荻原浩のレビュー一覧
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2000年以上前の縄文時代が舞台とは思えないほど、描写は目に浮かぶように美しく、寒さも冷たさも花の色の美しさも匂いまで感じられるような物語。
自然と共に生きること、
文明の進化と便利になることで失うこと、
違う民族を受け入れないこと、
幸せとはなんだろうか、
といろいろ考えさせられました。
時代区分は現代の線引きであって、縄文人と渡来系弥生人がこのように出会い、交流している時代もあったのだろうな。
縄文人にお米がもたらされたように、今私たちがいる時代も、新しいAIというものがもたらされ、どんなふうに価値観が変わっていくのだろう、と思いを馳せています。
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Posted by ブクログ
人間は、完全に善良でなくても、誰かを少しだけ助けることができる。
登場人物たちは皆、弱さや罪、身勝手さを抱えている。誰も完璧な善人ではなく、差し伸べる手も途中まで。それでも、その不完全な善意が少しずつつながり、ひとつの命を森の外へ連れ戻していく。
そして、森から生還したのは真人だけではなかった。
真人に出会った大人たちもまた、罪悪感、虚勢、絶望、過去への後悔という、それぞれの暗い森の中で立ち止まり、少しずつ出口へ向かい始める。
誰かを救おうとした小さな行為が、結果として自分自身を救うこともある。人間の弱さを否定せず、それでもなお人を信じたくなる物語だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ名前が面白そうとのことで友達が選んでくれた作品だったけど、中身も面白かった…!
深く考えなくていい本!!
村の雰囲気からホラーに繋げていくのかと思えばそうではなく、見ててヒヤヒヤする村おこし大作戦が始まった…!ドタバタ感が好みだった。
騒動の顛末は置いておいて、村おこしをしようと動いたことが大事だったのだとしみじみ思う…
慎一たちは何もなさそうな村に何かを起こそうとするけど、実際何もないことはなかった。
騒動後、得体の知れない特産物やかなり面白い村人などなど、手付かずのままゴロゴロ転がっていた宝石の原石が一段と磨かれたような気がした。
何もないようで何かある、そんな田舎はもしかしたら至る所にあるのではないかと思わされた。
ゴンベドリ、ヘラチョンペ、オロロ豆…。声に出して読みたい日本語(?)だった。
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Posted by ブクログ
広告会社の部長の佐伯は、なんとなく頭の中に靄がかかったような状態であることに気がついていた。ある日、打ち合わせの約束を忘れ、大目玉を食らったと思ったら、同じ会社の社員の名前も思い出せない。仕事を休み、妻に連れられていやいや受けた検査で予想もしなかった病名を告げられる。若年性アルツハイマー。佐伯はまだ初期だからと仕事を続けようとするが、症状は日に日に進行して…。
怖ー。
荻原浩らしく、軽快にストーリーは続いていくし、とてつもない困難のようなものはなく、佐伯の日記のような軽い書き口ではあるが、じわじわとしみ出してくるような、押しつぶされるというよりも、気がついたら周りの色が変わっているような恐怖を描く。
仕事をなんとかやり切ろうとするが、どんどんと指の隙間から水が漏れていくように抜けが生じていく。娘の結婚相手の名前も思い出せず、更には娘の名前すら忘れてしまいそうな焦りを、重すぎず書いてはいるのだが、その軽さがまた逆に怖い。
似たような年代かそれ以上であれば、本作に書かれている症状には思い当たる節がいくつもある。そういえば最近会って挨拶した人の名前、以前の職場で手伝ってくれたアルバイトの人の顔と名前、覚えたはずのバンドの名前を忘れていることに気がついた時の恐怖。
タイトルの『明日の記憶』は、もちろんSF的なものではなく、今ある記憶が明日どれだけ残っているのか、という不安を示している。
作品の内容上、自分のこととして読んでしまう40代後半以降と、親のことだとして読んでしまう20代後半では印象が全く異なるであろう。いわんや、佐伯の妻の方に感情移入してしまうと、また別の景色がある。
ただ、どう読んでも、逃げられない強さを感じてしまう。中途半端なホラー小説よりも怖いよこれは。