っても、見知らぬ人と食を通して交流が生まれる。『一人飯の事情』では、高校生が学校で食べるお弁当をめぐる物語だが、こちらも同じだった。
     このアンソロジーから、ぼっち飯の奥深さを学んだ。印象的だったのは、三浦しをんさんの描くぼっち飯が、なんだか楽しそうだったこと。そして、やはり久住さんの食に関する洞察力は恐るべし、ということだ。店の雰囲気も食事の味も、まさに『孤独のグルメ』よろしく伝わってきた。

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    2026年08月15日
  • 海の見える理髪店

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    過去を懐かしみながらも
    自分の犯した罪と向き合いつづけ
    ただ終わりを待つだけの日々も

    今は小さすぎるその声が
    力が無力に見えるような時でさえも

    深い悲しみに
    生きる力が尽きてしまいそうな
    長すぎる歳月の中でさえも


    心を閉じすべてを諦めるのではなく
    ほんの少しの一歩踏み出せば

    その先には確かに今とは違う明日が続いている

    暗くて出口の見えないトンネルから
    温かな光が射す青空のもとへ
    抜け出すことができる


    私も これからの人生を
    諦めず
    ほんの少しでもいいから
    昨日よりも前に一歩
    今日よりさらにもう少し一歩と進み続け

    光を探し求めながら
    日々を生きていきたいと感じました。

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    2026年08月10日
  • 海の見える理髪店

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    僕みたいに不義理でへそ曲がりな人間だとなおさらのこと、 こういうのを読んだとき不覚にも涙が出てしまったりする。いかんよけしからんよ。こんなオッサンを泣かせないでおくれよ。6編ともハズレ無し珠玉の短編集だけれど 強いて挙げるならそうねえ「成人式」がいちばん残ったかな。6編 読み終わったら なんか実家に帰ってみたくなった。

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    2026年08月09日
  • 陰謀論百物語

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    陰謀論、百物語、怪しげな蝋燭の炎、表紙を見て夜読むのはやめとこうと思ったくらい「怪奇」を感じた。こういうのはあまり好きじゃないのだ。
    ところが大外れ、冗談とさえ言えるような陰謀論が飛び交い笑ってしまう。作者に嵌められたと思った一作目。
    気楽に読み進めると次々と、一番楽しんどるのは荻原さんかいと遊ばれた感に包まれ、こちらもにんまりの短編集だった。

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    2026年08月09日
  • 神様からひと言

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    お客様相談室に左遷になった主人公
    一癖ある社員の方と関わりながら成長し、仕事とはなんだろうを見つけていく。
    展開はよくあるものかも知れないけれど、読み終わってすかっとする面白さがあった。
    また謝罪のテクニック?
    が書かれていたり、グッとくる文面があったりと
    社会人にと呼ばれる今の年齢でであってよかったと思える本だった

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    2026年08月06日
  • 噂

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    香水の新作ブランド、ミリエルの宣伝プロジェクトとして渋谷の女子高生の間にある噂が広められる。
    『レインマンが出没して女の子の足首を切っちゃうけど、ミリエルをつけていると狙われないんだって』
    企画会社が女子高生モニターを雇って流した創作の噂だったはずだが、実際に足首を切断された女子高生の遺体が発見される。

    2000年代の渋谷が舞台で、コギャルやiモード、チェーンメールなど懐かしいものも多いけど、話の内容は古臭くなくむしろ面白い。
    事件を捜査する刑事の小暮には女子高生の娘がいて、“今どき”の女子高生の感覚とのギャップがあったり助言をもらったりの凸凹感がいい。
    また小暮の相棒となる本庁の女性警部補、名島とも子持ちシングルという共通点がありながら、着眼点や関係者へのアプローチの仕方に差があってこちらの凸凹感もいい。

    SNSがなかった時代に噂話という口コミ戦略でマーケティングを図る企画会社社長の杖村、その企画会社を利用しながらも見下している広告代理店の加藤と西崎、大人を小馬鹿にする女子高生たち。
    20年前の作品ながら今と通ずる部分も多く、情報戦略の便利さと危うさがリアルに感じられた。

    そして一件落着と思いきや、最後の一言で心臓を握りつぶされる衝撃…!!

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    2026年07月26日
  • 明日の記憶

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    昔観た映画の印象がつよく、渡辺謙は上手かったなと思う。
    いつも慣れた渋谷で迷子になる描写が生々しく、こんな気持ちなのか…と、はらはらしながら読んだ。必死に繋ぎ止めようとするたくさんのメモも、きっと周りの人からはバレてるんだろうなと思いつつも、本人の一生懸命さに、微笑ましくも辛くも思ってしまう。
    変わってゆくことをおおらかに受け止める、そんな社会でありたいと思う。

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    2026年07月26日
  • 海の見える理髪店

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    表題作を含む6作の短編集

    ・海の見える理髪店
    海の見える辺鄙な所にある理髪店
    その理髪店を訪れた客である「僕」に、店主は髪を切りながら自らの過去を語り始める
    昔やっていた店には大物俳優や政財界の名士が訪れてきたというが、今は何故こんなところで営業しているのか?
    「僕」がわざわざ訪れた理由とは?


    やはり表題作だけあって面白いし、人情味に溢れている
    特に、店主が最後に髪を整えるところがいい
    果たして、その行為は職人の気持ちだけではなかっただろうと容易に想像できるような余韻


    ・いつか来た道
    中学の美術教師で画家だった母
    そんな母のいる実家に、弟の充の説得もあり十六年ぶりに帰った娘の杏子
    かつては英才教育で厳しく育てられたが、それは母が娘に自分の夢を託したかったから
    しかし、実家にいたのは認知症になった母
    帰ってこなければよかったと後悔するが、自分の知らなかった母の心情を知ることになる


    認知症になった身内に対する話は他の作家さんでも読んだ事あるけど
    昔はあんなに厳しかったのにというギャップが、自分の中の蟠りと相まって複雑な感情を覚えるのは想像しやすい

    でも、認知症になったからこそ、昔は内に抑えていた感情が零れ出ることで真意を知るというのはどうなんですかね
    だったら昔にそうしてくれよとも思ってしまうかも


    ・過去から来た手紙
    仕事優先な夫と何かと煩わしい義母に反発し、娘を連れて実家に帰ってきた祥子
    農家の実家には弟夫婦が同居していて、居心地が良いわけではない
    夫はすぐに迎えに来るでもなく、やはり仕事優先
    そんな不満を募らせる祥子に見知らぬアドレスからメールが届く
    そのメールは夫からと思っていたが、実は……


    ファンタジーですねぇ
    でも、子供や家族とは会えない状況で自分の責務を果たさなければいけないというのは中々に辛いだろうなぁ


    ・空は今日もスカイ
    親の離婚で見知らぬ街に引っ越してきた小学三年生の佐藤茜
    街の住人に受け入れられず、友達もいない茜は家出し、とりあえず海を目指す
    その途中で虐待されていると思われる少年 森島陽太と出会う
    二人で海を目指すが……


    やはり虐待されている子が出てくる物語は読んでいて辛い……

    そんな二人の前に現れた人物も、社会からは切り離された存在なわけで
    まぁ、何ともなかったからよかったけど
    この後、二人ともう一人はどうなったのでしょうね?


    ・時のない時計
    二か月前に亡くなった父の形見として母から機械式時計を受け取り、時計屋に修理のために持ち込んだ事から思い出す父の姿
    謹厳実直で真面目な父という認識だったが、実は見栄っ張りなところや派手さもあったというギャップ
    そして、時計が実は……


    子供の頃の父の思い出と、時計を大人になってから受け取って知る事実
    昭和の親父像としては、普段は無口で頑固という印象を抱きがち
    作中の父は経理担当で地味な印象を持っていたけど、意外とそうでもない面もあったとか
    しかもそれがさらに違ってたというコロコロ変わる展開がよかった


    ・成人式
    15歳で事故で亡くなった娘宛てに届いた成人式の着物の広告
    そんな娘に代わり、両親が成人式に替え玉として出ようとする話


    親世代が振袖とか、どれだけ若作りしても普通にバレバレでしょうに
    それでも夫婦ともども娘のカタキをとるように奮闘する姿は滑稽でありながら愛を感じる



    全ての話の共通点としては「家族」でしょうか
    そして、以前は見えなかった側面が見えてくるところ

    話の内容もさることながら、文章が落ち着いていて読みやすかったという印象

    直木賞の受賞作という事だけど
    こんな傾向の作品でも受賞するのですね
    まぁ、一番最初にノミネートされてから何度も逃した末の受賞のようだけど

    人によっては面白さが伝わらないかもね

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    直木賞受賞作 待望の文庫化!
    人生に訪れる喪失と、ささやかな希望の光── 心に染みる儚く愛おしい家族の小説集。

    店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが……「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は……「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族小説集。直木賞受賞作。
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    2026年07月14日