山内マリコのレビュー一覧
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人生の節々に落としてきたときめきや諦めは今も手を伸ばせば拾える距離にあるのだと、そのどれもが私の欠片となる宝物なのだと思い出させてくれた。
特に青木さんのエピソードは自分の高校時代に感じていたシスターフッドが瞬間解凍されたように蘇ってきて泣いてしまった、純粋な友情の中にいた自分が好きだった、そのことを忘れていた。
今20歳なので25歳以降のエピソード怖すぎた。
閉塞的な田舎で生きる女性の緩やかな絶望と色彩を失い誰かのものになっていく人生を書くのが上手すぎる、その中で抗う姿に心打たれた。
リレー構造が女性の自由を求めて戦ってきた人々が世代を超えて渡してきたバトンのモチーフであると気付き見事だと感 -
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大山 顕 佐藤 大 速水 健朗 稲田 豊史 山内 マリコ 妹尾 朝子
何だか怪しいタイトルで期待してなかったんだけど、
面白かった。深かった。
日本の経済成長の歴史の縮図に、団地がある。
都市に人口が集中し、住まいが不足し、山を切り開き、
団地ができる。
そこに住むのは若い夫婦と子供が二人。
いまだにこの4人家族を標準家族と思っている人がいるのはこのせいか。
夫は仕事に出、妻は家を守る。団地を守る。
もて余す時間が「団地妻 昼下がりの情事」へと発展する。
女を縛る団地。
団地住まいの子はやばい、という言説も生まれる。
そして団地ができて50年、今や団地は独居老人の終の棲家、、、
大雑 -
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女の子の友情ってすっごく濃厚でとっても呆気ない。
ちっちゃなことで共鳴して群れるくせに、ちっちゃなことで失望して嫌いになる。
環境が変わったり、好きな男ができたら、すっかり疎遠になる。
20代後半になった私もあの時あんな友達いたなぁってどこか懐かしくなる一冊だった。
数名の女の子たちの伝記のような短編集たち。
小学生の時花いちもんめで選ばれなくて悲しい気持ちになったり、中高生の時男子に選ばれず惨めな気持ちになって華やかな友達を妬んでしまったり、夢たくさんで大学に入ったのにルッキズムや男社会に失望しながら「こんなもんだ」って言い聞かせる日々も、サブカルにハマって自分が異質で特別だと思ってる痛 -
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Twitterで見かけて気になり購入。
わたしも買い物が大好き(というか田舎&貧乏育ちの反動かも?)なので、タイトルの"お伊勢丹より愛をこめて"がどストライク。こんなに"読みたい!“と思う本には久しぶりに出会いました。
ライトなエッセイなので数時間で読み終わるボリュームですが、一品一品に対する著者の情熱がすごいし、毎回素敵なお品なので同じページを何度も読み返したりすることもあり、じっくり数日にわたって読みました。
著者の好みが被っているところもあれば、そうでないところもありますが、この本、人様のクローゼットを覗いているようでとても楽しい!女性なら、子供 -
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ネタバレ2025.8.8
ああ、日本は格差社会なんかじゃなくて、昔からずっと変わらず、階級社会だったんだ。
上京してきた人と東京出身の人は、良くも悪くも生まれながら持ってるものが違うと思う。自分も華子と同じような環境で生きているので、知らず知らずのうちに自分の常識を誰かに押し付けていたり、誰かを押し潰していたのかもしれないと思うと怖かった。
育ちの良さと幅広い経験を裏打ちされた、堂々たる振る舞い。無傷な感じは、人を蹴落とそうとする気持ちなど抱く子必要のない世界で生きた証のよう。
客観的に見た華子はあまり美しくないのかもしれない。本能に生きる人間らしさ、自由に飛び立てる強い女性がとても美しいものだと強 -
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沖縄旅行中、新設テーマパークに炎天下、長時間並んでいた時から読み始めた。
そんな中でもグイグイ引き込まれ、女友達あるある、小中高+大学あるあるの連続で本当に面白かった。
正社員いいなぁ、でも結局何するにもお金はかかってプラマイゼロなんだ?!っていう新見地からの、最終章のフェミニズムで目から鱗が落ちる気持ち、そして最後の最後のサプライズ!
女って大変だけど、女同士頑張れる、でも頑張りすぎちゃいけない、と強く思った。
ちなみに個人的には友達がほぼいない人生だったので、頼れる女があまりいなくて1人でやってきたんだよなと思い、帰りの機内でちょっと泣きたくはなった。 -
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ネタバレ◾️record memo
あの瞬間、あたしも、自分の顔が好きになった。好きになれた。可愛いとか可愛くないとか、人からさんざん言われて、切り刻まれてきた自分の顔が、北島の「好き」のひとことで救われたんだ。北島はあたしを、たったひとことで救ってくれたんだよ。
五分前を知らせる電話が鳴ると「やっぱシメはこれかな」って、SPEEDの『my graduation』を誰からともなく入れる。誰もSPEEDなんか別に好きじゃないのに、カラオケに来ると毎回必ず四人で歌った。
そういう、いつものカラオケ。いつものパターン。あの時間のかけがえのなさにいまごろ気づいて、一人で焦って、青くなってるよ、あたしは。