半藤一利のレビュー一覧
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昭和史で有名な半藤一利氏であるが、幕末に関しても造詣が深いのは知らなかった。しかし、昭和を知るには、明治・大正時代に遡る必要がある。さらに、明治・大正時代を知るには江戸時代に遡る必要がある。そう考えれば、半藤氏が幕末に詳しいのも当然かもしれない。
司馬遼太郎の歴史小説の影響だろうか。幕末の志士は英雄視される節がある。特に薩摩・長州の志士は明治維新を成し遂げた英雄だ。しかし見方を変えれば、明治維新とは幕府転覆の革命であり、徳川慶喜を引きずり下ろして切腹までさせようとした反乱である。しかも、国家転覆後の青写真を誰も持っていなかったとなれば、「明治維新は単なるクーデターであった」とも言えるのだ。
真 -
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「半藤一利」が義理の祖父にあたる「夏目漱石」について語った歴史エッセイ『漱石俳句探偵帖』を読みました。
『漱石先生お久しぶりです』に続き、「半藤一利」の「夏目漱石」関連作品です。
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歴史探偵が俳句を通して探る、あの名作の謎
『坊っちゃん』の「お清」は誰!?
大文豪の意外な人となりを探り、おなじみの小説の新たな読み方を発見する、楽しく痛快なエッセイ
「子規」と競った松山・熊本時代、学生に幻滅した東大教師時代、小説家となってからも折々に、「漱石」は生涯二千五百余もの俳句を詠んだ。
一流のユーモア、理想と孤独。
「漱石」の最も自由な気持が満ちた十七 -
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「歴史探偵」こと半藤一利さんのエッセイ集。
1エピソードにつき見開き1Pほどで非常に読みやすい。
古い言い回しや語彙がちょくちょく出てくるが読んで分からないことはないし、むしろ小気味良いくらい。
昭和史の巨人だけあって、歴史だけでなく漢文や和歌に日本の古典作品、語源や字義などテーマはさまざま。
とはいえそれら多岐に渡る教養をたった一読で盗めるわけもなし、「昭和の教養人はどんなことを知っていたのか」知れたのがとりあえずの収穫かと言ったところ。
複数のエッセイで「薩長ぎらい」を自称していたのが印象的で、遥か明治時代の出来事を、好き嫌いで論じられるくらいに身近に感じる人が2021年まで生きてい -
Posted by ブクログ
先日、亡くなった半藤一利が昭和のはじまりから日米戦争勃発までの日本と世界について語る。
特に強調されているのは日本とドイツ、ソ連とのやりとり。外交下手で現実は理想通りになると信じる脳天気な日本がドイツ、ソ連に手玉に取られる様子は悲惨のようで、喜劇のようだ。
考えてみると、第1次世界対戦をはるか遠くのできごとと眺めながら、アジアへ勢力を拡張し、経済成長、軍備増強を果たすバラ色の将来を信じていた日本。対照的にドイツは大戦の敗戦処理、ソ連は革命直後の混乱を相当な覚悟と犠牲を強いて立て直す。やがてヒトラーとスターリンという強力なリーダーも登場。
修羅場をくぐり抜けた経験で圧倒する2国に日本がかな