荻原浩のレビュー一覧
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アルツハイマーは体が生きることを忘れていく。
玄米は彼女の問題を改善し助けた。私のことも助けてくれるだろうか。
記憶の死は、肉体の死より、具体的な恐怖。
私たちは自分の人生を生きていて、それは脳の中で でたくさんのことを積み重ねて記憶として積み上げでいる。
結婚、子供、友人との日常の思い出を少しずつ、思い出せなくなっていく、少しずつゆっくりとなのかもしれないし、作中で繰り返させれるフィラメントが切れるという表現のように唐突にくるのかもしれない。
小説は主人公の視点で進むが、終盤の検査の際に妻が首を縦に振っていたというシーンが一瞬客観的な視点であることが、冷たくと感じるとともにリアルなんだなと思った。
人生も少し進んできた今だからこそ、他人事ではなくなってきていることにも恐怖しつつ、対策を考えないといけないなと思う。
泣く泣かないは人によるかもしれないが、メンタルには重めな題材なので、ある意味余裕のある時に読んでおくのが良いかもしれない。
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Posted by ブクログ
表紙イラストのインパクトとあらすじから虫苦手な人は絶対読まないと思いますが、モンスターパニック好きにはとてもオススメです。
本書の奥付け紹介文にも原浩版ジュラシックパーク。と書かれている通りジュラシックパーク好きならきっと好きになる一冊!
過去に悲しみを背負うライターの主人公が、
日本で最も天国に近い島と謳われる「志手島」にて長さ20センチ近くのカマキリが発見され、更には相次いで現地で自殺者が出ている。と言うネタを編集部の依頼から取材にいく冒頭シーンから始まり、島で研究に没頭するシニカル姉御肌生物学者と出会い共に巨大カマキリ探索に向かうのだが‥!
と言うB級ホラー感溢れる一品となっています
!
500ページ越えの大長編ですが随所に散りばめられる生物学の蘊蓄も面白く、じっとりと描かれたカマキリの生態描写に偏愛を感じました。
危険生物を観光資源にしようとか言う村長、あんまり役に立たない警察機関、あるかどうかはわからないけど続編を匂わすラスト。
とモンスターパニックの系譜フルコース展開。こういうのが良いんだよ。
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Posted by ブクログ
【作品紹介・あらすじより】
いてくれるだけで満たされる――
猫を愛する作家陣がすべての猫好きに贈る、
猫尽くしのオリジナル・アンソロジー!
荻原浩「猫は長靴を履かない」
叔父さんから遺産として譲り受けた猫のわびすけ。
わびすけが僕の生活にもたらしたものとは――。
石田祥「ツレ猫婚」
35歳にしてお見合いをすることになった七緒。
やってきた男性は、究極の猫好きで――。
清水晴木「いちたすいち」
人づきあいが苦手で不眠症気味の成美が、
コインランドリーで出会った黒猫。
ひとりと一匹の距離はすこしずつ縮まり……。
標野凪「猫のヒゲ」
娘の頼みで自分と同じ年の老猫を迎え入れることになった葛。
シマ子と名付けた猫との暮らしが気づかせてくれた、大切なこと。
若竹七海「神様のウインク」
世間から取り残された昭和の遺物・上ヶ丘団地。
その四十二号棟には猫がたむろし、ジゴク棟と呼ばれていた。
山本幸久「御後安全靴株式会社社史・飼い猫の項」
会社の創業五十五周年記念の社史づくりを担当することになった大立。
ここには歴代猫社員が在籍し、さまざまな危機から社員を救っていて――。
どの作品もほのぼの面白く読めました! -
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ネタバレ龍斎にひたすら惹かれました!!!
胡散臭い占い師でありながら、確かな実力は持っている。恵まれない幼少期を過ごした。自著の売れ行きが伸びると分かりやすく上機嫌になる性分。眼鏡と関西弁。全てに人を惹く魅力を持っている。
光岡も良いキャラクターでしたね。プロの仕事人として、金を受け取った以上はキッチリと役に入り事をこなす。裏家業の人間だということがすぐに分かる人相をしているというのもその筋の人間として割り切っているようで好感が持てました。 山崎も、等身大の人間としての苦悩を持ち、苦労人として描写されていたのが、他の宗教幹部と違いかなり身近な人間として描写されていたので、勝手な親近感を抱いていたのもあり割と好きでした。
仲村は……うん……。
上記の登場人物たちの思惑が入り乱れ、最終的に山崎は冒頭の状態に戻ってしまいましたね。厳密には敵がいるので更に悪い状況になってしまった。けれど、一度のし上がった実績から気落ちせず、次の目標に向かって健気にホームレス生活を続けていくのは良い物語の作り方だなと思いました。転落したのにそれを暗い事として描写せず、とは言え過剰に楽しい事としても描かない塩梅が非常に巧みに感じ、かなり良い読後感を得ることが出来ました。
ほんっっっとうに面白かったです。 -
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何もかもを失った者が、再び栄光を取り戻すべく奮闘するお話。私も一時期ホームレスをしていましたので、冒頭は共感出来る部分もかなりありました。
作品としては、人間の精神の脆弱さを主軸として描かれている気がします。 鬱屈とした日々を過ごし、現状を打破してくれる救世主を求める人。心の弱みを看過され、相手は超常的能力を持っていると誤解し傾倒する人。自らを評価して欲しいと願い、自己顕示欲求に呑まれる人。実体を伴わない形だけの宗教に入信する方々だけでなく、運営をする人間にも心に脆弱性はあり、誰しもが渇望を抱えて生きているのだという主張があるように私は感じ、またその描写に心打たれました。
張りぼての宗教が無から成長するまでの過程自体も楽しめますし、美形のホームレス(仲村)の謎も気になる。運営三人組の行きつく先も想像が付かず、先が早く読みたいという焦燥感を得た作品は久しぶりでした。砕けた文体であるので誰にとっても読み易いと思いますし、間違いなく面白い作品ですので、気になった方には是非読んでいただきたい作品です。 -
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うっかり寝る前に読み始めて、徹夜で読んだ。
装丁からなんとなく難解な内容なのかな?と思っていたが、個性ある登場人物が複数出てきて、森の中でのいろいろな物語が時系列を移動しながら語られるのが面白くて、読むのがやめられなかった。キャラクターもみんな魅力的。
冒頭で結末がわかっているのも、読んでいて悪い意味でハラハラせずに済んだし(かといってそのせいで物語がつまらなくなるわけでないところが上手い)最後の物語も、好き嫌いはありそうだけど個人的にはめちゃくちゃ刺さった。こういうの大好き。
久しぶりに時間を忘れて最後まで読み切れる本に出会えてうれしい。睡眠不足だけど。 -
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これは重い物語だ。
この作者の筆だからこそ読めたけれど、他のものは駄目だった。ちょうど 自分の夫が冒頭の主人公と似たような状況にあったからだ。
自分の記憶があやしくなっていく感覚ほど恐ろしいものはないと思う。自分の視覚が、自分の聴覚が、信じられなくなっていく。当然周囲のひとのことばも行動も はてはそれが誰であるかも。
認知症の経過は個人差が激しいが、共通するものの多くがここにある。知ってさえいれば備えておけることも多い。自分自身が今 という方には恐ろしすぎるかもしれないが、このラストは美しい。
長谷川式で自分でチェックしてみて大丈夫そうだったから最後まで読みきれたのだが、診断がおりたあとだったら読めなかったかもしれない。 読んでいて良かったと すべてが終わった今思う。 -
Posted by ブクログ
広告代理店営業部長の佐伯は五十歳にして“若年性アルツハイマー”と診断される。仕事では重要な案件を抱え一人娘の梨恵は結婚を間近に控えていた。
同世代といっても五十代のシッポの方の私と佐伯とでは少し違うかもしれない。ましてや妻の枝実子は四十代だ。
でも やっぱり自分自身とおきかえて読んでしまう。
佐伯になったり枝実子になったり…。
失っていく記憶を補う為にとったメモでスーツのポケットを大きくふくらませ、人の表情に神経を尖らせ、それでも娘の結婚式まではと職場に居続けようとする佐伯。
病に良いといわれる魚や緑黄色野菜や発芽玄米を夕食に並べ 帰りの遅い佐伯をずっと待っている枝実子。
恐かったよね きっと。私だったら恐い。
明日の朝になったら 側にいる人の顔を忘れてしまうかもしれない。忘れられてしまうかもしれない…。
そんなふうに思いながら毎日を過ごさなければならないなんて残酷だ。
それでも病は確実に進行していく─。
その過程で起こった 佐伯が趣味で通う陶芸教室での出来事は とてもショックだった。佐伯が心安らげる唯一の場所だったのに!
でも そんな事も佐伯は忘れてしまうのだ…。
最後は佐伯が二十七年前に度々通った奥多摩の山中。
「心配しないで。だいじょうぶですよ。この道で間違いない。僕がずっと一緒にいきますから」
やっぱり最後は号泣でした。