山内マリコのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
東京23区(と、武蔵野市)がそれぞれ一人称で町の歴史を語る。もともと2013年から2年にわたりどこかの雑誌で連載されていたものだそうで、当時の流行やニュースも存分に盛り込まれている。2015年の単行本化から2017年の文庫化までの2年間でも、東京事情は目まぐるしく変化しており、作者によるあとがきでのフォローも2019年の今となってはまたもアップデートを要する状態に。
しかしこれが東京。
本編の各区のお話も、本当にどれもひとつひとつとっくり語り合いたいくらい面白かったが、『いまむかし東京町歩き』の著者(とかいって私は未読ですが面白そう)川本三郎さんによる解説も良かった。
『京都や奈良のよう -
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ロードサイド小説、というものを意識して読んだことがなかったけれど、あまりの解像度の高さにグサグサ刺されながら読んだ。
地元の、大きな国道に家電量販店やニトリやファミレスが並ぶあの光景が眼前に蘇る。
少し車を走らせればなんでも揃っている、けれども退屈。じゃあ都会に行けば全てが叶うのかと言われればそうでもなくてみじめな思いをすることもある。自分が生きていく街、生き方を模索しながら24号線に思いを馳せる。
この本を読まなかったら絶対思い出さなかったであろう記憶がわんさか出てきて、退屈だと感じていたあの頃あの場所も案外悪くなかったな、と思った。地方で育ち東京で働き、これからまた地方都市に戻ろうとし -
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ネタバレまず、私はどちらかと言わなくても美紀側の人間です。
閉塞感のある田舎が嫌になり、東京に憧れて出てきたのが何年前か…。
なんとか東京にしがみついていたい、そんな気持ちがわかる、わかる。
華子たちの何気ない言葉にグサリときたり。
華子や幸一郎のような恵まれた家に生まれた人はいいな〜と思う反面、読み進めていくうちに息苦しさみたいなものも感じていたので
終盤で美紀が自分が部外者であることに自由を感じているのが、なんだかすごくしっくりきた。
といっても、東京で実際に生活してみないとわからなかったことだとは思うけど。
華子に対しては、大事にされるのが当たり前で自主性のないところが何だかなぁと思ってい -
Posted by ブクログ
8話の短編で各話主人公は違うが、同じ世界で登場人物達が繋がっている。1話進むごとに少しずつ過去に戻る構成が面白い。
地方で育ち、都会に憧れて出ていった私には他人事と思えない話が多かった。
「田舎が嫌いだけど、都会にも馴染めなかった」
この人たちの居場所ってどこなんだろう。自分もどこかで諦めて地元に戻っていたらこうなっていたのかな?と考えさせられた。
だけど、Uターンすることなく都会で暮らし続ける私からすれば「迎えに来て」と受け身な考えをする人は絶対都会には合わない。そんなモヤモヤがこの作品の面白さだったのかもしれない。
地方都市で暮らす人達の心情がすごくリアルで刺さった。山内マリコさ -
Posted by ブクログ
ネタバレ花いちもんめとか体育の時間のペアを組みましょうはすごく苦手だった。だって私も選ぶ側ではなく、選ばれる側だったから。
学生時代それぞれ楽しかったはずだけど、今でも繋がってる人って片手で数えられるくらい。
みんなどこに行ったのだろうか。
小学生の時はフルネームで親に紹介していたな。
女性は差別される側だと書かれていたけど、それでも自分の人生を諦めたくない。
仕事も頑張りたいし、子育ても頑張りたい。
登場人物がリレーのようにお話を紡いでいって、最後元に戻ってきたと分かった時はすごくすかっとした気持ちになった。
各年代で共感ポイント多すぎるし、年代や人によって書き方が違っているのももっと読みたい