あらすじ
「大地変動の時代」に入った日本列島で生き延びるために。「京大人気No.1講義」で名を馳せた地球科学者が、列島を襲う巨大地震を警告! 今後、東日本大震災と同じマグニチュード9の巨大地震が、三つ起こる可能性がある。震源域はそれぞれ、千島海溝と日本海溝、南海トラフ、九州・沖縄沖の琉球海溝である。本書ではこの三つの巨大地震について取り上げるほか、犠牲者最大2万3000人と推測されている首都直下地震や房総半島沖地震、2020年代に桜島や有珠山が噴火する可能性など、警戒すべき大地震を平易に解説。 ●東日本大震災以降に内陸地震が増加 ●千葉県直下にプレートが3枚 ●関東大震災の再来と元禄関東地震 ●首都直下地震――帰宅困難者800万人、避難所生活者290万人 ●地震発生確率の読み方 ●南海トラフ巨大地震の被害想定 ●九州・沖縄沖の琉球海溝M9地震 ●高層ビルを襲う長周期地震動 ●日本海東縁部ひずみ集中帯の地震と津波 ●M9クラスの日本海溝・千島海溝地震
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Posted by ブクログ
2011年の東日本大震災は東北地方から関東までの広い範囲でこれまでに経験したことの無いような巨大な揺れを感じると共に、ビルの高さをも越える巨大な津波によって多くの尊い命が失われた。私の所属する会社も全国に支店があったため、社員本人が亡くなったり、ご家族まで加えれば相当数の被害者が身近に居た事を覚えている。運良く当時は九州地方に赴任していたため、自身が直接揺れを感じた事もなく、友人や家族、同僚からの聞き伝えであるが、その悲惨さは今でも鮮明に覚えている。あれから10年以上が経過した今、我々が直面する危機としては南海トラフや首都直下型地震である。これも発生率の高さが話題になってから久しく時間が経過して、そろそろ東日本の悲劇の記憶も人々から薄れ始めた矢先、2024年の元旦には能登地方を中心に巨大地震が発生した。考えてみると日本は太平洋プレートやフィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレートがぶつかり、トラフや海溝に囲まれた世界でも類を見ない地震の巣窟である。地球の表面積の僅か0.29%の土地に世界中で発生する20%の地震が集中して起こっている場所だ。よって日本で生活する以上は大なり小なり地震の揺れからは逃げる事は不可能だ。
特に大きなマグニチュード7クラスの地震については、そうそう頻繁に発生するものでは無い。だからこそ人々は「まさか今地震で死ぬ事はないだろう」と心の中では思っている。これは地震後の津波被害に遭われた方の多くが抱いた考え方にも共通するところが多いそうだ。
本書はそうした避けられない地震から身を守るための、地震そのものの発生メカニズムから、過去の大地震の発生から試算する次の発生時期の予測まで、地震への備えに役立つ知識がふんだんに記載されている。筆者は地球科学の専門家であり、科学的に(例えば地震の発生の危険性などを)伝導する役割を担ってきた方だ(肩書としては京大の教授を勤められていた)。ただ地震の恐怖を科学的に説明するだけでなく、聞いた読んだ人々がそれを自分事として理解し、備える気持ちが起こさせる事を自らの使命としている。
地震は備えが大切であるが、それは食糧や水の平時からの準備など、物理的な準備にとどまらず、心の準備が必要である事を強く説いている。地震が起こる事を理解し、正しく恐れることが大切だ。恐れがなければ備ができない。本書はその基礎的な知識を我々にインプットしようと試みている。よってどこで発生するか直感的な理解が難しい「南海トラフ巨大地震」は「西日本大震災」、30年以内ではなく10年後、とわかりやすく噛み砕いて伝えることに徹している。私も本書を読みながら、目の前の2メートルある本棚をチラチラ見ながら準備の必要性を感じた1人になれた。きっと恐らく私の場合、寝ている途中で四方八方から本が落ちてきて、それらの重さに幸せを感じながら窒息死するだろう。
Posted by ブクログ
2030年前後5年で発生が危惧されている南海トラフ地震《西日本大震災》に限らす、日本海、日本海溝、千島海溝、琉球海溝、ひずみ集中帯、隠れた活断層など日本を取り巻く地震災害のリスクを日本の成り立ちから易しく説明した内容。今、いかに大地動乱の時代に生きているかがわかります。地学教育が貧弱になったわが国ですが、この本を読んで地学の知識を補完し、余裕を持って来るべき危機に備えるきっかけにしたいですね。
Posted by ブクログ
確かにこの10年から15年以内に南海トラフ地震、富士山噴火、首都圏直下型地震の確率は高く回避方法はないという事。南海トラフ巨大地震は今後10年以内、東日本大震災より被害規模は一桁大きい、総人口の半数6800万人が被災する。被災に準備して生きる、生き残るため自発的に動く。なるほど、小豆が大騒ぎする訳です。