荻原浩のレビュー一覧

  • ストロベリーライフ

    Posted by ブクログ

    会社を辞め、独立した人間は誰しも、一度ならず思う。

    電話は怖い。

    グラフィックデザイナーの恵介は、独立した今思う。

    もっと怖い物がある。

    それは、鳴らない電話だ。


    腕には自信があった。

    だが、仕事がない。

    起業には向いていなかったのだろうか?

    フリーランスは自由ではなかった。


    そんなある日、静岡の実家の母から電話が入る。

    「おおおおお、お父さんが倒れただよ」

    4人姉弟の末っ子ながら長男の恵介は、2年前に父と喧嘩して以来、実家に帰っていない。

    苺農家の跡取りだけはいやだった。

    格好いい仕事がしたくて、美大に入学するために、故郷を後にした。

    だが、困る。
    嫌で嫌でしょうがなかった苺農園がなくなるのも。親父に死なれることも。

    東京と静岡を往復するつもりが、いつのまにか別居状態で、恵介は素人ながらイチゴにかかりきりになっていく。


    仕事にいかに取り組むのか。

    家族にいかに向き合うのか。

    争えない血と、伝えられないもどかしさと、目の前の現実の中で、恵介は道を切り開いていく。

    環境ではない。自分なのだ。

    苺を通して、人生に大切なことがたくさん伝わる好著。

    0
    2019年01月11日
  • ギブ・ミー・ア・チャンス

    Posted by ブクログ

    悩んでいるとき、人生がうまくいかないときにたまたま読んだ本で「あ。出会った」って思うときあるけど、この本はまさにそういう本であった。なかなかうまくいっていない主人公たちが人生にもがきながらも明るく生きている様子が描かれている。面白く読めたし、なによりちょっと元気になれた。

    0
    2018年11月12日
  • なかよし小鳩組

    Posted by ブクログ

    やっぱり荻原浩だいすき!!!

    オロロ畑ではいまいち入りきらなかった、ユニバーサル広告社の魅力にどっぷりはまってしまいました。
    だめ社長石田とパンク村崎と強かな猪熊と、だめだめ親父の杉山!
    この杉山さんが泣かせるのです。もうだめ。泣く。
    だめ親父だけど、早苗に対する愛は本物でね。
    ケチャップを混ぜただけのケチャップライスを忘れないよって言ったり、もう泣けるんだよ。

    あと勝也!!!勝也が、、、
    ちょっとしたことで道を外れちゃって、でも最後グッと親指立てたこと感動しちゃった

    あーーー面白かった!!
    荻原浩の本って、ふふって笑えるし続きが読みたいってうずうずするし、そしてなにより泣ける。
    登場人物みんな愛おしいよ~すき~

    2018.10.29

    0
    2018年10月30日
  • さよならバースディ

    購入済み

    読み終えて鳥肌が立ちました

    この作家さんは、ものを書くために生まれてきた天才なんだと思います。
    読み終えた時、あまりの切なさに胸が締め付けられ、涙も勿論出たのですが、鳥肌が立ちました。
    人の儚さ、弱さ、したたかさ。そして、強さ、優しさをここまで文字に表せるっていうのは、この作家さんの根底に、人に対する愛があるからだと思いました。
    作中に登場するバースディが、時折自分の息子と重なってしまい、涙腺が緩みっぱなしでした。
    悩む方がおられましたら、「とりあえず読め」と強くお薦めします。

    0
    2018年08月12日
  • 極小農園日記

    Posted by ブクログ

    コミカルな表紙に誘われて手に取ると、なんとイラストは著者によるもの!
    私も七転八倒で畑をやっているので、夢中で読んでいると、この連載は突然終了。残り三分の二は旅や日常のエッセイかぁ・・・なあんだ、星3つ・・・などと読み進むと、それでも面白さは変わらない。荻原浩だもの、当たり前だった。星4つ。
    ところが、最後にサプライズが待っていた!そうだったのか、萩原さん自ら提案してこうなったとのこと。よっしゃ!星5つ!
    とにかく文章が面白い。このセンスにすっかりハマってしまい、ニヤニヤしながら読みました。

    ところで「荻原」(おぎわら)は「萩原」(はぎわら)に間違えられることが多いというエッセイは、身にしみました。自分も読みが間違えられてそのまま固定した苗字を持っていたから。
    創作の秘密もユーモラスに語られています。(あの話はそんなところで!!)
    著作を買おうと検索した時、念のため「萩原浩」もネット検索してみたら、ちゃんと「荻原浩」が出ましたよ(笑)

    0
    2018年12月16日
  • ちょいな人々

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    *「カジュアル・フライデー」に翻弄される課長の悲喜劇を描く表題作、奇矯な発明で世の中を混乱させるおもちゃ会社の顛末「犬猫語完全翻訳機」と「正直メール」、阪神ファンが結婚の挨拶に行くと、彼女の父は巨人ファンだった…「くたばれ、タイガース」など、ブームに翻弄される人々を描くユーモア短篇集*

    文庫を見つけたので、久しぶりに再読。荻原作品の中ではかなり好きな部類だったことを思い出しました。
    とにかく、登場人物たちがみんな素敵!普通にいそうな人々なんだけど、なんだか憎めなくて、そこはかとなくチャーミングで愛おしい。
    特に「ちょいな人々」のオヤジ様方が最高。”「これから気をつけるんだぞ」俺にもな。”…ってーーーー!!!!
    にやにやが止まりません!
    楽しく笑えて、元気がもらえる1冊。

    0
    2018年06月27日
  • ハードボイルド・エッグ 新装版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最高に面白かった
    まさか最後まで犬を探すとは思わなかったけど笑

    荻原浩は二作目だけど、やっぱし面白いな~
    最後はホロリときちゃった
    二人とも似てたのね、本に影響されるの
    読みかけとか、、あー愛を感じる

    登場人物みんなの憎めないとことか、主人公の独白とかがだいすきでした
    クスッと笑っちゃう感じがね

    2018.06.04

    0
    2018年06月04日
  • 二千七百の夏と冬 : 上

    Posted by ブクログ

    おじいさんのおじいさんの…とたった30世代遡っただけの、縄文時代と弥生時代の狭間のお話。
    150年しか人が生きていない私の街と違って、日本中のあちこちにきっとこんな物語があったんだと思う。

    0
    2018年05月26日
  • 恋愛仮免中

    Posted by ブクログ

    こういったアンソロジーの短編って物足りないことが多いからあまり期待していなかったけど。
    どれも読んでいて切なくなるいい話だった。
    好きな作家がそろっていたのも良。
    最後の作者の本は読んだことがない気がするけど、良い感じの文章だったから他の作品も読んで見たいな。

    0
    2017年12月04日
  • 花のさくら通り

    Posted by ブクログ

    いいね。荻原浩は
    ユニバーサル広告社の第3作とは気が付かなかった。
    確かに、1作目の「オロロ畑でつかまえて」も面白かったが、これもまたいい。
    すっかり、彼のファンになってしまう。
    シャッター街における、古参と若者の戦い。
    変化を求めない、従来の商店街と、変化しなければならないと考える次世代を考える若者。
    そこへ広告社のかかわり。

    面白い。他人に勧めたい一冊です

    0
    2017年11月24日
  • 四度目の氷河期

    Posted by ブクログ

    着想が面白い。
    その自分の出生が、最後まで貫かれている。
    終盤からは、一気に読み進まなければと思うほど
    吸い込まれてしまった。

    「こんな青春はいいなぁ」と思ってしまいました。
    そして、サチの人間性にも惹かれてしまった

    0
    2017年11月24日
  • 恋愛仮免中

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    *人気、実力とも当代随一の作家5人が腕を競う、恋愛小説アンソロジー。3年越しの恋人が無断で会社を辞めてショックを受け、結婚を焦るOL。夏の日、大人の異性との出逢いに心を震わせる少年と少女。長年連れ添った夫婦の来し方、そして行く末。人の数だけ恋の形はある―。人の心が織りなす、甘くせつない物語の逸品*

    どの作品も本当に素晴らしいです。どうにもならない、やるせない想いが行間から滲み出てくるかのよう。それぞれの結末の、その後の物語を読者にゆだねるような終わり方も秀逸。様々な角度から恋愛の繊細さに触れることが出来る、素敵な1冊。

    0
    2017年10月27日
  • さよならバースディ

    Posted by ブクログ

    苦手な分野が舞台なので、最初は読むのが進まなかったが、やはりこの方のお話は総じて温かくて優しい文章なので最後まで飽きずに読み進められた。

    0
    2017年10月03日
  • 恋愛仮免中

    Posted by ブクログ

    奥田英朗の小説が読みたくてググったら出てきたアンソロジー。

    日本の文芸界の最先端を駆ける5人の共演は、美しい交響曲のようだった。



    「あなたが大好き」奥田英朗

    自他友に認める平凡なOL・渡辺彩子、28歳。
    結婚を真剣に考えている。
    つきあって3年にもなる恋人香坂真二は、勝手に会社を辞めて放浪の旅に出てしまう。

    親友に相談すると、さりげなく素敵な男性を紹介される。

    誠実で堅実な彼に惹かれていくが、ある出来事をきっかけに自分の本当の気持ちに気がつく。


    「銀紙色のアンタレス」窪美澄

    夏と海が大好きな高校1年生の真(まこと)は、海沿いの祖母の家に泊まり込む。

    そこに幼なじみの同級生・朝日が訪ねてくる。
    もう、少女ではない朝日。美しくなった朝日を意識する真だが、思いはすこし複雑だった。


    「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか」荻原浩

    21世紀のホスピスで向き合う老夫婦。
    昭和44年アポロ11号の月面着陸生中継をみつめる中学生。
    二つの舞台が交錯する時空を超えた愛の物語。


    「ドライビング・ミス・アンジー」原田マハ

    元会社専務のタクシードライバー善田雄二。
    部下の不祥事の責任を取らされて会社を追われる。
    妻の死に目にも会えなかったことから、既に嫁いだ一人娘との距離が出来てしまう。

    英語が堪能な善田は、京都観光中に自転車にひっかけられて尻餅をついた彼女に声をかける。

    そこから始まる小京都旅行。

    二人の人生が、少しだけ動き出す。


    「シャンプー」中江有里

    両親が離婚して母と暮らす中2のミサト。

    理容師の父とは月1回、父の「職場」で髪を切ってもらうだけのルール。

    母のいきつけの美容室の新人美容師タケルと仲良くなったことで、ミサトはいじめにあってしまう。

    タケルとミサトが考え抜いた、仰天のいじめの対策とは。

    0
    2017年08月31日
  • 二千七百の夏と冬 : 上

    Posted by ブクログ

    現代で見つかった古い時代の人骨を記事にしようとする香椰の物語と縄文時代の少年ウルクの成長の物語。

    ついウルクの物語にのめり込むと、ふと現代に引き戻されるようなありさまだった。

    縄文時代は当然、文献が残っているわけでもなく、個人的に興味があることも手伝って夢中になって読み進めた。描写も細かく、ひとつひとつの単語も現代の言葉に近い単語になっているため情景が想像しやすく、頭の中に映像が広がる。

    ウルクの物語と香椰の物語がどうつながって行くのか、次の巻も楽しみ。

    0
    2017年07月16日
  • 恋愛仮免中

    Posted by ブクログ

    表紙にマハさんの名前を見つけて、即購入。
    マハさんのお話を1番に読みました。
    読後のこの幸せ感、爽快感、読んで良かった感を味わわせて貰える読書って、本当にいいなぁ。
    短いお話の中にも、マハさんの大好きな美術の事がちゃんと入っていました。

    0
    2017年06月01日
  • 花のさくら通り

    Posted by ブクログ

    できれば季節に応じた本を読みたいから、桜の季節の話に今ごろ手を出す気なんてなかったのですが、大好きな荻原浩をどうしても読みたくなり。抱腹絶倒かつ泣かせるユニバーサル広告社シリーズ、『オロロ畑でつかまえて』と『なかよし小鳩組』に続く第3弾。閑古鳥の鳴くさくら通り商店街にオフィスを移転せざるを得なくなった同社が、祭りのチラシ作成を頼まれたことから、商店街の活性化に力を注ぐことに。ところどころに挟まれる、主人公の娘から届く手紙がワラかすわ泣かせるわで、最後は涙でかすみそうになったほど。お寺の息子と教会の娘の純な恋からも目が離せず。冬桜も咲きました。やっぱり大好き、荻原浩。

    0
    2017年04月25日
  • ひまわり事件

    Posted by ブクログ

    理事長を同じくする2つの施設。老人ホーム“ひまわり苑”と“ひまわり幼稚園”は隣り合って建っている。ひまわり苑の所長は理事長の義弟、ひまわり幼稚園の園長は理事長の娘。県会議員選挙に出馬予定の理事長は、自らのイメージアップに必死。老人と幼児の交流を図ろうと、苑と園の間の壁を取り払うのだが……。

    幼稚園時代をここで過ごし、園の中でも特に問題児と言われた4人―晴也、伊梨亜、秀平、和樹―が、当時に交わした約束を果たすため、13年後に更地となったこの地を訪れるシーンで物語は始まります。以降の章は当時の様子が描かれ、約束の中身が明かされるのは最終章。

    小分けにされた章は、妻に先立たれて苑に独りで入居する誠次、母子家庭に育つ、緊張しぃで口べたながら悪ガキの晴也、晴也の所属する“こぐま組”の担任、和歌子先生が、交代で語る形。

    園児たちにとって、自分たちの何十倍も生きている年寄りは一種の妖怪。苑と園の間の壁は魔界との結界だったのに、それが破られたわけです。園児と顔を合わせるようになると、 白塗りの化粧に気合いが入ったり、無理に笑顔を作ったりする年寄りの姿が、もう怖くて仕方がありません。年寄りに声をかけられるたびにビビる子どもたちは、いちいち「ひょえ~、じょわ~」。←パンツの中でチビったところ。

    子どもが苦手な誠次は、こんな状態を鬱陶しく思っています。しかし、苑に飛び込んできたボールを拾ったことから晴也らと話すように。誠次がひまわりの種を植える様子を見かけた彼らが、「ジジがミックスナッツを土に埋めている」と考えてビビるところは爆笑。

    理事長や園長の都合に振り回される和歌子先生の姿もまた傑作。「パコパコパコ」。何の音かと思ったら、パソコンのキーボードを叩く音。和歌子先生が落ち着いてキーボードを叩いている間はいいですが、だんだん腹が立ってくる段では、スゴイ音になります。「パコパコパコガコベコギコガコ」。可笑しすぎ。

    経営者側の思惑のみで構成される、くだらない合同プログラムから脱出して、誠次が悪ガキ4人を苑の自室に連れて行ってみれば、園の机の下でゲームばかりしている無口な和樹が麻雀の達人で「ロ~ンッ!」。誠次と同じく入居者の寿司辰や片岡、おトキ婆が惨敗し、もう園に帰らなくちゃという和樹に向かって、「勝ち逃げする気か、坊主!」と叫んで大人げないことこの上なし。誰から麻雀を習ったんだと聞くと、和樹は「ニンテンドーディーエスです」。年寄り連中は「何者だそれは。外人か」。

    苑の経営改善を求めて片岡がバリケード封鎖をおこなうことについては、園児を巻き込んでこんなことやらかしちゃ駄目でしょと思いますが、子どもたちだって言いたいことがあるんだと声を上げるシーンには涙。園長の勝手な判断で演劇発表会の配役や台詞が変更されると、たとえば「主役なんだよ」と家族に話したことが嘘になってしまいます。「僕は嘘はついていないのに嘘つきになってしまった」って。最初はお姫様役に固執していた伊梨亜の言葉には笑い泣き。「おサルは大切な役だって言ったくせに。 おサルでもいいからがんばろうって思ってたのに」。

    むずかしい言葉がまだありすぎる子どもたち。それを説明する誠次の言葉のひとつひとつが可笑しくも優しい。非現実的なストーリーではありましたが、こんなふうに世代のちがう人同士が関われたら。

    「想像というのは、自分とは違う誰かのことを考えることだ。いまとはちがう明日を考えることだ」。人間は、誰もが一冊の教科書。

    0
    2017年04月23日
  • なかよし小鳩組

    Posted by ブクログ

    倒産寸前の零細広告代理店に、嘘のような大仕事の話が舞い込みます。社長が小躍りしている姿は、たいてい不吉な前ぶれ。「ヤクザだったりして~♪」と相手のオフィスへ行ってみれば、これがほんとにヤクザで……というお話。主人公のバツイチでアル中のコピーライターが実に情けなく、だらしなく、だけど熱くて、ヤクザとのやりとりはもうたまらん。彼の娘である小学生がまた男前で。ラストはきちっと、じんわり。憎いです。前作の『オロロ畑でつかまえて』を読んでからなら、よりいっそう楽し。

    0
    2017年04月23日
  • 僕たちの戦争 <新装版>

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2001年9月12日、サーフィンをしていた少年尾島健太は大きな波にのまれてしまう。
    目を覚ますとそこは1944年の日本で?

    一方、1944年9月12日に飛行練習をしていた、同じく19歳の石庭飛行兵長は飛行機のコントロールを失い、気づくと2001年の病院に居て…。

    そっくりな容姿により、入れ替わってしまった二人。はたして新たな世界になじむことはできるのか。
    現代から戦中へ向かった健太、戦後の事情を知った石庭。
    ふたりの運命はどうなるのだろうか。

    健太は無事に帰ってこれるのか。


    歴史知識に欠ける健太に、というより現代人の健太に感情移入してしまう部分が多かったですが、戦中から見れば「乱れた」現代に翻弄される石庭も共感できるところは少なくないです。

    0
    2018年01月17日