荻原浩のレビュー一覧
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ネタバレ2001年9月12日、サーフィンをしていた少年尾島健太は大きな波にのまれてしまう。
目を覚ますとそこは1944年の日本で?
一方、1944年9月12日に飛行練習をしていた、同じく19歳の石庭飛行兵長は飛行機のコントロールを失い、気づくと2001年の病院に居て…。
そっくりな容姿により、入れ替わってしまった二人。はたして新たな世界になじむことはできるのか。
現代から戦中へ向かった健太、戦後の事情を知った石庭。
ふたりの運命はどうなるのだろうか。
健太は無事に帰ってこれるのか。
歴史知識に欠ける健太に、というより現代人の健太に感情移入してしまう部分が多かったですが、戦中から見れば「乱れた -
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ネタバレユニバーサル広告社シリーズ3作目
突然事務所を移転したユニバーサル、転居先は桜通り商店街の和菓子屋の二階。
和菓子屋二代目で、妻・尚子を病気で亡くした守との関係を通じてシャッター通りになりつつある商店街の活性化に取り組む。
行覚寺の跡取り・光照と教会の娘・初音の恋は光照の修行の為三年間の空白に・・
ラーメン屋のオヤジ、蕎麦屋のオヤジ、
伝説の美容室の寿美子先生、スイーツショップの経営者・紫苑は初音の異父姉。
徐々に意識が変化して行く商店主達。
お馴染み、石井のテキ屋凄テク、村崎のデザインセンス全開、そして音楽的才能も・
猪熊も健在。最後は、幸子と早苗の転居。
3作の中で一番面白かった。 -
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零細広告会社「ユニバーサル広告社」シリーズ第3弾。いよいよ都心のオフィスの家賃払いが厳しくなり、郊外のうらびれたとある商店街へ都落ち。新オフィスの入るビルは「ヒル・フォレストビル」。実は和菓子屋の2階。とうに桜の散った梅雨時期の行われる「さくら祭り」のチラシを請け負ったことからシャッター通り商店街と縁ができ、町おこしへと没入していくコピーライター杉山を筆頭に4名の広告マン・・・。
長年、商店街を担当していることもあって「商店街あるある」にクスクスの連続。商店街ゆえ、登場する面々は商売も年代も商店街に対する思いもバラバラ。彼らの悲喜こもごもなドラマを随所にちりばめた、所謂「グランドホテル形式( -
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2001年9月12日、
ニートでサーフィン中の健太が、大波に呑まれ。
1944年9月12日、
海軍で飛行訓練中の吾一が、海上に、墜落。
お互い、目が覚めた時、
そっくりな二人は 入れ替わっていてーーー。
欲張り放題、
自分の幸せのためだけに生きる現代を、軍国少年・吾一は、嘆く。
死ぬために生きる、命をかけて過ごす、
そんな切迫感が当たり前の時代に、
サーファー少年・健太は、たじろぐ。
それぞれの時代錯誤のチグハグ会話に、クスッとなり。
時空を超え、大切な人を信じ、想いを馳せる姿にウルっとなり。
いろんな感情が、行き来する。
いろんなものが、つまってる。
最後まで、想像力掻き立てられて、
物語は -
購入済み
この作家さんの書く世界、ホント好きです。
その世界に流れる空気や、夏の日差しの暑さまで伝わってくるようです。
文章に温かさとか優しさが含まれていて、自然と笑顔になっちゃいます。
座敷わらしを通じて、家族再生の様子が描かれているのですが、その再生される様がとても自然でさりげなくて、いつの間にか『ああ、分かるな、こういうの』っていう気持ちにさせられちゃう。
梓美の友人関係での恐怖や、史子の他人を許せない心理も、とても共感できました。
一度読んで終わりではなく、二度三度と繰り返し読みたいと自然に思わせてくれる作品でした。