半藤一利のレビュー一覧

  • そして、メディアは日本を戦争に導いた

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    この2人の作家はジャーナリスト出身で、15年戦争に至った日本の歴史を冷静に語る著述が多い。彼らが2013年に対談した記録は10年以上を経ているにもかかわらず、先見性のある指摘というか、今も変わらないというか。日本のジャーナリズムの劣化、それが知性の退嬰を招き、民主主義を危機に追いやっており、ファシズムが抬頭していると、昭和一桁年代の状況に似てきたと危機感を共有している。「自虐史観」から「居直り史観」への移行がそれを象徴している。
    日本のジャーナリズムの幕末ごろから、現在に至るまでの流れを書いている中で、明治初期が最も政府に批判的な言論が主張され、日清・日露の頃から、政府の情宣紙のように戦争に賛

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    2025年09月25日
  • 昭和天皇物語 17

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    早くも敗色が濃くなる日本軍⋯餓島、ソロモン、インパール、勝ち目のない戦いに沢山の人が投入されても引けないか⋯

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    2025年09月09日
  • 日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日

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    1945年8月14日から15日にかけて発生した「宮城事件」(みやぎじけん)と呼ばれるクーデター未遂事件の話です。
    昭和天皇がポツダム宣言を受諾すると言ってから、国民に伝えるまでにクーデター未遂が起こっていたことは知りませんでした。
    ただ、「お国のために」と戦争を指揮してきた軍隊の上層部や日本が勝つと信じて疑わない人たちが、クーデターを起こそうとするのは割と自然な流れのような気もします。それが天皇の聖断としても、自分の正義を武力で貫こうとしている人は恐いと思いました
    最終的にクーデターが失敗に終わり、昭和天皇による玉音放送が実現したことは、日本の歴史が大きく転換する決定的な瞬間となり、終戦記念日

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    2025年08月26日
  • 手紙のなかの日本人

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    半藤一利の歴史を彩る文人武人の手紙をテーマにしたエッセイ集『手紙のなかの日本人』を読みました。
    半藤一利の作品は、昨年読んだ『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』以来ですね。

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    歴史探偵の名著復刊!
    夏目漱石、親鸞、織田信長、明智光秀、勝海舟と西郷隆盛、永井荷風、小林一茶、良寛、太閤秀吉、細川ガラシャ……歴史を彩る文人や武人、22人の手紙。
    無心状であれ、恋文であれ、遺書であれ、それらは真率な感情が綴られ、思わず笑ってしまったり、あるいは襟を正したり。
    「いろんな人たちと一杯やりながらの会話を楽しむつもり」で、歴史探偵・半藤さんが美しい日本の手紙を

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    2025年08月24日
  • 昭和史の論点

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    『正論』の連載を新書にまとめたものだが、25年前には保守派の議論もまだしも穏当なものだったとの感に打たれる。ただ座談形式なので仕方がないのかもしれないが、結構重い話なのに(笑)がついていたりすると、どうにも違和感を拭えない。
    ハル・ノートのくだりなどは四人の議論が錯綜し、戦後半世紀を経た評論家の座談会でさえこの調子であれば、中堅幕僚の突き上げを食らっていた当時の政府が完全に当事者能力を失っていたというのも想像に難くない。
    半藤が「元首の天皇が大元帥に命令して2.26や大戦を収束させた」と繰り返している(他の参加者はあまり取り合わないのだが)のは、明治憲法の構造上、「大元帥としての天皇」の戦争責

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    2025年08月18日
  • 昭和天皇物語 17

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    <目次>


    <内容>
    日本は戦争のドツボに。陸軍を中心に、無能な人びとと描かれる軍人。山本五十六と鈴木貫太郎は有能なように見える。まあ大筋あっていたんだろうが…。意外に淡々と描かれているね。

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    2025年07月31日
  • 昭和天皇物語 17

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    ガダルカナルの戦いでの敗北、山本五十六連合艦隊司令長官戦死、史上最悪の作戦と言われたインパール作戦。昭和天皇の苦悩は続く。

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    2025年07月30日
  • 戦争というもの

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    半藤一利さんの「戦争というもの」を読みました。

     率直な感想としては、読みやすく加工されたヘビーな作品といった感じで、180ページほどで戦争の残酷さを生々しく記載した本でした。

     暴走する軍部、徴兵され命を落とす国民。戦争はこれだけの命を費やすほど大切なものなのか。なんともやりきれない気持ちになります。

     特に印象に残ったのは、日本が戦争に突入するまでの流れのところです。本でいうと序盤ですが、自業自得の面も大いにあるとはいえ、日本がいかに追い込まれ、戦争に入っていったのかがよくわかります。この国際社会で『孤立』するリスクが痛いほど理解できました。

     今年は戦後80年。戦争を経験した人は

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    2025年07月25日
  • [真珠湾]の日

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    太平洋戦争開戦となった真珠湾攻撃の12月8日。その日にいたる1ヶ月ほど前からの日米の外交戦略の推移を描き出した作品。

    アメリカとの戦争は無謀であるということは重々承知の上で、開戦に踏み切った軍部の思考には追い詰められてしまったのか、という思いがあるのですが、暗号解読されていたという事情を知ってしまうと、全てが手のひらの上の出来事だったのか、という勝ち目がない以上に勝てるはずもないという無力感が出てしまいます。

    真珠湾攻撃に成功したことを知った市井の人々が残した記録が興味深い。
    戦争に勝てるという高揚感や、よくぞ開戦に踏み切ったという賞賛が全てではなく、敗戦を予測して暗鬱な気持ちを叫ぶ人もい

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    2025年07月09日
  • 太平洋戦争への道 1931-1941

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    敗戦記念日がまた近付いてきたこともあってか、ふと手に取った。お三方(特に加藤さんと半藤さん)の著作はこれまでにちょくちょく読んでいるので、おさらいという感じで読んだ。

    当時の色々な人の色々な思惑と事実とを照合すると、「対米戦を回避する術はあった筈」とやっぱり思ってしまう。

    リットン報告書やハル・ノートに対する、冷静さを欠いた威勢がいいだけの感情的な煽りは、発行部数を伸ばすのにはよかっただろうが、亡国ぎりぎりまで民族を追い込んだ、という面では、マスコミの罪はとてつもなく大きいと思う。

    また、五・一五事件のあと、実行者の助命嘆願書が百万を超える数集まり、裁判でも実行者が自身の信じる主義主張を

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    2025年07月05日
  • 明治維新とは何だったのか――世界史から考える

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    タイトルに世界史から考えるとあるものの、それほど世界史の話はなく、幕末から明治にかけて関わった外国と外国人の話が少し出てくるだけだった。そういう意味ではこのタイトルに惹かれて本書を手に取った読者には少し物足りない内容かもしれない。私自身は半藤一利さんが好きで読んだ本なのであまり関係はないが。

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    2025年05月24日
  • ぶらり日本史散策

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    明治の、それも日露戦争後に作られた型によって、国家は運営され、国民はそれを選び協力してきた。その型とは一言に言って、軍事大国の道に合わせることである
    いつまでたっても文章は上達しないものだと、我ながら呆れている。日暮れて未知投資とは本当に良い言葉である

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    2025年05月19日
  • 語り継ぐこの国のかたち

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     先日読んだ内田樹さんの著作「街場の成熟論」の中の一章で、本書の解説文が採録されていました。
     いままでも半藤一利さんの著作は何冊か読んでいたのですが、本書は、晩年に出版された集大成的な内容ということで手に取ってみました。
     ただ、読み通しての正直な印象ですが、少々中途半端な出来栄えのように感じました。半藤さんのいろいろな著作や論考、講演等からの採録を再構成したものなので、いまひとつ焦点が拡散してしまったのかもしれません。

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    2025年05月16日
  • 漱石俳句探偵帖

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    俳句はよくわからぬ。よいじゃないか、と思った俳句は駄作であると認定されたり、その逆もある。いいと言われた俳句は、そうか、いいものなのだな、これは。と自分を納得させる。
    本書を一読すると、どの俳句もみなよいと思う。人生に文学に懊悩し続けた漱石の、枯淡で素朴な心情がよく出ているように思う。これを、漱石の孫を妻とする著者が歴史探偵よろしく文学探偵となり深掘りする。著者の漱石への愛情を感じる。

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    2025年04月20日
  • ノモンハンの夏

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    巨大な悪(ヒトラー、スターリン)に翻弄される世界政治。
    その中では悪の権化である辻政信も、小さな悪にしか見えない。
    満州事変を成功させた石原莞爾と比べて、何たる劣化か。

    人間が歴史を動かし、その歴史を動かす人間が邪悪であるという二十世紀の皮肉。

    日本陸軍という組織の、脆さ•いびつさが徹底的に描かれる。
    組織を引っ張る人間の底の浅さ。
    そのアホな命令下、必死に戦い死んでいった戦士の哀れ。

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    2025年04月12日
  • 新版 昭和史 戦前篇 1926-1945

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    2025/04/07「昭和史戦前篇」半藤一利
    戦前をまとめるには最適の書だが、掘り下げは浅い。
    1.日本国はガバナンス不在 天皇・元老体制が権限・責任を喪失
    一番は昭和天皇の中途半端な政治姿勢
    形式的には天皇が絶対的トップだが共和制運営へ逃げる
    軍部の引き起こした数々の事件、特に重臣暗殺は大きな影
    2.軍部の暴走 統帥権干犯といいつつ独走・暴走
    軍人の視野は狭く、「己の業績と勲章狙い」がせいぜい
    国家を論じられたのは、石原莞爾と永田鉄山 対中観は真逆
    3.近衛文麿の施策は国家犯罪
    問題の多い政策を立案しては、退任で敵前逃亡
    己の栄達のみで国家を滅亡させた それも彼の確信
    本書では彼の一貫した想

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    2025年04月07日
  • 文士の遺言 なつかしき作家たちと昭和史

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    坂口安吾、司馬遼太郎、松本清張などのことをあちらこちらの雑誌に著者が書いたもの。どこかで見たようなものも多いけど、まとまっているので分かりやすい。そんな一冊でした。

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    2025年03月28日
  • 昭和天皇物語 16

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    ミッドウェー、ガ島上陸、戦争がどんどん加速していく。表情には出なくても、昭和天皇の苦悩が計り知れない。

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    2025年02月22日
  • 昭和天皇物語 16

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    強国の無理難題に屈したというべきか。
    でもどこか急旋回しているような気がする、特に海軍の思考が。焦りなのか、はき違えなのか、いずれにせよ終わらせるという根本思考が鼻からなかった模様。

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    2025年02月01日
  • 令和を生きる 平成の失敗を越えて

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    世界の戦争がなかった時代の章で西洋史で十字軍は、「正義の戰」として学んで板がイスラム側では凶暴なる侵略者として取られテイル中、オサマ・ビンラディンが自分達の戦いは「十字軍との戦い」と言って正当化していた説得力が当初なっかったけれど、ブッシュ大統領が十字軍の戦いと述べた事により、かえってイスラム過激派が勢いづく事になった様です。
    歴史認識によるメッセージの発し方により、大きく世論も変化して今う事になると感じました。

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    2025年01月05日