【感想・ネタバレ】日中韓を振り回すナショナリズムの正体のレビュー

あらすじ

昭和史の泰斗2人が、いま日中韓で燃え上がるナショナリズムの実体について分析。背景にある歴史問題を直視し、憎悪の連鎖に歯止めをかけるための提言を行う。そして、他国に振り回されず権力に踊らされない、健全な日本人のナショナリズムの在り方についても示す――。大好評『そして、メディアは日本を戦争に導いた』に続く迫真の対談。

【主な内容】
はじめに 今こそ、歴史の教訓に学ぶ 半藤一利
プロローグ 「国家ナショナリズム」が「庶民ナショナリズム」を駆逐する
第一章 現代日本のナショナリズムが歪んだ理由
第二章 近代史が教える日本のナショナリズムの実体
第三章 中国と韓国の「反日感情」の歴史背景
第四章 現代の中国および韓国のナショナリズム
第五章 将来に向けての日本のナショナリズム
おわりに 憂うべき端境期にある日本社会 保阪正康

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Posted by ブクログ

ネタバレ

留学時代、世界の色々な国の友人らと話していて、これまで自分は恥ずかしいほどに歴史を、特に近現代史学んでこなかったと自覚して以来、ずっといつかきちんと考えてみようと思っていた。

半藤氏の昭和史などを読んでから、ついに気になっていたこの本を手にとった。

一番印象に残ったのは「過去の戦争の直接の責任は自分にはない。しかし人間としてはあってはならない悲惨なことをしたことが悲しいし、かつての加害国の人間として歴史を繰り返さないよう努力をする」という趣旨の部分だ。
自分がマジョリティ側、もしくは力を持つ側にいるあらゆる社会問題を考える時にも感じていたことだが、自分自身の行動でないことに対して過剰な罪悪感を持つと、突き詰めれば自分を消さなければいけなくなってしまう。それは健全な考え方ではないと常々思っていたので、この考えには共感した。


私がこの国の態度として一番気になっているのは、過去のことをなかったこと、過ぎたことにしてしまおうとしているように見えるところだ。
戦時中の非道な行為について贖罪は済んでいるという意見もあろうが、「私たちは忘れていない、今後も同じ過ちを繰り返さないよう全力を尽くす」という決意を表明することはずっと続けていくべきである。

韓国人・中国人の友人を持つ者として、K-POPを始めとして隣国の文化に関心を持つ者として、相手の視点と自分の視点の双方で物を考え、この問題について引き続き考えていきたいと思った。

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2021年04月04日

Posted by ブクログ

ナショナリズム=愛国心は、愛郷心のようなかたちで本来誰にでもあるものだ。が、権力と結びついているナショナリズムというものがあり、それが意図的に前者のナショナリズムを扇動し、政治的に利用しようとする構図がある。それがタイトルにある、日中韓でいま相互不信をかりたてているナショナリズムの正体だ。それぞれの国がどのような歴史的な背景でナショナリズムを持ち得、それがどのような意図で利用されているのか。太平洋戦争時の軍部が誘導した日本のそれ、共産党・国民党の対立が元になっている中国の反日教育、韓国人の誇りの高い国民感情、本書は、それらの主たる理由を簡潔に紹介し、それを正しく知ることなく、悪感情をもって自国のナショナリズムを高める態度に警鐘を促す。日本は戦後代々の政権は、太平洋戦争時のファシズムへの忌避感からそれをあおることをずっとしてこなかったが、ここ最近、特に安倍内閣がさかんに煽るようになったと、その危機を指摘しているが、言われてみれば確かに少し前なら、口にしなかったようなことを平気で言うように時代が変わっていることは確かだ。

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2015年05月16日

Posted by ブクログ

 本書は、昭和史の大御所二人の対談である。「ナショナリズム」という妖怪を断罪する意見は、大いに説得力はあるが歴史の読み物としては、今ひとつ面白みに欠けるように思える。
 歴史書をある程度読んでいると、本書には新しい発見や知見は見いだせないように感じられて、物足りないのかもしれない。ちょっと、残念。

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2015年02月02日

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