山内マリコのレビュー一覧
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【かわいい結婚】
けれどひかりは、もうまーくん以外の男の人と口をきいたりするのが面倒でならない。男の人の、こちらを査定するような冷たい視線や、下心と直結したわかりやすい態度に、いちいち小さく傷ついたりしたくないのだ。変な女と思われないように自主規制して振る舞う、窮屈で空虚な人間関係なんてまっぴら。
でも、まーくんの前でなら自由だ。だって結婚したし。
まーくんの前でだけ、ひかりはありのままの自分でいられるし、ありのままの自分でいることは気持ちのいいことだった。ありのままの自分とは、家事が苦手だったり、下品だったり、どうしようもなくくだらないことを言ってしまう自分のこと。そういう、誰にも見せられない部分を解禁できる男の人の生活はとても楽しい。だから青山くんが地元に戻って来ようが、ひかりが結婚したと聞いてガッカリした顔を見せようが、そんなのはどうでもいいことなのだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ◾️record memo
「女の子らしく」は女の子を縛る。それを広める勢力へのレジスタンスとして、深い反省と次の世代への希望を込めて、「自分らしく」の肩をどんどん持っていきたい。「女の子らしく」の呪いを解くことができるのは、「自分らしく」しかないのだから。
わたしはわたしのものだから。誰のものでもないんだから。
思春期以来ずっと悩みだった一重まぶたを隠さず、すっきりしたショートに髪を切った。気分はすごくよかった。やっと自分を取り戻せた。ううん、生まれてはじめて自分自身になれた感じ。
自分らしくあろうとするだけで、なにかと闘うことになる。男とも、女とも。
だけど親友とは、どこかのタイミングで行き別れて、それぞれの人生をはじめなくてはいけなくなる。
みんなには悪いけど、あたしはすごく、贅沢なのだ。自分のために時間を使い、お金をつかう。それこそが本当の贅沢。
気分よく自由でいるために服を着る。
"ボロを着てれば心もボロだろ"はたしか鈴木いづみの名言だが、女性の自信はその日着ているもので決まる。
完璧ではない自分を許し、受け入れること。
自分らしいスタイルとは結局、いつも着てしまう服なのだということ。好きな色、ブランド、全身のバランスなどにも、人によってそれぞれ「これが落ち着く」というラインがある。
着ていて落ち着くいつもの服こそが、自分らしいスタイルなのだと。
自分らしさをちょうどよく表現できていれば、それだけで勇気りんりん。
誰かのためにではなく、自分のために。
だけど彼女は、誰にも邪魔されず、こうやって自分とだけ向き合う、穏やかな孤独が好きだ。
真のファッション狂である彼女は、買い物が大好きだ。だけど、買っても買っても満たされないってことを知ってる。
なにかを主張することも、人目を気にすることもなく、年老いた自分をひたすら楽しむの。
「自分で買うからいいんじゃない」素敵なご褒美を用意してモチベーションをキープするのは、ママ流の知恵なのだ。
目標と一緒にご褒美を用意すればいいのよ。そしたらなんだって苦じゃないわ
ママに倣って毎月のお給料から、"ご褒美貯金"をはじめたのは、そんな頃だ。
ママの言ってた"ご褒美"の効力は、永遠につづくと、あたしは信じてる。
それでも、「歌を歌いながらパンを得よ」とわたしは言います。つまり、楽しく働いて生きていこうってことです。
こういう女性に対する搾取的な性差別構造の罠にハマらないようにするために、男に頼らなくても生きていけるよう経済的にも精神的にも自立すべきだし、なにより性暴力は完全にアウトな重要犯罪。そういうことね?
自分の親がこの世から退場し、時間が経てば経つほど、わたしは彼らと話をしたくてたまらなくなりました。
でも人が、誰かの世話にならずに生きられる時間は、実はすごく短い。
自分のダメなところも受け入れて、「まあ、こんなもんでしょう」と思える五十歳になった。自分が若かったとき、言ってほしかったことを言えた。わたしにしては上出来ではないですか。
あたしは大器晩成型だから、その分先は短いもんで、過去に浸ってる時間なんてないのさ。 -
Posted by ブクログ
3つのお話の短編集。さらさらっと読めて面白かったけど、やっぱり山内マリコさん。深い。フェミニズムやジェンダーにからめた問題提起を描いていて。
1話目の「かわいい結婚」。好きな人と結婚して専業主婦になったはいいけど、ぜんぜん家事ができない。女の人はみんなどうしていつの間に当たり前のように家事ができるようになるのか不思議に思う主人公ひかり。わかる。え、いつ習ったっけ?なんでみんなできるの?って私も思ったわ。そしてひかりは気づく。旦那さんのお世話をするってその人の分の家事をするってことだったのか、一生!?それが私の任務?!うわぁ騙されたぁ!とコミカルなんだけど、なんか真理を突いている。私、今でもたまに思うもん、私は一生 家事担当なのか?と。
2話目の「悪夢じゃなかった?」も面白かった!ある朝目覚めたら女性になってしまった裕司。女性になって初めてわかる女性の大変さ、自分が無自覚にしてきたひどかった言動の数々。これまたコミカルだけど、わかりみが深い。そしてエンディングが最高でした! -
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タカちゃん何かやってくれそうとワクワクし始めた途端にショーコが帰ってきた(笑)。
私の地元にも同じような商店街があったなぁ。お休みの日なんて、人を避けて通らないと行けないくらい、お祭りでもないのに大賑わい。映画館とかもあったし。そして、やっぱりマクドナルドはマストだな(笑)。小さい頃はそこに行くだけでワクワクしたし、ちょっとお姉さんになった気分になったし、学校の友達なんかに会うと、お互い背伸びした格好にちょっぴり気恥ずかしかったり。でも時間がたてば、街自体の人口の減少や、大型ショッピンセンターが出来たりして、あの頃の商店街の賑わいは嘘のよう...。久々に里帰りするたびに、寂しくなって...。
放蕩って改めてどういう意味なん?って検索したら、「自分の思うままに振る舞うこと。やるべきことをやらず、飲酒や遊びにうつつをぬかすこと。」って書いてあった。そんな放蕩娘だったショーコが周囲の人を巻き込んで、おもしろ楽しく、突拍子もなく、商店街への愛だけで突き進む姿はよかったなぁ。それに共感しながら、商店街への愛を注ぎ込むタカちゃんや周囲の人達も面白い。
ちょっと何気に商店街の復活を期待する地元の人みたいな気分になれて面白かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「昔の話を聞かせてよ」「孤高のギャル小松さん」「人の思い出を盗むな」らへんが好き。「遊びの時間はすぐおわる」は特に良かった。
「ここは退屈むかえにきて」といい「可愛い結婚」といい田舎に対する思いは山内さんの書く女の子たちと通ずるものがある。山内さんは富山県出身、大学で大阪に進学したらしい。やっぱり。
だからなんとなく読んでしまうのかも。自分がこうなるかもしれなかった人たち、地元の友人たちがいるようだから。
ありさのように自分がたぶらかしてるつもりで相手から軽んじられていたこと、その人が自分を特別なものにしてくれてここから連れ出してくれると思っていたこと、さよちゃんのように自分は可愛いと自分を許すために恋愛をしたことが、誰にだってあるでしょう。誰にももうあまり言いたくない過去のことがあるでしょう。
いろんなものが、そんなふうにして消えていった。引越しのたびに減っていった靴や洋服。自分が何を持っていて、いつなにを失くして今に至るのか、どんどん忘れていく。記憶は曖昧になって、なにが本当に起こったことなのかもわからなくなる。(「遊びの時間はもう終わり」)
いつか好きだった人とのこと、いつか心を通わせた人とのこと、もうあまり連絡をしなくなった友人のこと、地元を出たいとここには何もないと、言い切っていた私のことを思い出した。