鎌田浩毅のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本は読書初心者や苦手意識のある人向けに、「本を簡単に読む」ための多様なテクニックを紹介している。
特に印象的なのは、「難しい文章は著者が悪い」と断言し,まったく意味がわからない場合は無理に読まなくていいとする点だ。わかりやすい本を選ぶことを勧め、読書への心理的ハードルを下げている。
こうした主張がなされることで、著者自身の文章にも高い説得力が求められるように感じられるが、実際にはその期待を裏切らない。むしろ非常に読みやすく、特に比喩の使い方が秀逸である。多少難しい内容でも、「おそらくこういうことだろう」と自然に理解できるような表現が多く、文章の明快さは本書の批判を裏付ける実例にもなっ -
Posted by ブクログ
地球科学的な視座に立つと、富士山はいつ噴火してもおかしくないスタンバイ状態にあり、日本列島にはそういうスタンバイ状態の火山が20ぐらいあるのだそうです。
噴火の引き金となる要素として、本書では、次の2つを挙げています。
1.マグマだまりが巨大地震などで大きく揺すられること
2.マグマだまりの圧力が抜けてマグマのなかの水が水蒸気になること
東日本大震災で日本列島の火山のマグマだまりは揺すられていますが、なぜか富士山はいまのところ持ちこたえています。とはいえ、いくつかの火山は噴火しており、富士山の噴火も次の大地震がトリガーになる可能性は高いようです。
経済的な損害額は、首都直下地震が100兆 -
Posted by ブクログ
読んだ感がある(よみごたえがある)本だった
わからないことはわからないと書いてくれてあるし
でもここまではわかるとか、こういう考えかたをしようとか
そういう記載もあってレベルの低い私が読むにもとても良い
一般的な(東大京大レベルではない)大学の文系の一般教養で
何回かにわけて講義してもらうような内容量で
(一般人にもわかりやすい言葉と内容で書かれてるという意味)
そう思うと本の値段の数百倍の価値はある
地学の授業がどうしても身にはいらなかったのは
きっとどこか遠い世界の話してるんだろうなあ
って思ってたせいだと思った
歴史は繰返す じゃないけど、千年に1度の震災とか
なんかすごいことだなと -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、大人になってから自学を楽しく勉強するのにとても良い本だった。地学の基礎知識から始まり、2030年代に必ず起こると言われている。南海トラフ地震またそれを起因とする富士山の噴火、首都直下型地震の被害、予測や被害を軽減するための対策まで書かれており、このタイミングで大変良い本を読めたと思う。プレートテクトニクスの理論が1970年代までは議論中であり、自分が小学生の頃に初めて教科書に載ったと言うことには大変驚きだった。変化の時代に最前線だった人たちはさぞ面白かっただろう。今で言うと、AIがそれに当たると思う。勉強してみようと思った。
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Posted by ブクログ
2011年の東日本大震災は東北地方から関東までの広い範囲でこれまでに経験したことの無いような巨大な揺れを感じると共に、ビルの高さをも越える巨大な津波によって多くの尊い命が失われた。私の所属する会社も全国に支店があったため、社員本人が亡くなったり、ご家族まで加えれば相当数の被害者が身近に居た事を覚えている。運良く当時は九州地方に赴任していたため、自身が直接揺れを感じた事もなく、友人や家族、同僚からの聞き伝えであるが、その悲惨さは今でも鮮明に覚えている。あれから10年以上が経過した今、我々が直面する危機としては南海トラフや首都直下型地震である。これも発生率の高さが話題になってから久しく時間が経過し