【感想・ネタバレ】歴史をあるく、文学をゆくのレビュー

あらすじ

歴史と文学をこよなく愛する著者が、探偵眼を光らせつつ、飛鳥から河井継之助の長岡まで、日本史の争乱6つの舞台を訪ね歩く第1部。第2部では視点を文学にうつし、芭蕉、漱石、荷風、司馬遼太郎、藤沢周平ら5人の作家・7作品の世界を散歩する。眼光いよいよ冴えわたり、深まる思索が普遍の真実に肉迫する。著者直筆のイラストも楽しい、紀行文と街上エッセイ。

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Posted by ブクログ

2001年刊。おもに90年代にいくつかの雑誌に載せたエッセイ、13篇を収める。
著者とゆかりの深いテーマ――永井荷風(隅田川つながり)、河井継之助(長岡つながり)、夏目漱石(半藤末利子つながり)――ほど力が入っている。漱石は3篇、それぞれ『吾輩は猫である』と千駄木、『三四郎』と本郷、『坊ちゃん』と道後温泉をあつかっている。
『猫』と千駄木のエッセイは、家の間取りや周辺環境から、『猫』を読み解く。たとえば、苦沙弥先生が落雲館の中学生と決戦するくだり。落雲館は家の裏手にあった郁文館中学。野球の練習試合が煩かったらしい(一方で、親友・正岡子規が広めた野球がこれだけ流行っているということも言いたかったのではないかというのが半藤氏の読み)。その決戦の描写にはモデルにした漢文がある。それに則って、猫が格調高くあれこれ実況中継するんだもの、やはり可笑しい。
(p.s.千駄木の家は、漱石が住む11年前には森鷗外が住んでいた。本郷(西片)の家は、漱石のあと魯迅が住む。世界は広いが、世間は狭いというべきか。)

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

八月を迎えると文学したくなる。しかし何を読もう、と思い悩むのもいつものこと。書店を回遊するのも良いけど、金ドルを買った今年は、キンドルで「文学」と検索して本書に辿り着いた。
そういう意味では、やっぱり漱石か、という落胆も少し感じつつ、永井荷風という選択肢を示してもらえたのは収穫だった。「墨東綺譚」の舞台は墨田区の向島百花園のあたり、そしてここは半藤氏の育った地であるという。夏に読んで、秋に公園を訪れられたらいい。

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2014年08月03日

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