鎌田浩毅のレビュー一覧
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まず、タイトルに「理科系の」とあるのは、これまでの著者の本にもよくあった「理系の~」を踏襲した枕詞みたいなもので、特にそこを気にして文系の人間が敬遠する必要はないと思う。
本人もあとがきで「カマタの使った読書術」を書いた本だと言っているし。
「京大式」・「カマタ式」よりはこの方が売れると思った出版社の都合でしょう。
難解な本は書いてる著者が悪いのだ、と主張する一方、言いっぱなしで終わるのではなく、難解に感じるのは著者と自分とのフレームワーク(思考枠組)の違いが原因なのだから、それをすり合わせることを意識して読み方をしていけばよいのではないか、との提案でこれは読書の仕方として参考になる。という -
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中巻は、生命の誕生と進化が中心で、先カンブリア紀から古生代までが扱われる。その中では、地磁気の発生によって、生命にとって有害な太陽風などの高エネルギー粒子の地表への到達が防がれるようになったといった地学的な要素も絡めて記述されるので、目先が変わったり、地球と生命の共進化という新鮮な考え方が示され、飽きることがない。スノーボールアースと呼ばれる全地球凍結の時代や様々な要因による大量絶滅があっても生命がしぶとく生き延びたことなども記述される。地球環境は、ネガティブフィードバックが働いて恒常性が保たれる場合と、ポジティブフィードバックにより変化が亢進する場合があり、一見強固なようで、実は脆弱なものと
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著者の鎌田さんは、火山学者にして、勉強法の本なども書いている変わり種だが、地球の歴史という地球物理学や古生物学を含む壮大なテーマを新書三巻という形で書き上げたらしい。
その第一巻である本書は、ビッグバンから説き起こしていて、宇宙論や素粒子物理や太陽系惑星論にも話が及んでいて面白い。しかし、本書の中心は、やはりプレートテクトニクスを含む地球物理の世界で、地球の誕生直後のマグマオーシャンの状況から、地殻・マントル・コアへの文化と、その後のマントル対流による地球規模の熱と物質の大循環だろう。先行する地球物理に関する一般書を更に統合して、そこに地球規模の時間経過という不可逆的な「進化」の視点が盛り込ま -
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ネタバレ毎年100冊は本を読みますが、年末になって読んだ本を振り返るといつも、あぁ、もっと古典を読まなくちゃな、。と思います。でも実際はなかなか、敷居が高くて。。
本書は、京大の火山学者である鎌田教授が週刊東洋経済で連載されている古典の紹介をまとめたもの。1冊1冊について、鎌田教授の簡潔かつ的を得た解説がなされていて、これだけでもエッセンスはつかめそうな気さえします。もちろん、ちゃんと1冊1冊を手に取って読んでこそ、自分なりの理解が可能になるのですけど。
良書に出会うコツは、悪書を読まないこと。流行を追わず、長い年月の風雨にさらされながらも生き残ってきた本を優先して読む。来年こそは! -
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「3.11」の後に書かれた、地震を中心とした地学・防災学に関する一般入門書。
「日本周辺でもM9クラスの地震は普通に起こりうる」という、3.11後に常識化した考え方を踏まえた地学一般書。東海・東南海・東海の各地震は、3連動タイプが起こることを前提に被害などを説明していることが特徴的。
また貞観地震(869年)の前後に富士山を含む日本列島の火山活動が活発化したことを踏まえ、火山活動についての説明も入れている。著者の専門が火山学、ということもあり、こちらも踏み込んだ内容まで触れている。
今までの地学系一般書との大きな違いは、防災学についての内容を大きく扱っていること。「帰宅支援マップに従って歩 -
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ネタバレ[ 内容 ]
本書では、火山に魅せられ第一人者となった著者が、噴火災害の基本的かつ実用的な知識を、わかりやすく解説。
同時に、「北海道まで飛んだ阿蘇の火山灰」「富士山の下に眠る二つの火山」「有珠山・噴火予知に成功!」など、興味深いエピソードを満載。
日本の活火山をとりまく状況を現場から報告し、人知を超えた火山の魅力と脅威に迫る。おもしろくて役にたつ自然学の入門書。
[ 目次 ]
第1章 阿蘇山―火山学者漱石誕生!?
第2章 富士山―美しさも期間限定?
第3章 雲仙普賢岳―自然は人知をこえている
第4章 有珠山―噴火予知成功!
第5章 三宅島の七不思議
エピローグ―火山はおもしろい
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