半藤一利のレビュー一覧
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昭和史の10大事件を対談形式で振り返る。
いつも通り、大して内容も確認せず、読み出す。
そして、気づく。
自分の思っていた「昭和史の10大事件じゃない…」
自分の中で昭和の10大事件と言うと、3億円強盗事件、よど号ハイジャック、グリコ・森永事件、浅間山荘事件など、映像化され、何となくドラマチックなものを勝手に思い描いていた。
しかし、予想していたこれらの事件は1つも入っていない。
全体的に戦前戦後で大きく様変わりした日本の様子が取り上げられている。
太平洋戦争の前にあった日本の変化、太平洋戦争後に行われた東京裁判。確かに学校では詳しく習っていないことに気付く。自分の知っていた戦後がアメリカによって、作られた歴史であることに愕然とした。
漠然とA級戦犯とか知っているつもりだったけど、本来憎むべき人間が本当は裁かれていないこと。しかし、それを裁いてしまっては現在の日本が成り立たないこと。すごく矛盾していて、もどかしいけど、改めて太平洋戦争と言うものを考えさせられた一冊。 -
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ネタバレ<目次>
はじめの章 「御瓦解」と「御一新」
第1章 幕末のいちばん長い日
第2章 攘夷派・開国派・一橋派・紀伊派
第3章 和宮降嫁と公武合体論
第4章 テロに震撼する京の町
第5章 すさまじき権力闘争
第6章 皇国の御為に砕身尽力
第7章 将軍死す、天皇も死す
第8章 徳川慶喜、ついに朝敵となる
第9章 勝海舟と西郷隆盛
第10章 戊辰戦争の戦死者たち
第11章 新政府の海図なしの船出
第12章 国民皆兵と不平士族
第13章 西郷どん、城山に死す
むすびの章 誰もいなくなった
<内容>
『昭和史』などに比べて、内容の迫力に欠けるか?人口に膾炙したテーマだけに、新情報がなく、半藤さんの解釈にも新味が感じられなかった。ただ、語り口は面白く、厚いわりにすらすら読めるのではないか?反薩長史観で、これから広まるであろう感じ方だと思う。 -
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ネタバレ出鼻をくじかれるように「最初に言っとくけど、歴史学んでもあんま役に立たないから!」あれー?と思いつつ読み始める。役に立つとか意味があるかないかとか、損得とか、しばしば自分はそういうことを気にしすぎた。
著者は、「知らない」でいてしかも「知ろうとしない」状況において、人は最も権力者の扇動に乗りやすいのだと言う。これって、権力云々の話を抜きにしても、例えばこの本を読むワタシのスタンスも同じようでなくてはならんのでは?その通りで、歴史を受け身で学んでいては、嘘っぱちの歴史ストーリーを信じ切って、綺麗事ばかりインプットして、40年ごとに人は悲惨な出来事を忘れてゆく。でも、いい話ばかり耳に残るのは当然。だってその方が聞いていたいし。だから、私たちは歴史を自ら学ばなければいけないのだと思う。人の話を全て肯定的に聞いただけで満足してはいけないのだと学んだ。批判的に(not否定的)本を読んだりってすごく難しい。ワタシはできる気がしないのだが、そのために必要なのは知識をつけることなのかも。以前「インプットしなきゃアウトプットなんかできない」と言う大前提を恩師の何気ない一言から知った。根本的に読書や勉強のあり方について再び考えさせられた。本の内容としては、なんだか歴史の講話を聞いているような感じが否めないので、若干個人的な期待とはそれていた。ただ、いくつか無知な自分に染み渡る偉人のエピソードもあり、特にはじめとおわりが興味深く読めた。またもう少し知識をつけてから読んだら面白いかなぁ。 -
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第二次世界大戦の遠因にもなったノモンハン事件についてのドキュメント。
権限の委譲のいきすぎで結果的に関東軍の独断専行を招き、それに誰もすずをつけることができずに崩壊にむかっていったプロセスの第一幕がこの事件。
しかもこの主要な幹部はだれも更迭されてないところに闇がある。
当時の参謀本部は関東軍に及び腰。その原因はいきすぎた権限委譲の元気の良すぎる青年将校を現地におくりすぎたことが原因ではなかろうか。
その結果「関東軍に「案」を示しただけで、あとは研究にまかせた。つまり示達できなかった。参謀本部は真の統帥を放棄して虚位を誇る態度のみつづけていた、」というような事態がうまれ次第に統制がきかなくなっていく。
そして辻政信のような怪物がうまれる。
当時の参謀にいたのちの山下大将は辻のことを
「中佐、第一戦より帰り、私見を述べ、色々の言ありしという。此男、矢張り我意強く、小才に長じ、所謂こすき男にして、国家の大をなすに足らざる小人なり。使用上注意すべき男なり」
と述べている。
権限委譲をして登用するときには、とにかく我意が強すぎて能力のある人材ほど気をつけろということであろう。
むしろ当時の日本軍は、我意の強さがむしろ積極果敢な姿勢と評されていた。 -
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対談。なぜ戦争になったのか。どこで間違えたのか。こういう本を読むと、自分がいかに知らなかったということを痛感する。そしてこういう本を読んで思うのは、過去のこととして知識にするのではなく、今、自分のいるまわりに活かせることはないか、ということなんだよね。
大正七年の原敬首相から昭和七年犬養毅が五・一五事件で暗殺されるまでを日本の政党政治の黄金期という。
では、原敬の何がすごかったのか。
偉大だったのは、としていわれること。
原敬日記をひいて、すごくこまめに軍人に会っていることを指摘している。
こまめに、ひょっとしたら自分と反対意見の人とも会って、パイプをつくっていたことが、強い力を持つことになったということだろうか。
意見が違う人とも、交流する。それによって単純に自分や自分の側の利益を押し通すのではなく、より多くの人が満足する道をさぐる。それが大きな仕事をするうえで肝要なのではないかな。
少なくとも、自分に反対する人間に対して「こんな人たちに負けるわけにはいかない」というのは、スケールが小さいんだなと思う。 -
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日露戦争は、海軍こそバルチック艦隊を全滅させ華々しい勝利を飾っているが、陸戦の方は、息も絶え絶えというのが現実であった。どうにもないぐらいに兵力がなく、兵站もなければ弾薬も決定的に不足していた。圧倒的に兵力が足りない日本は、戦争に勝ってもロシア軍兵士を結局、逃さざるを得なかった。包囲殲滅戦ができないから、生還したロシア兵は再び組織され、攻撃してくる。さらにはハルビンに30万人という大兵力を集結させていた。もし、講和会議がまとまらなかったら、一気に日本を攻めるという準備さえ整えていたのだ。そんな状況の中、小村寿太郎は、泥沼化しそうな戦争を終わらせたうえ、樺太までぶんどってきている。よくぞ戦争を終結させたと褒められてしかるべきなのに、賠償金を取れないとは何事かと非難されている。本当はかろうじて勝っただけという正確な情報を流しておれば、小村を非難する論調は決してなかったはず。連戦連勝だと偏向的な情報ばかりを流す当時の報道が市民を誤った道へと導いてしまった。日本史の中にとじこもっていただけでは、見えなかった視点が世界史を通してクリアーにされている。中ほどには、「日本もかつてはISと同じことをやっていた」といった、そんなトリッキーな章も用意されている。歴史認識の再構築を迫られる一冊。
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ノモンハンについて知ったのは、大学1年の夏。
当時、「ねじまき鳥クロニクル」を読んでいて、その中にノモンハンについての記述があったのを覚えている。
そこに書かれていたノモンハンは、戦闘全体のことではなく、個人的な体験、一人の登場人物の回想を通じて伝わる戦争の悲惨さであった。しかし本書は違う。
ノモンハンでの戦闘になるまでの過程、ドイツ・ソ連の動きが同時的に描かれており、その全容が一から説明されている。想像力を掻き立てる小説的な描き方ではないが、戦闘の悲惨さが俯瞰的に描かれているが故にわかることがある。それは逆説的ではあるが、そう描かれていることで陸軍兵一人ひとりの生きざまに限りがなくなるということだ。「ねじまき鳥」で描かれたのはフィクションであるという前提の一方で、極めて高い可能性で現実にあるものだという確信を生む読書体験になった。