山内マリコのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
10人の女性のパリにまつわる短編集、
そして最後の章で1つにまとまる、てやつです。
山内マリコ✖︎パリ、読まざるを得ないでしょう。
どの話もそれぞれが悩んで
人間味があって悪くない。
そして最後にそれぞれがいろんな気持ちを持ってフランスに集まり、
その中で過ごす気持ち良いバカンスの描写がなんとも言えない幸せな気分になります。
ラベンダーが香って
心地よい風が吹く中で
皆んなでワイワイ長机でたっぷり時間をかけて味わいながら途切れないおしゃべりに興じながら…
そんな光景を感じる。
私はフランスにも住んだことも友人もいないのに
なぜにフランスの生き方に魅了されるんだろう。
でもきっとそんな人が多いからこそ
この世の中にはフランスを題材にした本がやたらめったらあるんだろう。 -
Posted by ブクログ
ここに収録されている8編の物語はどこかしら『あなた』の物語かもしれない。地方都市に住む男女の悲喜こもごもを見事なまでに描き出していると思います。こういう話はいつの時代もあるのかもしれませんが…。
ここに描かれているのはある地方都市に住む男女の『悲喜こもごも』を8つの物語に収めた連作小説集です。それぞれがものすごいリアリティがあり、正直なところ、自分自身と物語世界との『距離』を測り損ねていたく難儀してしまいました。
なんと言ったらいいのか…。この吹き溜まり感や、地方都市独特の『けだるい』空気。出てくる登場人物たちの『行き場のなさ』が全体を覆っておりました。ここでは主に女性の登場人物たちが物語の中心で、『3・11』の震災を機に10年にもわたる東京生活に見切りをつけて地方でライターをやっていたり、10代の頃は読者モデルとしてちやほやされるも、20代になって、徐々に仕事がなくなり、地元でスターバックスの店員をしながら婚活に勤しむ女性。
さらには性転換をして、高校時代のあこがれた男の子に思いを打ち明ける大学院生。大阪の大学の寮室でアメリカの地方都市から来た女子留学生。年齢の離れた男性と逢瀬を重ねる女子高生。そして、16歳で処女を捨てようと躍起になる女の子…。
これらの物語を読みながら、僕は学生時代のクラスメイト(現在ではすべて関係が絶たれて久しい)の顔を思い出し、
「まぁ、彼女たちも多かれ少なかれここに出てくるようなことを経験して今ではいいオッカサンになっているんだろうなぁー」
と、そんなことを考えてしまいました。
本書は連作集なのですが、物語全体を貫く存在として、椎名一樹なる男性キャラクターの存在があります。彼は子供の頃から学校の人気者で、サッカー部の花形選手という、まさに『日陰者』のような学生生活を送ってきた自分とは真逆というわけですが、それが高校を卒業して、実業団に入り、それがなくなってしまうと会社を辞めて遊びまわるようになり、大阪へと行ったり、地元に戻ってきてゲームセンターの店長になったりと、少しずつ彼の存在が色あせていくのです。
それを読んでいると
「あぁ、こういうことってきっとあるんだろうなー。実際」
と考えながら椎名君のことを思い浮かべ、
「あいつとアイツとあの野郎を足して割ると、丁度椎名一樹のようになるんだろうなー」
ともう二度と会うことはないであろう。もしくは顔を合わせたとしても口すら利くこともない昔の同級生のことを考えておりました。
結局の所椎名一樹君は自動車学校の教官という安定した職業に就き、結婚し、子供を作る…。そんな彼の10代から30代にかけての『軌跡』が描かれているのです。
個人的には、椎名一樹の存在と彼の人生は、本書の持つもう一つのテーマではないかと勝手にそう思っております。かつて小説に『田園の憂鬱』と『都会の憂鬱』というものがありましたが、本書はその現代版ではないかと確信しているのです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ敷かれたレールに沿って人生を歩んできた真面目で内気な女の子が焦って婚活&結婚をして失敗する話。
作家さんには申し訳ないけど『傲慢と善良』の下位互換って感じ。
もっと人間的なドロドロや苦悩葛藤が描かれてるのかと思ったけど、思ったよりあっさりしていて物足りなかった。
あとは登場人物をあんまり好きになれず…。
主人公の華子は、考えが浅はかで終始イライラしてしまった。よくそんな心が通っていない状態で結婚したな~とか、違和感ある状態で話が進んでいくの嫌にならないのかな~とか。
話し合いが出来ない相手と結婚してどんな未来を想像していたのか?とか。
そりゃ離婚するの当たり前だよね…
慶応中退して夜職やってた美紀は良い子に描かれすぎてた印象。夜職経験者は全てに対してもっとがめつくなるよ。
幸一郎は言わずもがな。
どんなに実家が太くても、歩んできた境遇や家柄が近しくても、イケメンでも、心の繋がりが持てない男と結婚は絶対にしたくないなと思う1冊だった。
-
Posted by ブクログ
元カレにまつわるショートストーリー✖️4作品。
青山美智子さん、町田その子さん、一木けいさん、山内マリコさんという贅沢な一冊。
どのストーリーも好きだけど、山内マリコさんの二つ年上…は着物の世界も知れて私の中では1番好きな作品かな。
新しいことに出会って、お客様のことや一緒に働く人の気持ちを考えるようになったからこそ元カレの気持ちを慮り、消化できた、昇華させられた過去。
前に進むためのプロセスをわかりやすく表現してくれている作品だと思った。
まぁこちとら、はるか昔の自分に重ねることすら困難でしたが…というより思い出せない。
本気で忘れている…元カレの名前…(悲しいかな歳月の流れ…)
ということで、無理に忘れようとしなくても時が解決してくれるよ!というのはあながち嘘じゃ無いということをお伝えしておきましょう。 -
Posted by ブクログ
読み終えてから少し経っており、うろ覚えと印象的だったことのみの記載となります。本作を手に取ったのは好きな作家さんが多かったことと、アンソロジーのタイトルが面白そうという理由からです。
本作を読み進めてみると、主題が元カレというだけあり、構成が少し似てしまう印象を受けました。というのも、元カレを描くには、元カレとの過去の出来事、それを語る現在の視点といった時間軸的な制約が多く短編として成立させるには物語構造が類似してしまうのかなと考察しました。
それもあり、本作の魅力としては、作家さんの豊かな表現力かなと思います。特に元カレとの関係性やエピソードを表す比喩は作家さんによって全然違う印象があったかなと感じました。個人的には一木さんの表現が好みだったかなと思います。 -
Posted by ブクログ
山内マリコ先生さすがです…
今作もとってもよかった…
表紙かわいい〜!タイトルおしゃれ〜!大学生の青春小説か〜!!と思って軽い気持ちで手に取ったけど、予想に反して超社会派の作品でした
「あの子は貴族」の時も思ったけど、山内マリコの作品は「女の子頑張れ」っていうメッセージ性が強い気がする
(マリコさん自身がジェンダーやフェミニズムに関心のある人なのかな?)
で、それを女の子が女の子に言ってるイメージ
なんだか女子大にいたあの頃の感覚を思い出す
コロナ初年度、主人公:杏奈は大学最初の年だったわけですが、私は大学最後の年でした
おかげで就活が全部一旦止まったり卒業旅行ができなかったりという負の側面はもちろんあったけど、片道1時間半超えのゼミや就活がオンラインで済んで、私はそれを恩恵だと捉えてた
そう思うと、大学1年生だった子達の方が私達よりもずっとグロかったんだなあと自分のコロナ初年度と比較しながら読む面白さもあった
230ページを使って杏奈の大学生活4年間を綴った物語りなのに、コロナにごっそり潰された大学1〜2年生の期間がたった50ページしかないのが空白だったその期間を如実に表してると思った