中山祐次郎のレビュー一覧
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泣くな研修医シリーズ8作目。
「メスを置け、外科医」のタイトルに、隆治に何があったのだろうとカバーイラストに目を向けた。
東京・浅草にある牛ノ町病院の外科病棟は今日も忙しい朝を迎える。33歳、医者になって9年目。震災後の福島で医療支援をしていた友、伊佐の突然の訃報を知った隆治は…。
今作は、院長死亡で病院の存続が難しくなった福島の渡辺病院で、新院長として奮闘する隆治が描かれていく。患者や福島の人々と関わる中で「自分はどう生きていきたいか」その答えを見つけようとする姿に何度も胸が締めつけられた。
現役外科医の著者は、福島で地域医療をされたことがある。医療では救えない命を前に苦悶する隆治はきっとご自身の姿なのだろう。真っ直ぐで誠実。患者のことを第一に考える隆治にとって、福島で過ごした日々は自分に向き合う貴重な時間だったと思う。
これからも頑張れ、外科医・雨野隆治。
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外科医6年目の雨野隆治は、患者の心と人生に寄り添い、人の死に慣れることなくその度に心を痛める。
外科医という高い志を持ちながら、普通に悩んだり悲しんだり落ち込んだりする30歳で、その優しさが痛いほど伝わってくる。
22歳の癌患者の葵とどうなっていくのか、恋人のはるかとはうまくいくのか、後輩の凛子や上司の佐藤さんとは…と、4作目となると、隆治が歩んできた人生を私自身そばで見守ってきた気分だ。
外科医として独り立ちしたとはまだ言えないけれど、自分の執刀によって人の命が左右されることに、もがき苦しみ這い上がっていくところも、読者に勇気を与えてくれる。
専門用語が多くて理解するのに頭が追いつかないところもあったが、シリーズ4作目も安定の面白さだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ新米研修医が気づいた真実、引きこもり患者を救う精神科医、無差別殺人犯への緊急手術、友人の脳腫瘍に向き合う脳外科医、深夜の出産に奔走する医療チームなど、医師作家9名がそれぞれの知識と経験をもとに描く医療小説アンソロジー。
医療小説としてのドラマ性だけでなく、診療の段取り、医師同士の距離感、病院という組織の空気、患者や家族とのすれ違いが自然に描かれている。医療者が読むと「わかる」と思う場面が多い。
使命感、判断力、患者を助けたい気持ち。
一方で、自己正当化、権威性、論文や業績への欲、組織内の空気の悪さ。
医師という職業を美化しすぎず、かといって冷笑しすぎてもいないところが読みやすい。
精神科、外科、脳外科、産婦人科、内科的な視点など、作品ごとに医療の切り口が違う。1冊で“医療小説の総合病院”のように読める。
特に「闇の論文」と「空中テント」がよかった
「闇の論文」は、医療者なら笑えないリアリティがある。論文、名誉、組織、倫理の境界がじわじわ不穏になる感じが印象的。
「空中テント」は、認知症の家族の介護問題を忠実に再現していると思った。診断がくだったときに「当事者としての自覚をもつように」と言われてもピンときていなかった主人公が、その本当の意味に気づくまでの家庭がリアルだった。
「魚類譚」は少しホラーっぽい不穏な感じ
「研修医ヒナノの洞察」「救いたくない命」「春に綻ぶ」「峠を越えてきた命」ドラマになりそうな感じで好き。 -
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
6編からなる短編集。
泣くな外科医シリーズが有名だが、出版ペースが少ないこのシリーズも、主人公の剣崎や松島の凄腕外科医コンビの掛け合いがいい。
現役の医師が書いているので、専門用語はかなり多いが、他のシリーズでも見られるように、決して綺麗事では終わらず、救いのないラストも現実味があっていい。
今作では普通に通院してる人には知られていない医療連携室の業務にも触れていたり、新しくデータセンターを設立したりと、いつもと違う視点もたくさんあり、読み応えがあった。
そして、何よりも泣くな外科医でお馴染みの佐藤玲の登場は中山ファンにはアツかったのではないだろうか?