山内マリコのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
地方のロードサイドから「ここではないどこか」を夢見る女の子たちの物語。
東京で生まれ育ったわたしには想像でしかないけれど、会おうとしないと会えない学友なんてなかなか少なくて、みんなの近況はうっすら耳に入る距離感で。でもすれ違った時に○○じゃん!って気付いてもらえるほどの存在感を放って生き続けるのってきっとなかなか難しくて。みんな椎名になりたいけど、そんな椎名だって特筆した何かになれるわけでもなく、街を形成する一部に溶け込んでいく。ここではないどこかなんて、ほんとはどこにもないのね。思春期的な夢想と感じるかもしれないけれど、わたしはいまでも退屈なここから連れ出してくれる誰かを待ち望んでる。 -
Posted by ブクログ
生真面目な千代田区が思い出す、ビートルズが皇居を歩いた日。洒落物の港区が語る魅力的な若者たち……。
23区23様のドラマチックなストーリー。
擬人化された東京23区やその区のランドマークが、自らを語る短編小説集です。
東京新聞のサイトに連載されていたものだとか。
それぞれの区に合わせ、千代田区だったらお堅そうな雰囲気、文京区なら文士風、渋谷区だったらギャル系など、その地のパブリックイメージが感じられるのが面白い。
東京都内に馴染みのある方なら、特に楽しく読めるのではないでしょうか。
それぞれの区ごとに、区や建物の歴史や印象的な出来事などに触れられていて、馴染みのある場所でもそんな成り立 -
Posted by ブクログ
『アズミ・ハルコは行方不明』『ここは退屈迎えに来て』『あの子は貴族』についでの4冊目の山内マリコ作品。続けて読んでるから結構好きな作家なのかもしれない。
高校生から社会人数年目までの女性たち目線のリアルを淡々と描く。なにかが起こるわけでも最後に前向きになれるわけでもない。ただそこにある物語。いろんな媒体に書いた短編を集めたものらしく、似たような話も多い。この当時の作者が手癖で書いてしまうのがこういう話なんだろうか。
こうしてみてみると、『アズミ・ハルコは行方不明』はこの作者の元々がもっているものと、その当時の社会の雰囲気を切り取ったものを見事に融合させたものだった。
「人の思い出を盗むな -
Posted by ブクログ
ネタバレ途中で、
あれ、これってもしかしてとんでもないクズ男の話?
と思ったり、
山下南っていったい全体どんなステキな女性なんだ?
と思ったり、
最終的には、
中学高校時代、どんなに憧れていた人も
年を取れば普通のおじさんになっちゃうってことだな〜と
女の子の夢は夢でしかないんだなぁなんて思ったり、、
おもしろい
連作小説ってこーいうこと?!
2節目から止まらなくなって、どんどんシーナに興味が湧いて
読み進めました
ひとりの人を、別々の時期に別々の視点から切り取ったお話
いろんな女の子に読んでもらって、感想を言い合いたい!
大人になって家族もできたシーナの、目を逸らさなきゃいけないほど胸を締め