あらすじ
戦後の住宅インフラを支えてきた団地。日本においても、戦後すぐは先進的な生活の象徴として、現代では20世紀へのノスタルジーの対象として、70年以上にわたってあらゆる世代の人びとがこの集合住宅に想いを託してきた。そうした時代の流れは団地が登場するフィクション=「団地作品」にも反映されている。
本書では15年にわたって団地作品について語るイベントを50回開催してきた集団=「団地団」が、団地作品の歴史を通覧。社会、風俗、家族、ジェンダー、創作などさまざまな観点から、戦後社会の変遷とフィクションの役割を考える。
【著者略歴】
団地団(だんちだん)
団地トークユニット。2010年結成。ライター・編集者の稲田豊史、写真家の大山顕、脚本家の佐藤大、漫画家の妹尾朝子(うめ)、ライター・編集者の速水健朗、小説家の山内マリコが中心メンバー。著書に『団地団 ベランダから見渡す映画論』(キネマ旬報社)。2025年3月12日から8月24日にかけて高島屋史料館TOKYO 4階展示室で「団地と映画――世界は団地でできている」を開催。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大山 顕 佐藤 大 速水 健朗 稲田 豊史 山内 マリコ 妹尾 朝子
何だか怪しいタイトルで期待してなかったんだけど、
面白かった。深かった。
日本の経済成長の歴史の縮図に、団地がある。
都市に人口が集中し、住まいが不足し、山を切り開き、
団地ができる。
そこに住むのは若い夫婦と子供が二人。
いまだにこの4人家族を標準家族と思っている人がいるのはこのせいか。
夫は仕事に出、妻は家を守る。団地を守る。
もて余す時間が「団地妻 昼下がりの情事」へと発展する。
女を縛る団地。
団地住まいの子はやばい、という言説も生まれる。
そして団地ができて50年、今や団地は独居老人の終の棲家、、、
大雑把に言えばそんな流れを、
多くの映画に団地が取り上げられていることから話を膨らませる。
家族ゲーム、ヱヴァンゲリヲン、小津作品、下町の太陽、
藤子不二雄は団地に否定的だったり、
ジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」と「耳をすませば」が
団地に対して両極端な見方をしていたり。
さらにNHKBSの「団地のふたり」まで。
団地の取り上げられ方は様々。
住まいの影響は大きいよなあ、、、
私自身は団地に住んだことはない。
物心ついたころから一軒家。近所に「公団」があったっけ。
建て直しの時だけアパート住まいだったな。あと赴任時代か。
そして最近のドラマでは
「しあわせは食べて寝て待て」がよかったな。
団地も肯定的な扱いだった。
この本はなぜかとりあげてないけど。
いずれにしても「日本」の縮図になっていた。
楽しく読めた。
序章 団地の誕生
第一部 団地はなにを映してきたか?
第一章 団地映画の誕生と高度経済成長の終焉 1961年~
第二章 社会のダークサイドの象徴として 1978年〜
第三章 団地ルネッサンスの夜明け 1994年〜
第四章 アフター『団地ともお』の世界線で 2003年~
コラム1 団地と「地霊」の物語 大山顕
第二部 団地はなにを作ってきたか?
第五章 団地と女の60年
コラム2 「団地」もまた物語を産み出す「場」――「侵入」と「脱出」 佐藤大
コラム3 漫画「団地で育ったヤバい私」 妹尾朝子 (うめ)
第六章 なぜ世界的映画監督は団地で映画を撮るのか