半藤一利のレビュー一覧
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西郷隆盛との会談により、江戸城無血開城という一世一代の大仕事を成し遂げた勝海舟の、その後の生き方にスポットを当てた評伝です。事実を淡々と記述するのではなく、薩長嫌いを公言する著者が、海舟贔屓を前面に打ち出して、その江戸っ子らしい啖呵にエールを送っています。
海舟と榎本武明を批判した、福沢諭吉の「痩我慢の説」に対しては、海舟擁護の論陣を張り、さらに若い頃に慶応義塾の熟長だった小泉信三に議論をふっかけて不興を買ったエピソードなども語られています。
日本国のため、江戸城無血開城を実現した海舟が、明治の世になっても、日本のために「あひるの水かき」を続けてきたことを知ることができ、興味深く読みました -
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著者は御年84歳になり、テレビの討論会に出ては、「反戦、反戦」と繰り返すのみで、論理的な議論の展開やディベートが出来ないのは見ていて痛々しい限りであるが、やはり文藝春秋の編集長・役員を務めただけあって、15年前に書かれた本書はそれなりに面白い。
しかも、漱石の孫娘が伴侶なので、その伴侶や義理の母(漱石の娘の筆子)から聞いた漱石の身近な話がふんだんに出てきて、漱石をより身近な存在にしてくれる。
痔瘻で苦しむ漱石、立ち小便をする漱石、屁を垂れる漱石、胃潰瘍に悩ませられながらも食意地の張った漱石等々、俳句の背景と共に素の夏目金之助を炙り出している楽しいエッセイです。 -
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半藤一利さんと加藤陽子さんによる、
先の大戦に関わる対談集、といっても、
ただの対談ではなく、戦時の主要メンバー、
全部で5名に対する評価についての内容となっています。
広田弘毅、近衛文麿、松岡洋右、木戸幸一、そして、昭和天皇。
一方的な弾劾というわけではなく、それぞれが、
検事役、弁護士役を入れ替えながら茶話的な感じで。
まだまだ、基礎知識が足りていないなぁ、、と思いながらも、
興味深く読めました、、近代史さらえ直さないと、です。
そんな中、個人的に興味深かったのは、、
“(先の大戦は)新聞が世論を煽り立てましたから”
新聞という無責任なメディアについて言及されているのが興味 -
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昭和史を研究したお二人からの警告。今の日本の状況はかなりまずいよと。
現在のメディア同様、戦前のメディアもただ「売れる」という理由から、戦争の危機を訴える記事ではなく、戦争を煽る記事を書き続けたという。その方が「売れた」からだ。「売れる」ということは「求める」人たちが多数いるというわけで、しかしここを考えるとややこしくなるのでちょっと置いておくが、日本のメディアには「ジャーナリストというものは存在しない」ということをしっかりと心得た方が早いのではないか。
書くことで生計を立てている者に崇高なものを求める方が間違っているのだ。
もう1度言うが日本のメディアに「ジャーナリストはいない」し、「いたこ -
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ネタバレ付箋つけたとこ。
・漱石「坊っちゃん」は中学校を下敷きにして大学を皮肉っている。
・「こころ」の奥さん……女の人が思われていることに気づかないわけがない。
・「草枕」のユートピアは俳句が下敷き。
・零戦は描くのが難しい機体。
・日本は守れない国。資源を持たざる国。だから原発を。
・大和や武蔵は武力誇示宣伝に使えばよかったのに、あえて隠匿した。
・腰ぬけ愛国論だってある。
・ひとつのジャンルは50年。アニメも。鉄腕アトムがちょうど50年前。
・実際に立っていた建物と、現代の観客がそれを無化の姿と思えるかどうか。
・隅田川には空母の代わりに橋が建てられた。
・芥川を主役にした探偵モノ。とぼけた推理 -
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ネタバレ昭和史を語る際にいつも示唆を受ける半藤、保阪に右よりの中西が加わり、どのような討議になるのか興味深いところでした。昭和の大戦という際に、日米戦争を分けて、中国に対しては明らかに侵略戦争であったという半藤、保阪に対して中西は何となく曖昧な姿勢であると思いました。それだけに日本が反乱もなく、一致して闘っていけたのは米英に対して自衛=興国存亡の危機にあるという意識が強かったからだという一致した考えもなるほどと思いました。このタイトルではなく、「なぜ負けることが分っている戦争をしたのか」という観点から、日本の指導層に対する厳しい批判は今の私たちの姿勢(政治だけでなく、企業においてさえ)に反省させられる
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ネタバレ■本の題名から内容をかなり期待したが、全体的には思ったより面白いとは言えなかった。
■日本型リーダーを、第二次世界大戦時の軍人の行動から考察。
■しかし、日本型リーダーは陸軍にのみ存在したわけではない。
■題名は日本だが、実際は軍人のリーダーシップ面からの敗戦論。
■驚いたのは、日露戦争時の大山巌元帥と東郷平八郎の行動。巷間言われているような鷹揚なものではなく、リーダー自らが危機に立ち向かったことが史実だということ。リーダーは神輿に担がれていてはならないのだ。きちんと部下の行動を管理し、必要な時は自分が行動し、責任も取るという行動が大切だということ。それがわかっただけでも、この本は一読の甲斐は