半藤一利のレビュー一覧
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日本がアメリカとの戦争へ向かって突き進んでいくことに反対しながらも、真珠湾攻撃を成功させた海軍大将の山本五十六の苦悩にせまろうとした本です。
山本と同郷の越後長岡に生まれた著者は、長岡人気質というべきものを明らかにするために、戊辰戦争における河合継之助の活躍から説きはじめます。河合は、新政府軍とのあいだに和睦が結ばれることへの希望をいだきつづけながらも、交渉は決裂に終わり、不利な条件のなかで抗戦する道をえらぶことになりました。本書では、そうした河合のたどった道が、太平洋戦争にいたるまでの山本の姿勢とかさねられることになります。
著者は、いわゆる海軍善玉論に対してはやや距離を置いており、戦争がはじまって以降の山本の態度が、戦況の悪化に憂いを深めつつも、できるかぎり有利な条件で講話にこぎつけるという彼自身の考えを表に出すことなく戦死したことを、冷静に見ようとしています。この点は、「本を書くということは、公正を期しながらも、その人にぞっこん惚れこむことである。惚れこまないことには書けやしない」と著者自身は述べながらも、抑制の利いたスタンスがつらぬかれているように感じました。 -
Posted by ブクログ
戦争は誰もがしたいわけでもないが一部の政治家・軍部での強制命令を発端に群集心理から生まれる。それは本文にある「エリート陸軍の過信・驕慢なる無知・出世欲が横溢・偏差値優等生の天下・底知れず無責任」が起源となった、とある。 一方「尊い犠牲を多く出したことは気の毒の限り、我が軍にとっては良い教訓となったと思う」敗戦間近の天皇の言葉がとても妙に印象に残った。そして戦争における究極の言葉は「戦争の恐ろしさの本質は、非人間になっていることに全然気が付かない。戦争とは人が無惨に虐殺されることである」いずれにしても、戦争をする動機は一人の独裁的で貪欲さの政治家が表に出て群集(現代ではSNS等が炎をつける)を燃え上がらせることが起因だ。
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Posted by ブクログ
『昭和史』で有名な著者の歴史コラム。昭和以外も出てきます。
切腹や日の丸国旗など、日本で割とあたりまえの文化を「そもそもいつから?」と疑問を持って歴史の書物などを漁っているのが流石。トイレの日本語での言い表し方を20個近く絞り出したりする。ネットで調べてもこんなには出てこないかもしれない。
正義、忠義などの『義』は羊と我(鋸)を組み合わせた文字で、羊の首を切って生贄にする儀式からきているという。羊は角や蹄に欠損がなく、内臓も病気がないので神への捧げ物としての条件が揃っている。この欠損がないことを「義しい(ただしい)」といい、のちに「正しい、よい」の意味になった。なるほど。
半藤氏は1930年生まれで東京大空襲のときは中学生だったそう。当時の様子を伝えてくれる貴重な人だったんですね。2021年にお亡くなりになったのか...残念 -
購入済み
大戦へ
内乱を避けるために戦争へ向かうという愚行、
わかっている者達にはわかっていたのに大戦へ向かうのが
止められなかったのが悔やまれる。
能條先生の絵の味ではあるが、こ事ここにいたってはこの
感情のこもってなさそうな人物たちが区別が付かなくなってきた。 -
Posted by ブクログ
半藤一利のエッセイ集『歴史探偵 忘れ残りの記』を読みました。
半藤一利の作品は5年前に読んだ『新装版 太平洋戦争 日本軍艦戦記』以来なので久し振りですね。
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歴史のよもやま話から、ことばのウンチク、さらには、悪ガキ時代、新入社員時代の思い出といった自伝的作品まで。
歴史に遊び、悠々と時代を歩んだ半藤さんが遺したエッセイ集。
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2021年(令和3年)2月に刊行された作品……2021年(令和3年)1月に亡くなった半藤一利が生前最後に出版に携わった作品のようですね、、、
文藝春秋の営業部が毎月出していた『新刊のお知らせ』というパンフレットに掲載されたコラムや、新聞、銀座のPR誌に掲載されたエッセイ等のうち未発表のものを収録した作品です。
■まえがきに代えて――生涯読書のすすめ
■第一章 昭和史おぼえ書き
■第二章 悠々閑々たる文豪たち
■第三章 うるわしの春夏秋冬
■第四章 愛すべき小動物諸君
■第五章 下町の悪ガキの船出
■第六章 わが銀座おぼろげ史
■あとがき
■編集部付記
■初出一覧
昭和史の第一人者が書き綴った随筆集……歴史のよもやま話から悪ガキ時代を描く自伝的エッセイまで、、、
昭和史最良の語り部……半藤さんの遺した「人生の愉しみ方」……。
肩の力を抜いてリラックスして読める歴史よもやまエッセイでしたね……井上ひさし直伝の文章作法の心得の条である
むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをゆかいに
ゆかいなことをまじめに 書くこと
という秘術を使って書かれたものらしく、小難しい歴史のことが、とても読みやすく伝わってきました。
そんな中で印象に残ったのは、
・ロシアの軍港であるウラジオストックは、ウラジオ・ストックではなく、ウラジ・オストックが正しい……ウラジは支配、オストックは東方で、東方支配の拠点という意味だった、
・踏襲(トウシュウ⇒フシュウ)、頻繁(ヒンパン⇒ハンザツ)、未曾有(ミゾウ⇒ミゾウユウ)、低迷(テイメイ⇒テイマイ)、決然(ケツゼン⇒ケンゼン)、見地(ケンチ⇒カンカ)等々……これは、麻生太郎が首相時代に読み違えた言葉のメモ、
・節分の「鬼は外!福は内!」は、亭主が出雲大社に参詣に出かけた留守を守っていた女房のところに訪れてきた鬼が女房に惚れてしまい、宝物を全て女房に渡した挙句、追い出されてしまうという狂言からきているとか、
・徳川夢声の俳句「ソ連宣戦はたと止みたる蝉時雨」敗戦の夏を描いた泣かせる一句、
等かなー 面白くて勉強になる一冊でした。