山内マリコのレビュー一覧
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ネタバレコロナ禍で人との出会いとか学びの選択肢とか人生の貴重な時間にぽっかり穴が空いたような感覚は自分も同じく持っていたものだから杏奈に共感した。
マリリンモンローのこと 全然知らなかったのでマリリンの人生を杏奈を通して少しだけ知ることができて面白かった。最近SHE SAIDを観たのでハリウッドや映画界に蔓延っていた抑圧や女性差別的なことと結びつきながら読めたし、本当にまだまだ社会って変わってないなーってつらかった。杏奈の卒論研究の準備の段階とかで同い年や先輩後輩との議論の場面、こういう活発な意見交換とか自分の考えをしっかり持っている学生のことが羨ましい。わたしはなんとなくずっと怒っててでも知識とか何にもなくてこうやってディベートできる人すごいなって思った。杏奈も本当にすごいよ。
杏奈の母が杏奈のことをちゃんと思って考えてくれる人でよかったし、松島先生があえて生徒と距離を置くことができる大人だったのがよかった。杏奈が新木流星に強めにツッコまれて誤魔化し笑いをしたところで「女の子はこうやって小さく馬鹿にされて、そのたびに笑顔を見せながら、謝ったり遠慮したり譲ったり、させられるものなんだ。」「そのわきまえた仕草は骨にまで染みていて、女の子たちを知らず知らず侵食していく。」ということを先生が思っている場面が印象的だった。小さなことでもそうやって女の子はバカにされても許されるような雰囲気が今でもずっと残っていることを示唆していて胸が苦しくなった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ◾️record memo
愛菜は困ったように笑う。この店での愛菜は年下の道化キャラだから、自分を卑下したり自虐したりはお手のものだった。もちろんあとで、ちょっと死にたくなるけど。
地元を離れたものの地元の仲間との縁が切れるのが心配で、SNSでしきりに帰省をアピールし同級生と会う約束を取り交わした。連日郊外のファミレスに集い、深夜までぐずぐずとダべった。そのときにユキオは気づいたのだ。つまんねえって。もう賞味期限が切れている人間関係にしがみつこうとしている自分がみっともなくて嫌だった。それっきり地元には帰っていなかった。
ユキオはあまりに空虚なそのメールを無言で見つめた。自分の便利さを強調して安く売り込むなんて、まるでデリヘルのチラシだな。
あのころ『青春アミーゴ』はクラス中で流行っていた。ユキオも意識して、わざとイケメンと名高い同級生と絡んだりしたものだ。その方が女子にウケるから。女子が背格好の似た相手を友達に選ぶように、ユキオも外見のレベルが同じくらいの奴と意図的につるんだ。クラス替えのたびに相方は入れ替わり、全員いまではほとんど音信不通だけど。
今井さんは突然、思い出したように言った。
「小学校のときさぁ、将来もし誰かと結婚したら、自分の親とかきょうだいと、同じお墓に入れないって知ったとき、あたしとあんたと、あとひとみで」
今井さんは、みんなに囲まれながら花束を抱えて、幸せいっぱいの笑顔を浮かべている杉崎ひとみを指し、
「この三人でさぁ、抱き合ってうわああんって泣いたの。憶えてる?」
そうだ、そんなこともあった。
まだほんの十歳ばかりのとき、宇宙が怖いとか、死ぬのが怖いと戦慄するブームの次に、それはやって来た。お父さんとお母さんと一緒のお墓に、自分だけ入れない。それを知ったときのあの、心と体が真っ二つに引き裂かれるような感覚。春子はその記憶を思い出した瞬間、またあのときみたいに、三人で抱き合って、びいびい泣きたい気持ちになった。こんなふうにひとみの結婚式の二次会に、他人行儀な顔で突っ立ってるんじゃなくて、おめでとうの代わりに抱き合って思いきり泣きたいと思った。女の子特有の、ヒステリックな感情の昂りをダダ漏れにさせて。
洋服にかける情熱は年々薄まっていき、最近はユニクロとしまむらでクローゼットの大半がまかなわれるようになったものの、可愛い系OLの通勤ファッション着回し一ヶ月分を眺めると、抵抗感でいっぱいになった。こんな女になりたくない。これはわたしじゃない。
この違和感はなんだと思いながら、春子は雑誌をパタリと閉じて、平積みのいちばん上にそっと戻した。普通のOLになるのってほんと難しいんだな。でも、難しいだけで、決して楽しくはない。なんでこんなに楽しくないんだろう。
でもそれじゃあ、自分は一体、なにになりたかったんだろう。どういう大人になりたいと思っていたんだろう。
愛菜はあの旗に使われていた行方不明の女の子たちが、本当はみんな、ムカつく現実から逃げただけで、誰に殺されたわけでもなく、変質者に監禁されているわけでもなく、みんなどこかで元気に楽しく、へらへら笑いながら生きていることを祈った。
祈り、そして確信する。
そうでなくちゃ。
絶対にそうでなくちゃ。
だってそうでなきゃ、悲しすぎるでしょ? -
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短編集。
私が読んだ山内マリコ3作目。
全編読みやすくて、1ページにも満たない、数行だけのお話?もあって面白かった。
印象に残ったお話をいくつか記録。
▼男子は街から出ない
子供の頃からつるんでいる友達と大人になっても変わらず惰性で付き合い続けた男の子の話。現状への不満をを誰かの、環境のせいにして、自分が幸せになる方法すら誰かに引っ張ってもらおうとしてる。自分の他責思考に気付かない。なんだか読んでいてドキッとした。
▼女の子怖い
ませた女の子に捕まって流された男子高校生のお話。可愛かったし、こういう子いるだろうな、となんだか微笑ましかった。微笑ましく思えるのは多分自分が女だからだろうな。自分が男だったらこの話はたしかに「怖い」話だったかもしれない。
▼あるカップルの別れの理由
共同生活に向かなかった男と彼との生活に疲れて別れて家を出ていきワーホリ先で良い恋愛と出会えた女の話。
あーこういう話よく聞くなぁ、と友達の話を聞いてる感覚で読んだ。
▼ぼくは仕事ができない
地方の小さな広告代理店に勤める角岡さんの話。
いろんな人の視点から、角岡さんという人がどんな人なのか少しずつ分かっていくのが面白かった。
こういう人との付き合い方が上手い、人を動かすのが得意である程度鈍感な人が一番うまく生きているよなぁと思う。
▼「おれが逃してやる」
俳優の夢を諦めサラリーマンになることを選んだ彼が、先輩社員の一言をきっかけにつまらないけれど安定した生活をやめて夢への道に戻る話。
こういう希望がある話、とても好き。彼の人生を変えたのは名もなき(名はあるけど)その他大勢のような平凡なひとりの人間、というのがとても希望のあるお話だな、と思った。
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Posted by ブクログ
山内マリコの本は『パリ行ったことないの』に続いて2冊目!
今回はお買い物エッセイ!
(それにしても、小説もエッセイもとても分かりやすいかつ読みやすくて万人ウケする文章だなと思う
他の本も読まなきゃだ)
お買い物エピソードって面白いよなあ
私は一緒に遊びに行った友達が買い物するのを見るのが好きだし、SNSでよくある購入品紹介も好き!
それが本でつらつら語られているわけですからたまらんです
で、この本は“買い物”ではなく“消費活動”とかしこまって言いたくなるような真面目な内容もありまして…
買うのは易いが捨てるのは難しい話とか、商品を買う行為はその商品を作っている会社を応援することである、とか…
日々の忙しさの中で買い物のことを深く考えることなんてないので、本を通して考える機会を得られたのはラッキーだったなと。
そして、冒頭の『安価な大量消費の20代が終わり、長く使える良いものが欲しい30代…」のところを読んで、自分ももうその移行期に片足を突っ込んでるんだなあと気づきました
安いしもうこれでいいや→失敗! みたいなことはほんま愚かだと思うし、失敗した買い物の総金額とか考えたくもない
なら各買い物の上限額をどれぐらい上げられるか、何にお金をかけるのかはまだまだ模索は必要そうです
買い物って人生だ