中山祐次郎のレビュー一覧
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ネタバレメスを置け、外科医
まさかまさかの、牛ノ町病院を辞めるという展開には本当に衝撃を受けました。あまりにも突然で、思わず声が出るほどです。何より、大好きだった佐藤先生とのやりとりがもう見られなくなると思うと寂しくて、中山先生、ひどいよーと心の中で叫んでしまいました。
メスを置き、福島で地域医療に向き合う決断。その意義はよく分かります。自分も田舎に住んでいるからこそ、地域医療の大切さを身近に感じています。それでもやはり、まだ若いのに、これからもっと技術を磨いて、日本の医療全体に貢献してほしいという気持ちが強く残りました。
理想と現実、医師としての成長と使命。その間で悩みながら決断する姿がとてもリ -
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ネタバレ<ポイント>
・選択とは、何かを選び取ることでなくて、選んだ選択肢を正解にするために現実世界を無理やり捻じ曲げる覚悟と努力のこと。自分の頭で考えて考え抜き、苦しんだ決断を、あとから「あれで正解だった」とひとりごちるために地味な努力をし続ける。こうして、君の人生の扉は開いていく。
・人間関係に悩むとき、お守りのようなコツ
→1つ目は、「変えられるのは自分の思考と行動だけ」「他人は何も変えられない」ということである。自分以外のすべての人、つまり他人がどう思い、どう行動するか。自分に不快なことがあっても、基本的には一つも変えられないと思っておいたほうがいい(もちろん暴力やいじめなどは「やめろ」とやめ -
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病院という場には、患者それぞれの人生とドラマがあり、それだけに医療小説は幅が広く奥が深い。
雨野隆治は外科で働き始めたばかりの研修医。
知識も経験も浅く、専門用語を言われても聞き返してしまうほど頼りない。
事故で担ぎ込まれて瀕死の子どもや、95歳で身寄りのない認知症の胃がんの患者、隆治と同じ年の末期癌の男性、患者に寄り添っては最期まで全力を尽くしたい隆治だが、上の判断は冷酷だ。
医者は常に死を目の当たりにしていくうちに鋼の心になっていくのか。
隆治はスポンジのように痛みを吸い取り涙を流す。
読む側はそんなまっすぐな隆治を愛さずにはいられない。
本来重苦しい題材であるが、隆治の涙して自分の無力さ -
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泣くな研修医シリーズの最新作。幼い子を持つ親として読んでいてツラくなる場面もあった。
物語の中では、「自分の選択は正しかったのか」「もっとできることがあったのではないか」といった葛藤が丁寧に描かれる。その揺らぎは医師という特殊な現場に限らず、仕事や日常の判断にも通じる普遍的なものだと感じる。自分にも似た思いが少なからずあり、読みながら自然と考えさせられた。
印象的だったのは、「病気と闘いたいのか、人を救いたいのか」という問いである。医療現場の話ではあるが、自分の仕事に重ねても大切な問いだと思う。大局的なことに目が向きがちで、そうであることが重視されがちであるが、向き合うべきはあくまで“目の前 -
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中山祐次郎さんの大好きな「泣くな研修医」シリーズ7。女性ならではの外科医としてのキャリアとワークライフバランスの難しさに焦点を当てている。癌末期患者の外科医がまた素晴らしい人物。彼が主人公にした問いかけ。「外科医にとって1番大切なことは?」に対して「それは手術の技術」と答えた主人公に「患者さんと真に向き合うこと」と答える。こんなお医者さんいるの〜?と思いたくなるくらい素敵。
そして何故だか著者中山祐次郎さんとこの外科医のキャラが被るような気がしてならない。
自分が大腸癌に罹るようなことがあったら、現役医師でもある中山先生に手術してもらいたい。 -
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ネタバレ「泣くな研修医」シリーズ、なんだかんだでもう8冊も出たのかー!すごいな。
雨野先生、ついに福島の病院の院長として赴任しました。すごい決断だよね。もう完全に、著者の分身だから、このあと結婚して父親になるところもずっとフォローしていきますよ。楽しみ楽しみ。
目の前に困っている人がいる。福島で困っている病院がある。誰かが行かなければいけない。
そんなときに「じゃあ自分が」って思える、そういう人でありたいけど、人はみんな、「でも〇〇だから…」「自分じゃなくても」と、行動しない理由を探してしまう。
実際に行動した中山祐次郎さん、っていうか雨野先生?っていうか両者とも、本当にすごい決断をして、その結果中山 -
購入済み
新刊の通知が来てすぐに購入、待ってました。
医療に対する自分の理想と、時にはどうにもならない現実が衝突して、自分はなんて無力なのだろうと思わされる、そんな医師の苦悩がよく描かれていたと思う。
30代の若さで過去に培ってきた経験や知識を駆使して、被災地でもある地方の小さい病院の院長になろうと決心した雨野先生の勇気には感動した。
外来から治療方針の決定から経営まで、どんなことも自分が主となって決断していかなきゃいけない環境、想像を絶するものがあるんだろうな。
命のはかなさ、医療の限界、理想と現実、そんなことについて深く考えさせられる内容でした。 -
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医師作家9人によるアンソロジー作品。
どの作品も50頁程なので、スピード感がある。
研修医 精神科医 救急医療 現場医療 研究者 認知症等 医療1つとってもジャンルが違い、心理描写の加減に手に汗握ってハラハラしたり、淡々と読み進めたり、一冊で何度も美味しい読み応えのある本でした。
医師(著者)が実際に経験しているであろうリアリティがそこにある。
認知症対応を生業としている身としては、何度も見た光景で「あーー大変さの中に、いくつも希望が見いだせるんだよ」「怒ったらダメダメ」と逆の意味でハラハラさせられた。
現代はサービスが揃っているので、抱え込まず使える手段を利用していくのがお互いの