荻原浩のレビュー一覧
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自分を失っていくこと、できることが減っていくことがどれだけ恐ろしいのか考えずにはいられない。
もし、自分がアルツハイマーになってしまったら
読み進めて行くのが苦しい。
確実に病気が脳を痛めつけ、人格すらも変えていってしまう描写は残酷とも言える。
ラストは悲しく思った。
人によっては感じ方は違うのかな。
でも、救いがないわけでもなかった。記憶はなくなっても愛情は残っていたんじゃないかな。そうであって欲しい。
自分が生きているうちにできること、したいこと、残せることはなんだろうそんなふうに考える契機になった。
それでもやはり怖い病気だなー、人ごとじゃない誰でもなりうる。そのことを忘れずにいよう。 -
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フリーターが戦時下へ!
帝国海軍航空隊員が現代へ!
過去を知る者と、未来を知った者。
瓜二つの二人がタイムスリップして入れ替わる物語。
タイムスリップは偶然なのか?必然なのか?
戦争をテーマにした話ではあるけれど本書は重苦しさを感じさせない。
主人公の健太(フリーター)は「根拠なしのポジティブ」思考で楽観主義者なので物事を明るい方向に切り替えてしまうのと、ちょっとおバカキャラなので周りを明るい雰囲気にしてしまう。
能天気過ぎて「それはないだろ!」とイラっと来る場面も。
もう一人の主人公吾一も現代と戦時下のカルチャーショックを受けている様子がコメディタッチで描かれていて、無理して現代の言葉を -
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二度目の原発事故が起きた日本の二年後。どん底に落ちた社会。広範囲にわたって、避難が余儀なくされる。原発事故は実はテロ活動によるものだった。日本全体に恐怖が覆い、何もかも沈滞している。自衛隊は、自国防衛隊となって、テロ活動を阻止する。「特定秘密メディア規制法」が成立している。
主人公、及川頼也は、20代後半。幼少時から母親のネグレクトと義父による暴力を受けていた。16歳の時に義父を金属バットで殴り少年院に入った。3年前に二度目の服役を終えたヤクザ。仕事は組の管轄の店の見回り、店長や店の人間に気合を入れる。腕っぷしは強いし、怖いものはない、背中には観音様の彫り物がある。
ある日、ぼった -
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美形のホームレス、怪しい辻占いの三人で
新興宗教を立ち上げる。
明日の食事にも困っていた木島が、
「大地の会」を大きくして行く様には、
こうやって宗教はお金になっていくのか、
とただただ感心しました。
箱庭療法の箱庭が暗示的に何度も登場し、
この物語はどこまで行くんだろう、
大地の会はどこまで広がっていくんだろうと、
そう良い未来が
待っているわけではないと思いながら、
それはいつ来るんだと、
落ち着かない気持ちで読んでました。苦笑
仲間でもないし友達でもない。
人間として繋がっていたわけではない。
みんな病んでて救いを求めてる。
でも目が覚めたら…世界は違う見え方をしているかもしれな -
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自然賛歌系の本だと(他の方のレビューを読んでいたにも関わらず)思い込んでいましたが、近未来SFホラーでした。前半は提示された世界にちょっと入れずに寝落ちを何度もしてしまいましたが、ホラーというか、アクション全開になる後半は一気読み。あとは、ホラーアクションありなのに、主人公が1歳半の母。しかもこの母がなかなかのんびりというか、ふつうに子育てして子供の成長に悩んでという女性で、アクションで突然、育った時の環境で得た能力を発揮し、格好良くなって、そのギャップがおもしろく、格好良かったです。しかも[くるー」っていう恐怖の時も、「あ?あー」「る?る る」とか言いながら常にいる。なんだろう、ホラーなのに